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8月8日に放送された『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスと有吉弘行が交わした「悪口論」がネット上で話題になっている。
番組中では、視聴者の「人の悪口を言わない人が信用できない」という投稿をきっかけにトークが展開され、『スポニチアネックス』によると、双方の持論は以下のようなものであった……らしい。
「我々は悪口を言わないと生きていけない人間」(有吉)
「私たちは悪口をお金に変えてきた人間だからね。カマトトぶっているやつが一番怖い。絶対皆、悪口言ってるんだから。言わないってことはどこかがおかしいの」(マツコ)
「ちょっとでも悪いことしたらめちゃくちゃ叩くくせに、その反面、ネットでは皆が悪口ばっかり言ってるじゃん」(有吉)
「あれが人間の本性。ネットが詳らかにしてしまった。ちょっと気に入らなかったり、目についたらすぐに道徳心がないだの、倫理観がないだの言うくせに、自分たちが一番倫理観に欠けることをしている」(マツコ)
「でも、すごく人間っぽいなって思う。そこでガス抜きできているならいいと思うよ。私たちみたいに人前で言える人だったらいいけど、言えないで『う〜』ってなってる人たちにとっては、ネットに書き込めるってすごくよくできた機能だと思う」(マツコ)
ふ〜む……もはや世論をほぼ味方につけた感が否めない、最近のマツコと有吉の発言を手放し状態で称賛してしまうのは、一文筆家としてヤバいような気もしなくもないけれど、今回“も”残念ながら(?)、あらかたは正しいことを言っているのではなかろうか。
たしかに「人は悪口を言わないと生きていけない=人は悪口を言うために口がある」といった理屈は、極論でこそあれ“人間の本性”として確実に潜んでいる側面だと私も思う。ただ、世の中には「悪口を公然としたかたちで発言する勇気のない人たち」が大半を占めているのもまた事実で、こういう“大半の人たち”は「陰口」に活路を見いだすわけである。
マツコが指摘する「ネットに“ハケ口”を求め、それをガス抜きとする行為」も、その匿名性に守られ“比較的安全”とはいえ、れっきとした「陰口」にほかならない。しかし、そんな一種のオナニー的行為を他人にまで見せつけられたら……つまり、「陰口」を飲みの席などで酔いにまかせてブチまけられるのはどうだろう? やはり、心地の良いものではない。そもそもが「その陰口が口の軽い人からどんどん尾びれ背びれがついて広がっていく」リスクに対してあまりに無防備だと、むしろソッチの面でその人の見識を疑ってしまう。
よくよく考えてみると、「悪口のセンスに長けているがゆえ、それが商売にもなりうる」マツコや有吉のような人は、じつに恵まれた環境にいると言えよう。ここcitrus様から海のように大きなココロで「悪口を放言できる場」を提供していただいてる、かくなる私も「恵まれた環境にいる」一人であって、だからこそ私は「陰口」をネットに書き込んだり、人に聞いてもらったりするほどのストレスを溜め込まずに済んでいるのかもしれない。