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大切な節目である冠婚葬祭において、祝儀袋や不祝儀袋を包むために使用する「ふくさ」。シーンに応じたふくさの色や包み方、さらにふくさを忘れてしまった場合の代用品などについて、ヒロコマナーグループのマナーコンサルタント・川道映里さんに教えてもらいます。
ふくさには、基本的に2つの役割があります。まず、ふくさを使うことで祝儀袋や不祝儀袋が汚れたり、水引きがくずれたりするのを防ぐという役割。また、シーン別にふくさの色や包み方を変えることにより、相手を思いやる気持ち、心遣いを「形」で表すという役割です。
相手を祝う"お慶びの日"、そして、相手のことを偲び悲しむ"お悔やみの日"に、あなたの気持ちを「ふくさ」で表すというわけです。
ふくさには、金封を包んで使用するタイプや挟んで使用するタイプがあります。最も一般的なものは、風呂敷より小さく、正方形でちりめんや絹製のものです。またその他の種類には、慶事や弔事の際に金封を贈る心遣いとして、黒塗りのお盆の上に金封を置き、その上から掛けて使用する「掛けふくさ」、さらにはふくさの角の一つに金封が外れないように紐と止め具がついているタイプもあります。他にも、金封がしわにならない「台付きふくさ」、簡易で便利な「挟みふくさ」や「差し込みふくさ」があります。
ふくさは慶事と弔事どちらでも使用しますが、包み方やふくさの色合いはそれぞれ異なります。間違えないようにしましょう。
慶事の場合、ふくさの色は赤やピンクなどの暖色系で明るい色を選びます。
ふくさの色は、黒やグレーなどの暗い色で悲しみの気持ちを表します。なお、色の中でも、「紫色」は慶事と弔事どちらでも使うことができるので、一枚持っておくと重宝します。
もし、ふくさの用意がない場合は、お持ちのハンカチや風呂敷で包むようにしてください。その際も、前述した「色」と「包み方」はふくさの場合と同様です。また、あなたの気持ちを形に表すためにも、祝儀袋や不祝儀袋をむき出しの状態で持参したり、包装されていた袋に入れたままお渡ししたりするのは控えましょう。
ただし、親しい間柄の方の弔事の場合、突然の訃報に気が動転して、不祝儀袋を包むものの用意を忘れるという状態も想定できます。そのときは「あまりにも突然のことで動揺しながら参ったため、このような形で失礼いたします。このたびは、心からお悔やみ申し上げます」と、あなたの素直な気持ちを伝えながら、不祝儀袋を渡すのが良いでしょう。そうすることで、ご親族や亡くなった方にもあなたの悲しみが伝わります。
ふくさは百貨店や呉服屋、仏具屋で買うことができます。最近では文具店の金封コーナーにもあります。
ふくさを購入した際、店によっては生地に刺しゅうをしてくれるところもあります。自分の名前を入れてもらうのもいいですし、プレゼントとして相手の名前を刺しゅうして贈ると大変喜ばれるのでおすすめです。
喜びや悲しみの気持ちを一緒に包んでくれる大切な「ふくさ」。相手にその気持ちが伝わるといいですね。