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友達の家、座敷のあるレストラン、靴を脱ぐ場面は日常生活でもたくさんありますよね。
そんな時に「自分の靴や足が臭ってるんじゃないか……」と心配になったことはありませんか?
靴や足の防臭についてネットで調べても、方法や対策がたくさんあってどれを選べばいいかわからなかったりしますよね。
今回の記事では、靴のニオイに悩めるあなたに、クリーニング歴15年「おうちクリーニング研究家」が「靴の臭い消し・防臭対策」について解説します。
靴のニオイの原因は、足の皮膚常在菌(雑菌)です。足に住み着く雑菌が、皮脂や角質を餌として「イソ吉草酸アルデヒド」という物質を排出します。
そのイソ吉草酸アルデヒドが、納豆やチーズの腐ったニオイなどと言われる「臭い足のニオイ」の正体です。
靴のニオイに限らず、衣類や靴に付着するほとんどのニオイの原因は雑菌です。
雑菌が汚れや皮脂をエサに繁殖し、その雑菌の排泄物が不快なニオイを放ちます。
靴は両足で1日コップ一杯の汗をかくと言われています。通気性の悪い靴の中はまるで亜熱帯状態で、雑菌がもっとも繁殖しやすい環境なのです。
雑菌の繁殖により、嫌な臭いがついてしまった靴の消臭方法をみていきましょう。
ネットではたくさんの靴の消臭方法が拡散されていて、どれを選択していいのか判断が難しいですよね。
そこで、実際に消臭方法を試して検証してみました。
一週間はきっぱなしだった靴の中敷を使って、どんな方法が実際に消臭に効果があるのかを確かめます。
なお、検証する方法は次の通りです。
・消臭スプレー
・10円玉
・重曹
・コーヒー豆のカス
・逆性石けん
・洗剤で洗う
・ミョウバン
それでは順番に解説していきます。
まずは定番。お手軽な市販の消臭スプレーから試します。
効果 :◯(スプレーの種類による)
手軽さ:◎
コスト:△
消臭スプレーは体臭に効果の高い「リセッシュ除菌EX 消臭ストロング」を使用しました。
脱いだ靴全体がしっとりぬれるくらいスプレーして乾かします。
【結果】
乾いた瞬間から気になるニオイが消えました。
買ってきてスプレーするだけなので手軽。
【デメリット】
スプレー自体のニオイが強く「消臭しました」感を主張してきます。
さりげなく消臭したい人には不向き。
スプレーの香りが残ることと、乾くまでに時間がかかるので、靴にスプレーして1日休めるくらいがちょうどよいでしょう。
効果 :◯
手軽さ:×
コスト:◎
靴の消臭で調べると、手軽な方法として紹介されている10円玉。
10円玉の原料の95%が銅。銅は水分に反応して銅イオンが発生します。その銅イオンが抗菌してくれるのです。
10円玉と靴の中の湿気が反応して銅イオンが発生しやすく消臭効果が上がります。
【結果】
すぐに効果は出ませんでしたが、3時間を過ぎたあたりからイソ吉草酸の酸っぱいような香りが気にならなくなり、逆に金属の強いニオイを感じるようになりました。
完全にニオイが消えることはありませんでしたが、靴のニオイは大幅に軽減されます。
確かに効果は感じられました。
【デメリット】
すぐには効果が出ず、消臭されるまでに時間がかかります。
手軽な方法として紹介されるされることが多い10円玉消臭ですが、じつはそこまで手軽ではなく、それなりに手間がかかります。
汚れた10円玉だと銅イオンが発生しにくいため、きれいな10円を見つけてくるか、なければ使用前に10円玉の洗浄をしなければなりません。
お酢を使って磨くときれいになりますが、汚れるたびに洗浄が必要なので正直面倒くさい一面も。
ちょうどよい10円玉が手元にあれば、試してみるとよいでしょう。
効果 :△
手軽さ:◯
コスト:◎
重曹は弱アルカリ性です。
重曹のアルカリ性でイソ吉草酸の酸性を中和して消臭するというロジックなのですが、重曹のアルカリ度はそれほど高くありません。
