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女性は男性に比べて現実的だと言われている。実際、夢や想像を語る男性に対して、妻は「なにそれ」と内心思っていることが多いようだ。だがそれは男性にとっては「否定されている」気持ちになる。
■他愛もない話なのに
宝くじが当たったらどうするかという話は、他愛もない世間話でよくあること。トシキさん(43歳)も、小学生の子どもたちとそんな話をしていた。
「上の子は宇宙旅行に行きたい、下の子は動物園を経営したいって。それぞれ楽しいなあと思いながら聞いていたんですよね。子どもたちが『パパは?』というから、映画館を経営したいって言ったんです。若いときから映画が大好きだったから。すると黙って聞いていた妻が、『みんな夢みたいなことばかり言ってないで、早く宿題しなさい』と言い出して。子どもたちもちょっとシラケた顔をしていましたね」
あとから妻に、想像や夢は大事なことだとひと言いうと、「そんなもので食べていけないでしょ」と冷たい返事。
「妻はいつでも正しくて、いつでも現実的。でもそれが本当にいいことなのかどうか、一度ゆっくり考えてみたほうがいいよと言ってしまいました。オトナになったら、きっと夢や想像はひとつずつ潰れていく。せめて子どものうちは破天荒な夢をみてほしい。それがいつか現実と結びつく可能性もある。夢を見ない子は、夢を実現できないと思う。熱く語ったつもりでしたが、妻は無言で無反応でした」
あまりに現実的な対応をされると、確かに気持ちが萎えていく。
■好きなものを見つけてほしいだけなのに
トシキさんは、子どもたちに「職業にならなくてもいいから、何か好きなものを見つけてほしい」と思っている。それがあれば楽しいと思えるようなもの。そうすれば挫折したり落ち込んだりしたときも、きっと救いになるから。
「ただ、妻はそれを読書だの楽器だのと限定したがるんですよね。僕は本当に何でもいいと思っている。キャラクターが好きとかパンダが好きとか、そういうことでいいじゃないですか。どこかアカデミックな趣味じゃないといけないような言い方をする妻に、少し反感を持っているんです。改めて言うと妻が不機嫌になるから言えないけど、子どもたちにはこっそり何でもいいんだよと言っています」
マジメで誠実な妻の生き方は立派だと思うが、それは裏を返せば几帳面で融通が利かないということ。そして生きることを楽しんでいないということでもある。
「ときどき、結婚を間違えたなと思うことがあります。もっと楽しい人と楽しい生活ができたのではないか。大らかで精神的な遊びの多い家庭ができたのではないか、と。まあ、マジメな妻と結婚したのは僕自身ですから、あとは子どもたちにどうやってマジメな人と不真面目につきあうかを教えていくしかないのかな、と思いますが」
冗談めかしながら、彼は妻の狭量を嘆いていた。