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アメリカの古い町と聞けば、ニューヨークやボストンを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?ニューヨークの町は1624年、ボストンの町は1630年に作られました。実はそれよりもっと古い町が、ニューメキシコ州のサンタフェという町で、1610年から存在。サンタフェより45年も古い町が、今回紹介する「セントオーガスティン(St. Augustine)」です。
フロリダ州はテーマパークやエンターテイメントが豊富なので、イメージ的に歴史とはちょっとかけ離れた感じがするかもしれません。しかし、アメリカでは、「セントオーガスティン(St. Augustine)」が最古の町とされています。
スペイン人のペドロ・メネンデス・デ・アビレスが、1565年9月に「セントオーガスティン(St. Augustine)」という町を作ったのが始まりです。町の名前は、キリスト教の教父と言われている、「アウグスティヌス(Augustine of Hippo)」を由来にしているとか。500年以上経った今でも、史跡エリアには、当時の面影が感じられる建造物達がたくさん残されています。
セントオーガスティン(St. Augustine)の町のすべてが史跡になっているわけではなく、US1から少し行ったセントジョージ通り(St. George Street)の道沿いに、古い町並み風景が広がります。
「サンマルコス砦(Castillo de San Marcos)」は、代表的な史跡スポットの1つです。1672年から1695年にかけて建てられた石造要塞で、当時このエリアは、スペインの統治下にありました。同じ頃、フロリダから近いサウスカロライナ州チャールストンには、イギリス人入植者たちが住んでいました。彼らは領地拡大のために、このエリアに攻撃を始めます。
1738年にスペイン人技術者ペドロ・ルイス・デ・オラーノの指示で、要塞の一部で修理と再建築が始まります。その2年後に、イギリス軍との包囲戦により中断。最終的に1756年に完了しますが、1763年から1784年まで、イギリス軍の手に渡ってしまいます。
後に再びスペイン軍が取り戻しますが、すでにアメリカが建国。その結果、アメリカ側に渡すことになりました。そして、19世紀に入ってからは、軍の刑務所として使われるようになります。最終的に1966年10月、国の歴史登録財に指定されました。現在は観光地になっていますが、そこに至るまで、複雑な歴史を持っています。
https://www.nps.gov/casa/index.htm
正確な築年数は分かっていませんが、1702年頃に建てられたのではないかと言われています。1716年の記録には、すでにこの建物があったとされています。
アメリカ国内で残存する最も古い木造の学校だと言われているのは、1780年10月にフォアン・ジェノプリ(Juan Genoply)という人がこの建物を購入。彼はギリシャのマニ半島出身の元大工さんで、自宅兼学校として子供達に読み書きを教え始めました。その後、生徒達の数が増えたため、2階を増築して1階が教室、2階の一部を自分と家族の共有スペースとして使っていました。
建物の内部には、当時の様子を再現した展示がされていて、18世紀頃に使われていた教科書や台所用品等があります。また、庭にピーカンの木がありますが、樹齢250年以上経っているそうです。
https://oldestwoodenschoolhouse.com/
1492年にクリストファー・コロンブス(Christopher Columbus)がアメリカ大陸周辺にあるサン・サルバドル島に上陸したことから、コロンブスの名前の方が有名になっていますが、実はフロリダ半島にヨーロッパ人として初上陸したのは、スペインの探検家フォアン・ポンセ・デ・レオン(Juan Ponce de León)ではないかという説もあります。彼は、プエルトリコの最初の統治者でもあり、2回目の航海でクリストファー・コロンブスに同伴したとも言われています。
そんな彼が見つけたのが、「若返りの水」。若さを取り戻す特別な力があるとされ、現在は公園の敷地内にあります。
https://www.fountainofyouthflorida.com/
1968年から大学のキャンパスになっていますが、それまでは「ポンセ・デ・レオン・ホテル(Ponce de Leon Hotel)」として使われていました。1885年にスペインのルネッサンス様式のデザインで建設され、こちらも国の歴史建造物に指定されています。
https://legacy.flagler.edu/products/historic-tour-of-flagler-college-former-hotel-ponce-de-leon
筆者の感覚として、セントオーガスティンの史跡エリアの散策は、半日~1日程度あればできます。食事をしたり、ショッピングをしたりしたとしても、数日滞在したら充分だと感じました。下記には時間に余裕のある人向けに、セントオーガスティンと一緒におすすめしたい周辺観光スポットを挙げてみました。
セントオーガスティンを訪れた際に一緒に見学できるところが、「ジャクソンビル(Jacksonville)」です。車で、北に45分程度行ったところにあります。町の中心部には、さすが大都市ならではの高層ビルが立ち並びます。
「ジャクソンビル動物園と庭園(Jacksonville Zoo and Gardens)」や、州内唯一の植民地時代の邸宅「キングズリー・プランテーション(Kingsley Plantation)」が観光できますよ。
https://www.jacksonvillezoo.org
https://www.nps.gov/timu/learn/historyculture/kp.htm
「デイトナビーチ」は、セントオーガスティンから車で南に1時間程行ったところにあります。「モーターレースの中心地」とも言われていて、車好きの人達が多く集まります。そして、その代表的な場所が、1959年に建設された「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ(Daytona International Speedway)」。NASCARの統括するストックカーレースの会場としてオープンして以来、定期的にレースが開催されています。
その他にも、デイトナビーチの砂浜は、とってもきれいです!真っ白な砂浜に辺り一面青い海が広がるので、ぜひここは訪れていただきたいところです。砂浜といえば、歩行限定になることが多いのですよね?しかし、ここでは、車で行くことができます。有料で区間やスピード規制はありますが、歩くのとはまた違った感覚で味わえるのも魅力です。
https://www.daytonabeach.com/things-to-do/attractions/daytona-international-speedway/
https://www.daytonabeach.com/things-to-do/beaches/driving-on-the-beach/
今回は、セントオーガスティンの歴史と見どころスポット、そして、周辺都市の観光スポットについてまとめてみました。
アメリカ最古の町がフロリダ州にあるなんて!とビックリした人もいると思います。みなさんもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
余暇プランナー
アメリカ合衆国・フロリダ在住の日本語講師兼フリーライター。学生の頃から旅行が好きで、国内はもちろん、海外は25か国以上の国に行きました。渡米後の最初の3年間は、現地レストランでの勤務やツアーガイドを経験。その後は日本語講師になり、多国籍の人達と接してきました。最近ハマッていることは、ペスカタリアン料理めぐり。10年以上前から、ペスカタリアンの食生活を送っています。
アメリカ国内で最古の町!?「セントオーガスティン(St. Augustine)」の見どころ4選と周辺都市