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寿司のネタやしょうゆ漬けなどとして人気のあるいくら。
いくらにはどのような栄養が含まれ、健康によい働きはあるのでしょうか?
また、いくらを食べる際の注意点があれば知っておきたいですよね。
今回の記事では「いくらの栄養」「適切な食べ方」について管理栄養士が解説します。
いくらは抗酸化作用を持つアスタキサンチンや、動脈硬化を防ぐEPAやDHAなどを含み、さまざまな効能が期待されます。
具体的な効能について、詳しく確認しましょう。
いくらの赤い色味はアスタキサンチンという成分によるものです。
アスタキサンチンには紫外線から肌を守る機能や、乾燥を防ぐ機能があると報告されています。
また抗酸化作用により、肌のシミやシワなど老化の原因となる活性酸素の働きを抑える作用もあります。
肌を若々しく保つために、必須ともいえる成分です。
いくらには、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸が含まれています。
これはサバやアジなどの青魚にも含まれる脂肪酸で、動脈硬化、心筋梗塞などの循環器疾患予防、血中中性脂肪値を減らす作用などが期待されています。
とくに血圧やコレステロール値、血糖値が気になる方は動脈硬化のリスクがあるため、意識して取り入れましょう。
いくらには100gあたり32.6gと、豊富なたんぱく質が含まれています。
たんぱく質は筋肉の材料となるほか、ホルモンの材料になるなど身体に欠かせない役割があります。
トレーニングや運動をしている方のたんぱく質補給はもちろん、子どもから高齢の方まで、不足することなく補いたい栄養素です。
鉄は鉄欠乏性貧血の予防に欠かせません。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運搬する役割があります。
ヘモグロビン濃度が低下している貧血の状態では、酸素をうまく運べなくなり疲れやすさや息切れなどの症状や、運動機能の低下を引き起こすことがあります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康を保つうえで欠かせない栄養素です。
ビタミンDは野菜や果物などには含まれず、いくらをはじめとする魚介類に多く含まれます。
ビタミンDは不足がちな栄養素ですので、魚介類から意識的に取り入れましょう。
いくらに含まれるビタミンAとビタミンEには、アスタキサンチンと同様に抗酸化作用があります。
抗酸化作用は肌を健やかに保つだけでなく、動脈硬化やがん、免疫機能低下を引き起こす活性酸素の働きを抑える作用があります。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果」
身体にうれしい効能が期待できるいくらは、食べる際に気を付けることはあるのでしょうか?
知っておきたい注意点をいくつかお伝えします。
魚介類は味付けをしていないそのままのものでも、塩分(ナトリウム)を含んでいます。
いくらは100gあたりの食塩相当量は2.3gと、小さじ1/2ほどの塩分が含まれます。
しょうゆ漬けなど加工されたものではさらに塩分が含まれるため、食べすぎには注意が必要です。
またいくらを食べる際は、塩分を排出する働きのあるカリウムを一緒に摂るとよいでしょう。
カリウムは野菜や果物、海藻類に含まれています。
いくらは100gあたり480mgのコレステロールを含みます。
魚介類の中でもとくに多く含まれるため、食べすぎは禁物です。
コレステロールはホルモンの材料となり身体に必要な成分ですが、食べ物から摂りすぎると血中コレステロール値を高める原因のひとつとなります。
とくにコレステロール値が気になる方の場合、食べ物からのコレステロール摂取量を1日200mg未満にすることが勧められています。
これは、いくら40gほどで満たしてしまう計算です。
また食べる際は、コレステロールの排出を助ける、野菜や海藻類などに含まれる食物繊維を一緒に摂るとよいでしょう。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,一般社団法人日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
最後に、いくらの栄養素をムダなく効率的に摂るコツをお伝えします。
いくらを食べる際は、カルシウムを含む食べ物と組み合わせると効果的です。
いくらにはカルシウムの吸収を助けるビタミンⅮが含まれていますが、カルシウムはあまり含まれていません。
カルシウムは乳製品、干しえびやちりめんじゃこなどの小魚類、大豆製品、緑黄色野菜などに含まれています。 意識して組み合わせてみましょう。
いくらを食べるときは野菜や海藻類たっぷりを心がけましょう。
先ほど伝えた通り、いくらには塩分やコレステロールが多くなっています。
野菜や海藻類には、塩分の排出を助けるカリウム、またコレステロールの排出を助ける食物繊維が含まれています。
また、いくらにはあまり含まれないビタミンCの補給も可能です。
サラダや和え物、スープなどで野菜や海藻類を意識して取り入れましょう。
今回の記事では「いくらの栄養」について管理栄養士が解説しました。
いくらは健康づくりや美容に役立つ栄養補給にぴったりな食べ物です。
食べすぎに注意しながら、おいしいいくらを上手に取り入れましょう。