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(続けて)一番腹立つのはね、四六時中「番宣のために来てます」って顔して、最後に「番宣は〜」って振ったら、自分が出てる作品ね、その魅力ぐらい自分でしゃべればいいのに見事なカンペ読みでしょ。あれを見たとき、よくバラエティ班は我慢してるな……と。
(中略)バラエティ班のスタッフが悪いと思う。(中略)バラエティ班が(必要以上に)女優を持ち上げるでしょ? 同じ制作なのに。あの感じが極めて腹立たしい!
メインMCの今田耕司さん:誤解生むようなことやめて! 昔に比べて今の女優さん、俳優さんはすごいサービス精神がある。(昔は)もっと協力的じゃなかった。
う~~~ん……杉村さんと今田さん、どっちの言いぶんもわからなくはない。たしかに今田さんのおっしゃるとおり、昨今の俳優さんは、番宣でバラエティ番組に出演しても総じて協力的で、
「ドラマではシリアスな芝居をしているけど、普段はこんなお茶目な一面もあるんですよ」
……的なアピールをお茶の間に届けようと、番組が台本上で用意していた(バラエティ的な)無茶振りにも極力精いっぱい応じようと努力している……風に見て取れる。俳優の綾野剛さん(41)なんかは、どこぞかのインタビューで、
「(番宣とかで)バラエティ番組に出演させていただいたときは一生懸命なんでもやるようにしている。だって、一生懸命やらなきゃ“バラエティのプロフェッショナル“であるMCさんや芸人さんに失礼じゃないですか」
……みたいなことを語っていた。
だがいっぽうで、杉村さんが指摘するとおり、通常営業のバラエティ番組に主役クラスのそこそこ大物な俳優が登場したとたん、レギュラー出演者であるお笑い芸人やタレントや局アナ……などの “笑いの沸点”があからさまに20度近く急激にサーッと下がっていくような、いわゆる “サムい”感覚を、少なくとも私はしょっちゅう覚えている。
とくに、木村拓哉さんあたりの “超大物”がバラエティ番組に番宣で出演したときは、周囲の「気配り」という名の委縮っぷりが半端じゃない。もちろん、木村さん自身に “驕り”や “悪意”があるはずもなく、むしろ本人はそういう空気を払拭するため、必死でその場に溶け込もうとさまざまな試みをなされている様子なんだが、その真剣さがひしひしと伝わってくればくるほど、テレビの前にいる私(たち)は、
「もうやめて~~~っ!」
……と、ついついチャンネルを変えたくなってしまうのだ。
半年ほど前に、女優の江口のりこさん(42)が『マツコ会議』(日本テレビ系)に出演した際、
「私がなにに出たとしても、ドラマを見ようと思ってる人は見るし、見ない人は私がなにに出てもみないですから。本当に番宣ってなんの効果もないと思う」
……と、かなり過激な持論を展開していたが、私も「なんの効果もない」……とまでは言わないけど、「出演オファーやスケジュール調整などの苦労に見合うほどの効果はない」とは思っている。
バラエティとドラマでは同じ “演じる”でも、要求されるスキルはまったく異なってくるのだから、「番宣」だからといって俳優さんに無理やり中途半端なかたちでバラエティの真似事をやらせるのは、そろそろ考え直したほうがいいのではないか? 仮に「番宣」で出演したとしても、ただ淡々と宣伝すべきことを告知したら「はいサヨナラ」でかまわないのではなかろうか。
去年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演していたティモンディの高岸宏行さん(30)は、ドラマ中では “お笑い芸人”ではなく、完全に “役者”として仁田忠常役を好演していた。なのに「バラエティ」というステージでは、なぜそのような “片手間”が時おり許されるのか……私は不思議でたまらないのであった。
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