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昨年には女優の樹木希林さんが、そして今月に入り、樹木さんの夫でロック歌手内田裕也さんが相次いでお亡くなりになりました。樹木さんと内田さんは1973年に結婚、お互いの強烈なキャラクターもあって、個性的な夫婦としても当時から注目を集めていました。結婚後の生活も独特で、半年後には別居生活を開始したとも言われ、以降40年以上の“別居婚”を貫いてきたことでも有名でした。
樹木さんの葬儀に際し、娘の也哉子さんが読んだ弔辞の挨拶も印象的でした。
「幼かった私は不在の父の重すぎる存在に、押しつぶされそうになることもありました。ところが困った私が、『なぜこのような関係を続けるのか』と母を問い詰めると、平然と、『だってお父さんにはひとかけら、純なものがあるから』と私を黙らせるのです。自分の親とはいえ、人それぞれの選択があると、頭ではわかりつつも、やはり私の中では、永遠にわかりようもないミステリーでした」
とのこと。夫婦の数だけ、結婚や離婚の形があるものですが、樹木さんと内田さんも二人にしかわからない強い絆で結ばれていたのだと思います。
81年には、内田さんが一方的に離婚届を提出するという一件がありました。樹木さんは、その一方的な離婚を認めることはなく、離婚届を無効にする手続きをとります。その結果、離婚は無効になり、夫婦生活は続行。以降、定期的に会ったり、やりとりしたりするような“別居婚”のスタイルが確立していったのでしょう。
一般的にも、いきなり離婚に踏み切る前に、「お試し別居」をしてお互いに将来のことを考える機会を設ける夫婦のケースも珍しくありません。
結婚生活をやり直したいための別居ということがお互いに明らかであれば、できるだけ早いタイミングで同居のスタイルに戻るのが基本。子どもがいる場合なら「子どもの春休みの間だけ」「春に小学校に入学するまで」というように、子どものイベントを軸に期間を限定するのもおすすめです。
別居期間が長くなると、その分、夫婦はお互いの気持ちも離れやすくなります。はじめは離れて暮らしていることに違和感を持っていたとしても、時間がたつにつれ「こういうのもアリかな」と別居生活に慣れ、自由さを快適に感じることもあるもの。そうなると、夫婦で暮らすことに戻りにくくなってしまうものだからです。
ただし、「お試し別居」の原因が、DVや借金といった「繰り返すとやっかいなことになる問題」であるなら、公証役場で公正証書をつくっておくことが大事です。「ふたたび同じトラブルを起こした場合、離婚をするし、慰謝料も発生します」という内容を盛り込んだ取り決めをお互いにしておくと、夫婦としてやり直すことを真剣に考える機会にできるだけでなく、万が一の時のリスクヘッジにもなるからです。
別居中は、樹木さんと内田さんのように、連絡を取り合うことも二人の関係をこじらせないポイントになります。「元気にしているか心配だけれど、お互いにもう少しだけ将来のことを考える時間を持とうね」といったフォローのやりとりを続けることで、「離婚」あるいは「修復」という選択をする際もスムーズにいくことが多いからです。
いずれにしても、「うまくいかないから」といってすぐに離婚しなくても夫婦生活は続けていくことができます。せっかく縁あって夫婦になったのですから、なるべく二人が幸せに時間を過ごせる道を探していくのも大切な選択と言えるでしょう。