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ブロードウェイというのは、劇場街の名前です。NYのマンハッタン島のほぼ真ん中、南北に走るブロードウェイ・ストリートのまわりに、大小の劇場がひしめいています。エリアでいうと、タイムズスクエアを中心に41丁目から54丁目あたりでしょうか。
旅行雑誌などでは、「本場のミュージカルを見よう」と取り上げられることが多いですが、ブロードウェイ=ミュージカルと考えるのは、ちょっと待って!
ストレートプレイ(台詞劇)もフィジカルシアター(身体を使った表現を中心にしたもの)もショー形式の作品もあります。
「英語が分からなくても、音楽とダンスも含めて構成されているので旅行客でも楽しめる」が、ミュージカル推しの理由だと思いますが、面白いショーやパフォーマンスをやってるところもあるので、ぜひチェックしてみてください。
ブロードウェイの劇場は、客席数によって3つに大別されます。
いわゆる「ブロードウェイの劇場」がオン・ブロードウェイの大劇場。それより、小さなものはオフ・ブロードウェイになります。
オフオフ・ブロードウェイは、単純に客席数100以下の劇場を指すこともあれば、「1960年代におきた商業主義的なオンやオフに対抗して、実験的な演劇革新を実践したアメリカの演劇運動とそれを行った場所」という意味があります。
オン・ブロードウェイでも、一番大きなガーシュイン劇場で1933人収容なので、東京宝塚劇場の2079人よりも少ないです。ちなみに、帝国劇場は1826人。
https://www.at-broadway-musical.com/theater/#heading4
ブロードウェイ作品を調べると、上演初日の「オープン」と共に、閉幕したときの「クローズ」という文字が目に入ってきます。日本の公演は上演期間が決まっていることが多いので、これはロングラン公演ならではの表記ですね。つまり、お尻が決まっていないため、お客の入りが良ければ「クローズ」せずに、ずっと続くということ。その代表が、1960年から42年続いた、オフ・ブロードウェイの「ファンタスティックス」です。
ロングランの場合は、‟1週間に休演日が1日あって昼夜含めて8回公演”のスケジュールが多いですが、そのおかげで、いつ行っても、どこかの劇場で何かをやってる状態が生まれます。
とりあえず、観劇したいと思ったら、タイムズスクエアにあるチケッツ(tkts)に行ってみてください。当日券が定価の30~50%という割引料金で購入できます。ただし、どの作品のどの券種が残っているかは行かないと分からないので、お目当ての作品がある方は、公式ウェブサイトや劇場の窓口で事前購入を。
https://locotabi.jp/newyork/guide/tp-sp-tourism_broadway
ここ数年は、日本以上に、コロナの影響を多大に受けていて、劇場が一斉にクローズしたのち、ようやく息を吹き返してきたところ。そして、ブロードウェイの公演は、出資者をつのり商業ベースで上演していることが多く、収益が見込めるか?はシビアに判断されます。
オフ・ブロードウェイで29年続いた「STOMP」も、コロナが落ち着いてから再開したものの、今年の1月にクローズ。現在はワールドツアーを行っています。
ブロードウェイはロングランが多いといっても作品が続く保証はないので、気になる演目がある場合は、早めの観劇がおすすめです。
https://www.nyseikatsu.com/entertainment/12/2022/37208
ブロードウェイで活躍する日本人アーティストは2000年代になってジワジワと増えています。米倉涼子さんの「シカゴ」出演のように、日本の芸能人がブロードウェイデビューするとマスコミがこぞって取り上げますが、地道に自らの力で切り拓いている方もたくさんいらっしゃいます!
STOMPの元メンバー。上記のサイトにも載ってますが、ポスターにも起用されたトップストンパー。私は2008年の公演時に拝見しましたが、サブではなく、完全にメインのキャストとして出演されていて、ソロパートもあり圧巻のパフォーマンスでした。現在は和太鼓グループ「COBU鼓舞」主宰。
2016年加入のSTOMPの現メンバー。トランぺッター・タップダンサーの日野敏さんを祖父にもち、16歳で渡米。今年8月の来日公演にも出演予定です。
https://newscast.jp/news/3572000
文学座、テアトル・エコーの養成所を経て渡米。「モロー博士の島」でエジンバラ国際フェスティバルに参加。主にフィジカルシアターの分野で活躍し、2017年オフ・ブロードウェイの「バベル」に出演。二人芝居「オレアナ」では出演だけでなくプロデュースも担当されています。
https://www.yomitime.com/121915/2201.html
高校卒業後にニュージャージー州の州立大学演劇科へ入学。アメリカでの活動を模索するもいったん帰国。劇団四季を経て、再渡米します。2012年「メリー・ポピンズ」にて北米ツアーに出演。2015年「王様と私」でブロードウェイデビュー。
https://forbesjapan.com/articles/detail/32491
日本のミュージカルスクールで基礎を学んだのち、カナダの高校へ留学。ハートフォード大学のミュージカルコースへ進学し、大学時代からオーディションを受けまくって、アメリカ国内の公演に出演。2018年「ミーンガールズ」でブロードウェイデビュー。
https://bwpnyjapan.com/interview-rizatakahashi1
大阪芸術大学ミュージカル学科卒業後、渡米。2018年から2019年にかけてミュージカル「王様と私」の全米ツアーに出演。コロナ禍での活動自粛を乗り越え、2022年「ファニー・ガール」でブロードウェイデビュー。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/169861#
日本でオリジナルミュージカルを創作し続ける音楽座の看板スター。2022年は一年間休業してNYへ留学。留学といっても高野さんの場合は、体当たりで実践!ミュージカルのWSに参加したり、ソロライブを敢行したり。9月にはホリプロの「生きる」に出演予定です。
https://horipro-stage.jp/stage/ikiru2023
2011年にモントリオール初演の「猟銃」で初舞台を踏んだ中谷さん。実力派女優が舞台に挑戦するのはよくあることですが、初めての作品が海外の演出家というのは、非常にまれなケースでした。その「猟銃」が、2023年4月にバリシニコフ・アーツ・センターで再上演。二人芝居の相手役は、劇場に名を冠したミハイル・バリシニコフその人です。既存作品のブロードウェイ進出という形ではあるけれど、過去に例のない画期的な試みでした。
https://tspnet.co.jp/whats-ons/ryoju-2023/
今や、日本人アーティストがステージに立つまでになったブロードウェイ。作品選びは、どんな内容かで決めることが多いと思いますが、出演者やクリエイティブチームによって選んでみるのもおすすめです。
劇場という空間は、舞台から発する生のエネルギーが直接客席に届く場所!その作品が面白くてもよく分からなくても、貴重な旅の思い出になります。ぜひニューヨークに行った際は劇場へ足を運んでみてください。
https://www.veltra.com/jp/north_america/new_york/?sid=1554ctg/1653:1653/?sid=1554
https://www.veltra.com/jp/north_america/new_york/?sid=1554
出典・参考
- ブリタニカ国際大百科事典
- コトブキシーティング株式会社(帝劇リニューアル担当)
- 『ミュージカル作品ガイド100選』2001年、成美堂出版
余暇プランナー
小さい頃の夢は「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、ライターのtomokoです。本業は演劇と外画アニメの演出をしています。子供向けの番組を数多く担当しているからか、小さな子供とすぐ仲良くなれるのが特徴。よく一人旅に出るので独身と間違われますが、既婚です。旅先では美術館や博物館に行くことが多いです。どうぞ宜しくお願い致します。
【NY】ブロードウェイ観劇のススメ~現地で活躍する日本人アーティスト~