年中手ごろな価格で手に入り、食べやすい形と味わいが人気のバナナ。実はさまざまな種類の糖質が含まれており、私たちの身体の優秀なエネルギー源となってくれる果物なのです。そこで今回はバナナに含まれる栄養成分と期待できる効果について、管理栄養士が解説します。

バナナは優秀なエネルギー源!

バナナは糖質を多く含む果物です。その糖質の種類に注目してみると、でんぷん・ブドウ糖などさまざまな種類がバランスよく含まれています。バナナ100gあたりのでんぷん・ブドウ糖・果糖・ショ糖の量は以下の通りです。

糖質は種類によってエネルギーに変換される速さが異なります。バナナには吸収スピードの速い糖質から遅い糖質までまんべんなく含まれており、持続的に糖質がエネルギーに変わり続けるので、効率的なエネルギー補給に役立ちます。

とくに糖質のひとつである「ブドウ糖」は、身体を動かすためだけでなく脳の大切なエネルギー源としても働きます。不足すると頭がボーッとしたり、集中力が落ちたりすることもあるため、不足なく摂っておきたい栄養素です。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

糖質以外にも健康に役立つ栄養成分が含まれる!期待される効能は?

先に紹介したように、バナナにはエネルギー補給に欠かせない糖質がバランスよく含まれています。さらにバナナにはその他の魅力的な栄養素も含まれているので、それぞれにどのような効能が期待できるのか解説します。

整腸作用が期待できる「フラクトオリゴ糖」

バナナに注目される栄養素のひとつが、消化されにくい糖質「フラクトオリゴ糖」です。フラクトオリゴ糖は摂取してもすぐに吸収されずに大腸まで届くという性質があります。大腸に到達すると腸内細菌のエサとなり善玉菌が活発に働くため、フラクトオリゴ糖には腸内環境を整える効果が期待できます。

便秘気味であったり、便通リズムが整わなかったりする方は、整腸作用があることで有名な食物繊維とあわせて、フラクトオリゴ糖も食事に取り入れてみるとよいですね。

代謝を助ける「ビタミンB群」

バナナにはビタミンB群も含まれます。

ビタミンB群の中でもビタミンB1は糖質代謝、ビタミンB2は脂質代謝を促してくれるため、エネルギーをスムーズに作り出すには欠かせない栄養素です。そのほかにもたんぱく質を分解・合成するのを助けるビタミンB6、貧血予防が期待される葉酸など、さまざまな種類のビタミンB群がバランスよく含まれています。

またビタミンB群は水に溶けやすいため、調理法次第で損なわれやすい栄養素です。しかしバナナは生で食べることがほとんどなので、ビタミンB群をムダなく摂取したいときにはピッタリだといえますよ。

むくみや血圧が気になる方に役立つ「カリウム」

バナナはカリウムが多い果物としても有名です。カリウムはミネラルの仲間で、身体の不要なナトリウムを排出し、水分量の調整もしてくれます。そのためカリウムには水分が溜まることで生じる「むくみ」や、塩分の摂りすぎが原因のひとつになる「高血圧」の予防、改善の効果が期待できます。

バナナは追熟させると栄養価アップ?

海外で収穫されたバナナは皮が緑色の状態(熟しきらない状態)で輸入されます。私たちが店頭で目にする黄色いバナナは追熟させられたもので、さらに常温でしばらくおいておくと、茶色い斑点が皮の表面にあらわれるようになります。

成熟の程度によるバナナの変化は皮の色だけではなく、栄養価にもみられるようです。

たとえば先述のフラクトオリゴ糖と同じような働きを持つ糖質「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」は緑色のバナナに最も多く含まれ、熟成が進むにつれその量は減少するという研究結果があります。

反対に抗酸化作用が期待される「ポリフェノール」の含有量は熟成が進むほど高くなると考えられているため、ポリフェノールをしっかり摂りたい場合は緑色のバナナよりも茶色いバナナの方がおすすめです。

さらに人が対象の研究ではありませんが、皮が茶色いバナナには免疫機能の向上がのぞまれる「インターロイキンー12」や、胃潰瘍の改善が期待される「リン脂質」が多く含まれるとの報告もあります。

栄養価に変化がある一方で、カロリーや糖質の量については熟成具合によってほとんど変化しないと考えられます。こちらについては以下の記事でくわしく解説しているので、あわせて参考にしてみてくださいね。

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【管理栄養士が解説】バナナ=太るは誤解?カロリーとダイエット中の取り入れ方のコツ

パパッと皮を剥くだけで簡単に食べられるバナナは、濃厚な甘みが魅力でおやつにもピッタリです。しかし甘さを強く感じることから「カロリーが高いのでは?」「ダイエット中は避けた方がいいのかな?」と心配になることも。そこで今回はバナナのカロリーについて管理栄養士が解説します。気になる糖質の量や1日の摂取量の目安も紹介するので、ダイエットをしているという方はぜひお役立てください。

※参照:CiNii 論文「バナナの澱粉に関する研究」,バナナ大学「熟度3段活用」

カロリーや糖質は果物の中だとやや高め

バナナ100gあたりのカロリーは93kcal、糖質の量は21.4gであり、ほかの果物と比べると高い分類に入ります。しかしエネルギー源として挙げられることの多い炭水化物(ごはんやパンなどの主食)と比べれば、低カロリーであるといえるでしょう。

バナナの食べすぎは体重が増える原因にもなるため、ダイエットの足かせとなってしまいます。1日およそ1本程度を目安に取り入れるようにしましょう。

日々の食事にバナナを上手に取り入れて健康を維持しよう

バナナは複数の糖質をまんべんなく含んでいるため、効率的なエネルギー摂取に向いています。また健康や美容に活かしたいフラクトオリゴ糖、ビタミンB群、カリウムなども一緒に摂れるというメリットも!熟度によって栄養価も微妙に異なるので、目的に合わせて食べ方を工夫してみてくださいね。

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 バナナの栄養はエネルギー補給にぴったり!熟度による違いも解説