重曹を粉のまま不織布に包んで消臭しても、一晩経っても消臭はされませんでした。
水に溶かしてスプレーすると少し効果はありましたが、ニオイが気にならなくなるほどではなかったです。
残念ながら重曹で靴のニオイは消臭できませんでした。
効果 :△
手間 :×
コスト:◎(廃品利用の場合)
飲んだあとのコーヒーカスを天日乾燥させ、不織布に包んでシューズキーパーのようにして消臭してみました。
コーヒー豆は酸性なので、酸性のイソ吉草酸のニオイを消すのは無理だろうなと思って始めてみると意外な結果となりました。
【結果】
10分ほどで靴のニオイが気にならなくなり、靴の中敷がコーヒーの香りになりました。
靴のニオイの度合いによると思いますが、「消臭した」というよりはコーヒーの香りで靴の臭いを上書きした感じです。
おそらく、コーヒーの酸味のある香りと酸味のあるイソ吉草酸との香りが相性が良かったのでしょう。
コーヒーのカスは意外にも効果がありました。
【デメリット】
飲んだあとのコーヒー豆を天日干し完全に乾くまでに2〜3日、手間も時間もかかります。
常に新しいコーヒーカスが必要なので、コーヒーを飲んだら天日干しという習慣化が必要。なかなかハードルは高めです。
効果 :◯
手間 :◎
コスト:◎
逆性石けんは「石けん」という名前ですが石けんではなく殺菌剤です。
医療や介護の現場ではとてもポピュラーなもので、ドラッグストアでも入手可能な商品です。
逆生石けんは、菌を付きにくくする抗菌ではなく、菌を死滅させる殺菌効果があるのでニオイ全般に効果が高いのです。
その逆生石けんを水で20倍に薄めて、全体に軽く湿る程度に靴の中敷にスプレーします。
【結果】
スプレーした瞬間から、ほとんどニオイは気にならなくなりました。
乾くとニオイ戻りがあり、うっすら靴のニオイを感じましたが気になるほどではありません。
逆生石けんは1本(500ml)500円ほどで、ドラックストアであれば比較的どこでも販売されているため 手に入れやすくコスパも高いでしょう。
洗濯にも掃除にも使えるので、持っておくと重宝する1本といえます。
【デメリット】
靴によっては色落ちの心配があります。
使用の際は目立たない場所で試してから全体に使ってください。
効果 :◯ (洗剤による)
手間 :△
コスト:◯
洗える靴であれば、洗剤で丸洗いしてしまった方がすっきり消臭できて気持ちいいでしょう。
できれば洗剤は、皮脂汚れに強い弱アルカリ性のものを使ってください。
洗浄効果が強力な粉末洗剤を使うと、除菌もできてニオイもつきにくくなります。
除菌もできる液体洗剤は「アリエールの除菌プラス」だけですが、酸性洗剤なので靴を洗うには落ちがイマイチなのです。
最近は靴を洗濯機で洗うための靴用の洗濯ネットなども販売されています。型崩れに気をつけつつ洗濯機で洗えば、手間はぐーんと減ります。
【結果】
優しく洗う中性洗剤ではなく、しっかり洗える粉末洗剤や弱アルカリ性の液体洗剤を使うと靴のニオイは取れやすくなります。
手洗いするなら、洗濯用の洗剤ではなく薬用洗剤を使うと消臭効果が高いですよ。
【デメリット】
革など靴によっては洗えないものが多いのが欠点。
ミョウバンは、古代ローマでも使われた世界最古のデオドラント剤と言われています。
白い結晶状のミョウバンを乾燥させ粉末にしたものが「焼きミョウバン」としてスーパーやドラッグストアで販売されています。
ミョウバンは水に溶かすと酸性になり、ニオイの原因となる菌を殺菌します。
とくに、ワキガの原因となるアポクリン腺から分泌される汗はアルカリ性なので、酸性のミョウバン水とは中和作用がおきて消臭効果絶大。
しかし、靴の臭いの原因であるイソ吉草酸アルデヒドは酸性です。
多少の除菌効果はあったもしれませんが、今回の検証では靴のニオイは完全に消せませんでした。
長い目でみると、菌が減ってニオイは軽減するかもしれません。
そんなミョウバンで靴のニオイを解消するのは、水に溶くスプレーではなく粉末のまま使うのがおすすめ!
