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貧血に悩まされている女性は多いもの。「貧血には鉄を豊富に含むレバーやほうれん草を食べるといい」というイメージのある方は多いと思いますが、貧血を予防・改善する食べ物は他にどんなものがあるのでしょうか?コンビニで手軽に買える貧血対策になる食べ物や、避けるべき食べ物とあわせてご紹介します。
そもそも一口に貧血といっても、いくつかの種類があり、原因、症状も異なります。貧血の種類によっては、食べ物などで自己改善をはかるのではなく、すぐに医師に相談したほうがいい場合もあります。
貧血は以下の4種類にわけることができます。
貧血の中でもっとも多くの人に見られるのが「鉄欠乏性貧血」で、この場合は食べ物での改善を図ることができます。特に女性の場合、月経・出産の出血によって鉄不足になりやすく、妊娠中は鉄の必要量が通常よりも増えるため鉄欠乏性貧血になりやすいと言えます。ただし、鉄不足の原因が胃切除などによる吸収障害の場合は、食べ物で対処することはできません。
また、鉄欠乏性貧血よりは稀ですが、鉄以外にも、ビタミンB12や葉酸が不足すると「巨赤芽球性貧血」と呼ばれる貧血を引き起こすこともあります。偏食等が原因の場合は食べ物での改善を図ることもできますが、こちらも胃切除などを行っている人の場合は、内服薬や注射による補充療法を行います。
さらに、骨髄にある造血幹細胞が減少することにより、白血球、赤血球、血小板など血液細胞全てが減少する「再生不良性貧血」や、赤血球の膜が壊れることによって起きる「溶血性貧血」は、専門的な治療が必要になる病気です。
次に紹介する鉄欠乏性貧血の症状に加え、身体にアザができやすい、鼻血や歯肉出血が出やすいなどの症状(再生不良性貧血に見られる症状)、黄疸・胆石・褐色尿などの症状(溶血性貧血に見られる症状)がある場合は、血液内科の医師の診察を受けるか、かかりつけの医師に相談してください。
参照:東京都病院経営本部ホームページ「貧血の食事」,慶応義塾大学医学部血液内科「溶血性貧血」,「再生不良性貧血」
もっとも多くの人に起こりやすい鉄欠乏性貧血の症状としては、以下のものが挙げられます。
また、上記のほかにも鉄欠乏性貧血が原因でイライラや倦怠感が生じる場合もあります。
食事やサプリメントで生活改善しても症状が続くときや、症状が重く日常生活に支障をきたすようなときは、迷わず医師の診察を受けましょう。
鉄は、女性が不足しやすい栄養素の一つです。一日に必要な鉄の推奨量は、成人女性(月経あり)では10.5〜11.0mg、成人男性では7.5mgです。
鉄が比較的多く含まれているイメージのある食品100gあたりの鉄量と、成人女性に必要な1日あたりの鉄量(11mg)を摂取する上で必要な量を以下の表にまとめました。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
こうやって一覧にしてみると、レバーの鉄含有量は非常に多いことがわかります。また、鉄の多い野菜というとほうれん草を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は小松菜の方が含有量は多いのです。
一種類の食べ物で必要量を摂取するのはなかなか難しいので、様々な食品からまんべんなく鉄を摂取するか、食事だけで補うのが難しい場合はサプリメントに頼るのも方法の一つです。
食品に含まれる鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
へム鉄は肉や赤身の魚、非へム鉄は牛乳や卵、野菜などに含まれていますが、体への吸収率が高いのはへム鉄で、吸収される割合は約25~30%と言われています。これに対し、非へム鉄は約5~10%程度しか吸収されません。
鉄不足の予防には、吸収の良いヘム鉄が多く含まれる食品を摂るのがおすすめです。また、非へム鉄を含む食品であっても、ビタミンCを含む食品と一緒に食べることで、鉄の吸収率を高めることができます。
貧血対策の食事というと鉄ばかりに注目してしまいがちですが、ヘモグロビンなどの材料になるたんぱく質、鉄の吸収を高めるビタミンCを含む食品も積極的に摂りましょう。赤血球が作られるときには葉酸やビタミンB12なども必要になります。
また、鉄の吸収を良くするには、胃酸が十分に分泌されることが重要です。良く噛んでゆっくり食べることで胃酸の分泌が促されるので、食事の内容だけでなく、食べ方にも気をつけましょう。
