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■『君たちはどう生きるか』の感想文を発見
夏休みの宿題は昨年も出品されていました。読書感想文ならば、1人の出品者が複数出品することもあります。同じ本の感想文なら、いくらでも作れる、つまり一人の出品者がコピーをすれば大量に作れるのです。
課題図書や学校指定の本なら、それなりに需要があるのもうなずけます。実は以前、『君たちはどう生きるか』を買おうとメルカリをチェックしていたら、この本の感想文が出品されているのを見つけました。ベストセラーになったし、感想文にはもってこいだということで、夏休みに入る前から出品されていたのです。
ただ、メルカリで「感想文」と検索すると「感想文の書き方」や課題図書などの本が目立つので、感想文自体の出品は少ないようです(すでに削除されていたのかも)。
自由研究や工作に関しても、キットの出品が目立ちます。買ったのはいいけれど、やっぱり使わなかったという感じでしょうか。あとは工作の材料として、牛乳パックや食品トレイ、シーグラス、木材も見つかりました。材料を集めるのにも時間がかかるし、案外手間なので、必要とされているのでしょう。
■優秀すぎると先生に疑われる
売る側の目的は、単刀直入に言うとやっぱり「お金」でしょう。でも感想文やテーマ別の作文を書くには、文章術や構成法を知っていなければならないので、「ただただ書いている」わけではないような気がします。もしかしたら、ちょっとしたアルバイト感覚なのかもしれません。
実際に買ってはいませんが、出品されている作文はおそらく、賞をとるほどのクオリティーではないと思います。というより、いくら能力のある書き手でも本領を発揮できないと思います。同じ内容の作文が複数あったとして、それが何かの間違いで賞をとると大変ですよね。唯一無二の作文なら、(出品者の異議申し立てがない限り)心配不要ですが……実際のところは不明です。
工作や自由研究の場合は、趣味の範囲で出品されることもあります。ただこちらも、ものすごく優秀な研究だと、逆に出品できなくなるはずです。理由は上記作文と同じです。あまりに優秀な作品だと、学校の先生に疑われる可能性も否定できません。そのため、あくまで小学生や中学生が考えるレベルの内容なのかなと考えています。
いずれにせよ、「自分のつくった物がお金になるならば、出品してみようかな……」という軽いノリなのでしょう。今、ハンドメイド商品が人気ですが、自分の特技をいかすという意味では、似ている部分もあるのかもしれません。
「自分の特技をいかす」という観点で個人的におもしろいと思ったのは、書道のお手本です。メルカリにも出品されていますが、あくまでお手本なので文字の色は朱色。なので、そのまま書道展に出すことはできません。
余談ですが、私が子どもの頃に通っていた書道教室では、先生がお手本を書いてくれました。お手本は提出用の半紙と同サイズだったため、文字の大きさが一目で分かってすごく助かった記憶があります。さすがに先生の前でお手本をなぞることはできませんでしたけど……。
■「宿題が終わらない」から学ぶこともある
宿題を売ることについては賛否両論というか、むしろ批判が集まりそうです。そもそも宿題は、「終わらせることに意味のある」ものです。もちろん、サザエさんのカツオくんのように、夏休み終了ギリギリまで宿題が終わらず親に助けてもらう子どももいるでしょう。でも、それはそれで親子の関係性が保たれている証拠なのです。
かたや宿題を買う行為には、宿題が終わらずに焦る子どもや、文句を言いながらも手伝う親の姿はありません。「宿題が終わらないからこそ学べること」が学べなくなってしまうわけです。教育の意味を考えると、「宿題を買うのはどうなの?」という意見が強いのも納得できるかなと個人的には考えています。