靴のデオドラントパウダーとして有名な某消臭パウダーの主原料は、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)とタルクと酸化亜鉛です。
タルクと酸化亜鉛であれば「ビジョン薬用ベビーパウダー」に配合されているので、まったく同じではなくとも靴用消臭パウダーに似たものは自作できます。
焼きミョウバン6に対しベビーパウダー1で配合してください。
イソ吉草酸にはセージエキスが効くので、もしあればセージオイルを1、2滴入れると効果が高くなります。
筆者はセージオイルは持っていなかったので、ハッカを使いました。
靴の中敷きにパフを使って満遍なく塗布。1時間ほどすると効果が現れました。自作の消臭パウダーでも効果あります!
安価に作ることができるので、思い切りよく使えてコスパも良いですね。
ミョウバンは殺菌作用以外にも収れん性があり、毛穴を引き締めて汗の発生も抑えてくれるため、足汗対策にもおすすめです。
【デメリット】
粒子が細かくパウダーを吸い込みやすいので注意が必要です。
手袋をせずに触ると手指の水分を取られてしまって指先が少しかさついてしまいました。
乾燥肌の方は乾燥しすぎてしまうかもしれません。
靴のニオイは、一度付いてしまうと簡単に取り去るのは難しくなります。
そのため、日々できるちょっとした気遣いで、できるだけ靴にニオイがつかないようにするとよいでしょう。
靴は毎日同じものを履かず、何足かをローテーションさせることをおすすめします。
履かない靴は風通しのよいところで1日休ませて、湿気を飛ばしてから靴箱に入れるようにしましょう。
雑菌の増殖を防ぐことができ、嫌なニオイの対策となります。
締め切った靴箱の中は、じめじめと湿気が多く雑菌の住み家としては最高の条件です。
靴は詰め込みすぎず、時々靴箱のドアを解放して換気を心がけましょう。
換気が面倒な場合は市販の乾燥剤などを使うのもおすすめです。
靴のニオイの原因なる雑菌は、靴から発生するのではなく、履く人の足から来ています。
足を清潔に保つことで、靴に雑菌やニオイが発生する可能性を下げることができます。
入浴時に足を洗う際、足の指の間まできちんと洗えていますか?
足の指の間にはたくさんの雑菌が潜んでいます。入浴の際には、足の指の間も石けんできちんと洗うようにしましょう。
足の臭いが気になる方は、通常のボディソープや石けんではなく、雑菌用石けんを使うとより効果的です。
市販されている足用のデオドラントクリームを使うことで、菌の繁殖や臭いを防ぐことができます。
洗ってもなかなか足のニオイがとれない場合は、デオドラントクリームを試してみるとよいでしょう。
靴下に気を付けることも、靴の臭い対策には有効です。
化学繊維の靴下はニオイがこもりやすいため、綿など天然素材の吸水性や通気性が良い靴下を試してみましょう。
また、ストッキングは蒸れやすいため、消臭パウダーや消臭スプレーと合わせて履くとよいでしょう。
ほかにも、汗をかいた靴下はなるべく早く清潔なものに履き替えることで、靴に臭いが移ることを防げます。
※消臭スプレーと洗剤は種類によって靴のニオイを軽減できるものとできないものがあるのでご注意ください。
今回の記事では、クリーニングのプロが「靴の臭い消し・防臭対策」について解説しました。
一度靴に臭いが付いてしまうと、軽減できるものの完全に臭いをなくすことはなかなかできません。
まずは靴に臭いが移らないよう、清潔な足の状態を保ちましょう。
それと同時に、靴そのものを清潔に保つことも臭い対策には重要です。
靴の臭いで悩んでいる方は、ぜひ当記事の方法を試してみてください。