鉄不足の解消法として、調理器具を工夫する方法もあります。鉄のやかんや鍋、フライパンなどで調理をすると、鉄が少しずつ溶け出すので自然と鉄補給ができます。
ただし、鉄鍋でも表面にテフロン加工などのコーティングがされている使いやすいものは効果がありません。また、鉄の調理器具は重く、お手入れも必要なので躊躇する人も多いと思います。
そんなときは南部鉄器を卵型に成型した「鉄玉子」がおすすめです。やかんや鍋に一緒に入れて調理するだけで、手軽に鉄補給ができますよ。
続いて、貧血を予防・改善する食べ物や、その食べ物を使ったおすすめの貧血対策料理を解説します。
肉類で鉄が多く含まれるのは鶏レバーや豚レバー、豚ヒレ肉、牛サーロインなどです。「色が赤い肉類=鉄が豊富」と覚えておきましょう。
レバーは体に吸収されやすいヘム鉄が豊富なだけでなく、血液を作る際に必要なビタミンB12と葉酸も含んでいる優秀食材です。独特の臭みが苦手という人も、ソース煮や生姜煮など、味付けを工夫してチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
豚ヒレ肉や牛サーロインなどの赤身肉もヘム鉄が豊富な食材です。火を通しすぎると固くなり食べにくくなってしまう食材なので、ヒレカツやステーキなどは火加減に注意して調理しましょう。
魚介類で鉄が多く含まれるのはあさりやしじみをはじめ、マグロ、カツオなどの赤身魚、イワシなどです。
あさりには特に鉄が多く含まれています。あさりといえば味噌汁が定番ですが、豆乳クリームパスタや、豆乳スープなどのレシピもおすすめです。牛乳よりも鉄が豊富な豆乳を使うと、効率的に鉄が摂れるだけでなく、脂肪分やカロリーも抑えられヘルシーな一品になりますよ。
また、マグロやカツオなどの赤身魚にも、体に吸収されやすいヘム鉄が豊富に含まれています。お刺身などで手軽に取り入れたり、保存のきくツナ缶を活用するのもおすすめです。
また、あさりやしじみ、いわしなどはビタミンB12も豊富に含んでいるので、鉄を豊富に含む食材と合わせて食べると貧血改善効果がアップします。
野菜・海藻類で鉄が多く含まれるのは小松菜やほうれん草、水菜、春菊、海苔、ひじきなどです。
鉄が豊富な小松菜やほうれん草には、鉄の吸収を助けるビタミンCや、血液を作る際に必要な葉酸が含まれています。また、海苔も鉄が豊富なので、汁ものや和えものなどにさっと混ぜるだけで、鉄補給に役立ちます。2つの食材を組み合わせて、海苔和えにするのもおすすめです。
野菜に含まれる鉄は体に吸収されにくい非ヘム鉄なので、吸収されやすいヘム鉄と一緒に調理すると、吸収率をアップさせられます。水菜や春菊は、ツナと和えてサラダにしてみてはいかがでしょうか?
豆類で鉄が多く含まれるのは大豆のほか、大豆の加工品である納豆、厚揚げなどです。
鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富な小松菜やほうれん草などの青菜は、効率よく鉄が補給できる相性の良い組み合わせなので、厚揚げと一緒にさっと煮物にすれば、ボリューム満点の副菜が完成です。
コンビニで手軽に買える商品でも、貧血対策は可能です。
ひじき煮に含まれるのは非ヘム鉄なので、鉄の吸収を促すビタミンCを含む商品、たとえばカットフルーツや果物ジュースと一緒に買うとよいでしょう。
また、おやつで鉄補給をするなら、以下がおすすめです。
チョコレートは、高カカオのものの方が鉄を多く含み、ホワイトチョコレートには鉄は含まれません。また、チョコレートは鉄の吸収を妨げるタンニンも微量に含んているので、食べすぎには注意しましょう。
以下の食べ物や飲み物は、一緒に食べることで鉄の吸収を妨げてしまうので注意が必要です。
インスタント食品やスナック菓子、清涼飲料水などの加工食品に含まれるリン酸は、鉄の吸収を妨げます。また、緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどに含まれるタンニンも鉄の吸収を妨げるので、食事中に濃いお茶やコーヒーを飲むのは避けましょう。
日々の生活を送る中で鉄は体から失われていくので、毎日の食事でしっかり摂取する必要があります。貧血対策レシピを1回作って終わり...ではなく、スーパーでの買い物は鉄が豊富な食材を多めに買うなど、鉄補給の習慣づくりが大切です。
食事やサプリメントで生活改善しても貧血症状が続くときや、症状が重く日常生活に支障をきたすようなときは、迷わず医師の診察を受けましょう。