その疲れ「クセ疲労」かも!? 自身の疲労度や疲れの原因を知って適切なケアをすることが重要
さまざまなものが便利になった一方、忙しい現代人にとって「疲れ」は常習化しているかもしれない。「疲れ」は身体からのSOS。しかし、「疲れているのが当たり前」「このくらいの疲れは大丈夫…」と放置してしまう人も多いのではないだろうか。
株式会社リクルートが運営する『ホットペッパービューティー』が全国20歳~49歳の男女1,000人を対象に実施した「疲労」に関する調査によると、半数以上の人が専門家視点で「ケアを考えるべき疲労度」であるにも関わらず、そのうちの半数以上は自身を「健康的」と認識していることがわかった。
また、同調査を監修した神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命教授で一般社団法人 日本疲労学会 理事長を務める渡辺恭良教授は、「日頃の何げない姿勢のクセが、自律神経系の乱れにつながり疲労を増大させる可能性がある」と、いわゆる「クセ疲労」について警鐘を鳴らしている。今回の調査でも疲労につながりやすい行動をしている人の半数以上が心身や仕事のパフォーマンスに悪影響を感じており、「クセ疲労」の実態が明らかになった。
ケアを考えるべき疲労度でありながら、自身を健康的だと感じている人が半数以上

渡辺教授が作成した疲労度を自己診断できるチェック表では、疲労の状態に関する10個の設問への回答を点数化することで、疲労度を計測。今回の調査結果をチェック表に当てはめて集計したところ、53.7%と半数以上がケアを検討するべき「危険ゾーン」に該当することが明らかになった。

一方で、危険ゾーンに該当しながら、自分自身を「健康的だと思う」「やや健康的だと思う」と回答した人が52.7%に上り、疲労度が危険な状態にありながら実感できていない人が半数以上いることが分かった。
30代の7割、40代の8割が「20代の頃と疲れ方が違う」と回答
「自覚している健康度」と「本来ケアが必要な疲労度」の間にギャップがあることが明らかとなったが、疲れ方は加齢や時代によっても変化がありそうだ。
30代・40代の人に20代の頃と今を比較して疲れ方に違いを感じるか質問したところ、40代は78.1%が「大きく違う」「多少違う」と回答。30代も 66.8%が「大きく違う」「多少違う」と回答した。具体的にどんな違いがあるか聞いたところ、どちらの年代も「昔は休めば回復したが、今は疲れが取れにくい」が最も高く、30代で49.3%、40代で59.0%という結果になった。次いで「今は頭や目が疲れることが多い」が、30代で40.4%、40代で48.7%となった。加齢による疲れの取れにくさに加え、近年では生活や業務のデジタル化、仕事の複雑化などにより頭や目を酷使する場面が増えたことが影響しているかもしれない。
日常の何げない行動が疲労につながる「クセ疲労」に要注意
疲労の解消には日々のケアや疲労に対する正しい認識が重要だ。渡辺教授は「日頃、習慣的に何げなく足を組む、片足に重心を乗せて立つ、頬づえをつくなどの行為をしていないでしょうか。同じ姿勢で長時間過ごしたり、姿勢をゆがませたりするのは、ついクセでやってしまいがちですが、これらの行動は自律神経系の乱れや血管を圧迫し血行不良につながるため、疲労がたまりやすくなるのです」と「クセ疲労」の危険性を指摘している。
実際、仕事中についついやってしまう行動を聞いたところ、「同じ姿勢のまま、長く仕事・作業を続ける」「立ちっぱなしや座りっぱなしで長時間過ごす」「悪い姿勢で座る」といった回答が上位に。
さらにこれらの行動をする人のうち半数以上が「心身の不調がある」「仕事のパフォーマンスへの悪い影響がある」と感じていた。日常の何げないクセから疲労をためてしまうことで、さまざまなさらなる不調を招いてしまっている実態が明らかになった。
疲労を改善したいと思いながら、何をすれば良いか分からない人が約7割
疲労の改善意識に目を向けると、疲労を感じている人のうち、80.5%が疲労感を改善したいと回答した一方で、67.2%が「改善したいが、何をすれば良いか分からない」と答えた。渡辺教授は、「自分で対処の仕方が分からない時は、リラクゼーションサロンを利用するなど専門家に相談することが一番です。プロの施術によって、自分では気が付かない血行不良を起こしている箇所を特定しほぐすことで疲労改善が見込まれます」とコメントしている。リラクゼーションサロンなどのプロの施術を受けるのも疲労回復の一つの手段だ。
調査概要
調査目的:疲労に関する実態や意識の把握
調査方法:インターネット調査
対象者条件:全国20歳〜49歳男女、労働者
回収数:1,000人(男性:20代166人、30代167人、40代167人/女性:20代166人、30代167人、40代167人)
調査期間:2025年2月21日(金)~25日(火)
監修 渡辺恭良氏 (神戸大学大学院科学技術 イノベーション研究科 特命教授)
京都大学大学院医学研究科修了。医学博士。
一般社団法人 日本疲労学会 理事長、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命教授、国立研究開発法人 理化学研究所 名誉研究員、Integrated Health Science 株式会社 代表取締役CEO。ベルツ賞、文部科学大臣表彰科学技術賞など受賞
腕組みや片足に重心を乗せる行為など、日頃の何げないクセは疲労を増大させることにつながっています。ゆがんだ姿勢によって筋肉・関節部が自律神経系を圧迫することで、血行不良につながり、疲労の原因となる老廃物が身体の各組織に残ってしまいます。ゆがんだ姿勢を治すには地道な矯正が必要であり、一人では治療が難しい側面があります。そこで、リラクゼーションサロンなどで専門家の指導の下、改善していくことが有効です。また、プロの施術に頼るメリットとして、自分の手が届きにくい箇所をほぐし、血行を改善することで老廃物を組織外に押し流せる点も挙げられます。
今回の調査結果から、疲労感を感じているもののケアが必要なレベルだと自覚している人は少ないようだった。疲労をそのまま放置していると、心身の不調を悪化させてしまうことも。疲れの原因となる「クセ疲労」など、自分の疲れの原因を知り、適切なケアを早めにすることが重要だ。
『ホットペッパービューティー』HP: https://x.gd/xfaRX