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■日本のことわざでいうなら「長いものには巻かれろ」的な発想……?
筆者は大学時代、ラーメン店でアルバイトしていたのですが、同僚の一人に他大学のラーメン同好会で代表を務めている男がいて、よくオススメの店を教えてもらっていました。
前を通るといつも大勢の客が並んでおり、ずっと気になっていた某ラーメン店の評判を彼に尋ねてみると、「あそこは行列が行列を呼んでいるだけで、たいしてウマくない」と手厳しい意見(笑)。彼の舌はどこまで信用できるのか気になり、のちに筆者は実際にその店で食べてみたのですが、「確かに何十分も並ぶほどじゃないな」と感じたのを覚えています……。
しかしラーメンに限らず、行列している店に並びたくなるという気持ちには、みなさんも共感できるのではないでしょうか?
もし価格帯の似た2軒の飲食店が隣接していて、片方は閑古鳥が鳴いているのにもう片方には長蛇の待ち行列ができていたら、後者のほうがきっとおいしいはずだと思いますよね。
そんな状況で、どちらの店にも今すぐ入店できるファストパスのようなものを与えられたら、ほとんどの人は混んでいる店を迷わず選ぶことでしょう。
こんな風に、より多くの人が支持しているほうへと流れたくなる心理現象を“バンドワゴン効果”と呼ぶそうです……!
バンドワゴンとはパレードの先頭を走る、楽隊を乗せた車のこと。これはアメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱された概念で、「バンドワゴンに乗る」ことはすなわち、「流行に乗る」ことを意味するわけですね。
行列店の例の他にもバンドワゴン効果は日常にありふれており、マーケティングにおいては戦略的に使われています。
例えば書店で“累計発行部数○万部突破!”なんて帯に書かれたマンガを見たら、「それだけたくさんの人が読んでいるなら、面白さは保証されているだろう」と安心し、ついつい手が伸びてもおかしくありません。まぁ、それで結果的に自分が幸せだったら別に構わない気も……?
ちなみにバンドワゴン効果の対義語は“アンダードッグ効果”で、選挙で劣勢の候補者に同情票が集まるなどの事例が挙げられます。アンダードッグとは“負け犬”の意ですが、こうして英語にすると、なんだかカッコイイですね(笑)。
【関連書籍】誰にも覚えがあるヘンな感覚の正体(KAWADE夢文庫)