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シアトル・マリナーズのイチロー球団会長特別補佐(44)が9月16日(日本時間17日)、ロサンゼルス・エンゼルスとの今季対戦を終えたタイミングで、スポーツニッポン本紙を通じ、大谷翔平選手(24)に情愛溢れるエールとメッセージを送ったという。そのコメント内にあった「イチローが独自的に提案する“大谷の新二刀流”」が、じつに斬新で素晴らしかったので、ゼヒ今日はここcitrusでも紹介しておきたい。
「個人的な興味としては、ピッチャーとバッター、それぞれ年間通して見てみたい。サイ・ヤング賞(※アメリカのメジャーリーグで年間最優秀選手に贈られる賞)を獲った翌年にはホームラン50本で本塁打王。そういった空想でもしないことを現実にできる可能性のある選手が、この先の未来に出てくるでしょうか?」
さすがイチロー!!! そんな二刀流、これまで発想すらできなかったったっす……。プロ野球選手として、このようにまったく別物の調整法を“年ごと”に行うことが可能なのかどうかは未知数だけれど、まあイチローがこう言ってるんだったら、たぶん100%不可能ではないんだろう。もしかすると“日ごと”にバッターとピッチャーとの二股をかけるよりは無理なく身体をつくれるのかもしれない。
そして、ダイヤモンドとうんこくらいの差こそあれど、(一応)職業として文筆とイラストを同時にこなす“二刀流”である私からしても、このイチローが提案する“大谷の新二刀流”は、なかなか理にかなっている気がしないでもない。“二刀流”は、大雑把には
(1) 二つの物事をコンスタントに同時進行する
(2) 一つの物事に重点を置き、残り一つの物事は「たまに」のタイミングで取り組む
(3) ある程度の長期間一つの物事に集中し、それになんらかの区切りがついたら今度は残り一つの物事に集中する…を繰り返す
の3つに分類される。現在、大谷選手は(1)のパターンで、対するイチローは(3)のパターンへの移行を望んでいるわけだが、おそらく、このなかで比較的“容易”と推測されるのは(2)なのではなかろうか。私もコレで騙し騙し「イラストライター」を自称してはいるものの、(2)の最大の弱点は「重点を置いていないほうの技能が衆人から忘れ去られ、“二刀流”というよりは、○○“も”できる××扱いされてしまう」危険性を秘めていることである(私だったら「イラストも描けるライター」と呼ばれ、私がイラストレーターだということ自体を知らないクライアントさんも実際多かったりする)。
だったら「(1)のパターンでやりゃあいいじゃないか」ってことになるんだが、コレはコレでけっこう頭をイラスト脳から文章脳へと、瞬時にスパッと切り替えるのがむずかしい。私レベルでさえメンタルの切り替えでそこそこの苦労しているのだから、大谷クラスでメンタルはおろかフィジカルまで“日ごと”に切り替えるのは、相当にデリケイトな“スイッチ作業”を強いられるに違いない。ゆえに、もし環境や球団側が許すなら(3)のパターンのほうが、むしろ現実味を帯びているのでは……と、私は思うのだ。素人目からして……。
そりゃあ、「サイ・ヤング賞を獲った翌年にホームラン50本で本塁打王」なんて所業が途轍もなく困難な“茨の道”であることくらいは、しょせん「野球が趣味」でしかない私にだってわかっている。が、ここでもう一つ、イチローが語った金言中の金言をよ〜く聞いてもらいたい。
「もちろん、それは才能だけでは不可能でしょう。(でも)僕が見る限り、翔平にはその才能を磨いて活かす才能が備わっているように思います。実はほとんどの選手にそれが備わっていないのです」
「才能を磨いて活かす才能」──なんという珠玉で孤高かつ文学的な表現であることよ! 日本が誇る二人の才人のツメの垢を、オークションで入手してでも、煎じて飲ませてもらいたい!!