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歯科医からは、あと考えられるのは心の病だとまで言われた。実は心身の疲労やストレスによって、病気ではないのに痛みが体に現れることがあり、実際、歯の痛みを訴える患者もいる。
そこで心療内科で受診。すると……頭の中で痛みを作ってしまっている可能性があるという。
この痛みは気のせい? ……そう言われても納得できず、彼女は7軒もの歯科医を訪ね、2本の歯と3本の歯の神経を抜いた。
こうして、歯の痛みに苦しんで5年。この日も半ば諦め気味に歯の痛みについて調べていると……「顔のコリ」についての記述に目が留まった。それはある病院のホームページだった。顔の筋肉のコリにより歯が痛むことがあるという。
顔がコル? まさかと思いながらも、なんでも試してみようとその病院を訪ねた。医師は彼女の状況を細かく聞いた後……触診を始めた。そしてこめかみを押したとき……歯に激痛が! そう、彼女の歯の痛みの原因は、顔の筋肉のコリによるものだったのだ!!
それは、筋・筋膜性歯痛と呼ばれる噛むための筋肉のコリ。これは顔の周りにある咀嚼筋という筋肉の痛みが歯の痛みとして感じられる状態だった。
咀嚼筋はこめかみや頬、首などに通っていて、くいしばりや歯ぎしり、片側でかむなど習慣的な疲労によってシコリが発生する。そのシコリによる痛みを脳は勘違いし、歯に痛みがあらわれることがあるのだ。
医師は彼女の歯痛の発生源と考えられるコリ、こめかみ、頬、クビを入念にマッサージした。すると翌朝……なんとウソみたいに歯の痛みが消えたという。ただし、一度の治療で完治するわけではなく、顔のストレッチなどでコリを改善する必要がある。
歯の痛みに悩み続けた女性は、歯そのものに原因があると思い込んでしまい、何本も歯を抜いてしまったことを後悔しているという。もし、歯が痛いと思っても、歯や歯茎に異常がなければ顔の筋肉のコリを疑ってみては? (2020年12月8日OA)
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