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すべてのお茶の歴史をたどると、中国では記録の存在しない神話の時代から薬として用いられていた。茶葉は摘んだ後放置すると酸化発酵を始めるという働きがあり、その酸化発酵の度合いを調整することでお茶は生み出される。紅茶は、お茶の中でも発酵度合いが高く、茶葉を完全発酵することで作られている。
参考:キリン歴史ミュージアム
https://museum.kirinholdings.com/history/tea/story6a.html
https://museum.kirinholdings.com/history/tea/story3a.html
前述のように、お茶は薬として飲まれ始めたことから“東洋の神秘薬”と言われており、高貴な人しか飲むことができない飲み物だったと伝えられている(※)。このことから、紅茶を現代に至っても縁起物と考える人も多くいるようだ。「紅茶」に「幸茶」という字を当てて、結婚式の引き出物などお祝いの場にふさわしいとして、ギフトとして選ばれるようにもなっている。
※参考:日本紅茶協会
https://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_history/
紅茶は砂糖を入れたり、ミルクティーやレモンティーにしたり飲み方も様々。最近では「ヌン活」として、アフタヌーンティーという文化を手軽に楽しむ人も増えている。日本でも馴染みのあるこうした紅茶文化は、ヨーロッパが起源とされている。中国では薬として重宝されていたお茶を、嗜好品として流行させたのは、1662(寛文2)年、イギリス国王チャールズII 世のもとに嫁いできた、ポルトガルのブラガンザ家のキャサリン。キャサリンは、見知らぬ異国で身を守るために「万病に効く東洋の神秘薬」であるお茶の他、当時貴重品であった砂糖を持参して嫁いだ。その際、紅茶に砂糖を入れて飲むという贅沢な飲み方を始めたと言われている。また、紅茶にミルクを入れる飲み方、いわゆるミルクティーは、1655(承応4)年、オランダの東インド会社の大使が中国皇帝の晩餐会に招待された際、お茶にミルクを入れて飲んだことから始まったと言われている。
さらに、アフタヌーンティーの文化を広めたと言われているのが、7代目ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリア(1788~1861)。当時のイギリス貴族の食事は、朝食をたくさん食べ、昼食はピクニックなどで軽く済ませ、社交を兼ねた晩餐は、音楽会や観劇の後で、夜の8時頃。夕食までお腹が空いてしまうことから、午後の3時頃から5時頃の間にサンドイッチや焼き菓子を食べ、同時にお茶を飲むことをはじめた。そのうち、邸を訪れる婦人たちをもてなしたところ評判となり、アフタヌーンティーは貴婦人たち間で定着していったという。アンナ・マリアの肖像は、「キリン 午後の紅茶」のラベルにも描かれ、シンボル・マークとして微笑み続けている。
参考:キリン歴史ミュージアム
https://museum.kirinholdings.com/history/tea/story4a.html
様々な飲み方が楽しめる紅茶の中でも、寒さが厳しくなってくる秋冬に飲みたくなるミルクティー。自宅ですぐにできる、おいしい淹れ方のコツをキリンの髙田さんに教えていただいた。
「ジャンピング」とは、ティーポット内で起こる茶葉の上下運動のこと。必要な条件は、お湯の中に十分な酸素があることと、お湯に対流が起きるほどの高温であること。これにより、茶葉がまんべんなくお湯に混ざり、「味」「水色」「香り」ともに文句なしの紅茶が抽出される。
〈おいしいミルクティーの淹れ方〉
①95~98℃に湯を沸かす。やかんに水を注ぐ際に、酸素を含ませるように勢いよく注ぐのがポイント。ボコボコと泡が立つほど沸騰させすぎないよう注意する。
②温めていたティーポットに茶葉を入れる。基本は人数分+1杯だが、ミルクティーにするために茶葉を多めに入れる。
③湯をポットの20~30センチ上から勢いよく注ぐ。これによって湯に酸素がたっぷり含まれる。
④茶葉が上に浮かんできたのを確認してふたをする。
⑤ジャンピングが終わるまで蒸らす。細かく切ったタイプの茶葉で3分、形がそのまま残るタイプの茶葉で5〜6分が目安。しっかり蒸らすことで茶葉から豊かな香りとコクを引き出せる。
⑥カップには先に常温のミルクを入れるので、冷めないようにカップに熱湯を注ぎ、1〜2分放置する。
⑦温め用の湯を捨て、低温殺菌のミルクを常温で注ぐ。量は20~30ccで、かなり多めに感じる量。
⑧ティーストレーナーを使いながら、濃い目に作った紅茶をミルクの上から9分目までたっぷりと注いでいく。それによって常温のミルクを混ざっても十分な熱さで飲むことができる。
紅茶の茶葉には、ディンブラ、ヌワラエリア、キャンディ、ダージリン、ウバなど数多く存在する。今回はミルクティーに合うキャンディ葉とウバ茶葉をご紹介。
標高の低さから季節風の影響を受けにくく、気候の変化が少ない。そのため、クオリティシーズンというものはなく、一年を通してほぼ同じ性質の茶葉が収穫される。スタンダードな風味を持ち、ブレンドや、バリエーション用に最適。タンニンの量が少ないので冷やしても濁りにくく、ミルクティーやアイスティーにも向いている。
世界三大銘茶の産地であるウバ。クオリティシーズンである7~8月にはインド洋からの季節風が山に当たって冷たく乾いた風が吹き下ろし、霧を晴らして一気に茶葉を乾燥させる。それにより特有のフルーティーな香りと刺激的な渋みが生まれる。その強い渋みと濃い水色はミルクティーとの相性が抜群で、クオリティシーズン以外でも人気がある。
参考:午後の紅茶 ホームページ
https://www.kirin.co.jp/softdrink/gogo/tea_story/growing_area/#kandy
https://www.kirin.co.jp/softdrink/gogo/tea_story/growing_area/#uva
<相性の良い食べ物>
・チーズ ・サンドイッチ ・チョコレート ・バタークッキー ・ドーナツ ・フィッシュバーガー ・ケーキ
<意外に合う食べ物>
・どら焼き ・ハンバーガー ・パンケーキ ・フィッシュ&チップス ・サーモン
「ミルクティーは乳脂肪分を含むので、バターや生クリームといった脂肪分を多く含む食べ物と相性が良く、すっきりとした後口を作り出してくれます。私はどら焼きと合わせて飲むのがお気に入りです。最近コンビニスイーツなどで 生クリームが入った、どら焼きもあったりしますが、それと同じようになめらかな乳成分があんのシンプルな甘みを引き立たせてくれます」(髙田さん)
「キャンディ茶葉」を使用した定番の「キリン 午後の紅茶 ミルクティー/ミルクティー ホット」をはじめ、2023年3月の発売以来好評の「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」、10月17日(火)より発売の期間限定商品「キリン 午後の紅茶 TEA SELECTION(ティーセレクション)ザ ミルクティー イングリッシュブレンド」、さらに12月5日(火)発売予定の期間限定商品「キリン 午後の紅茶 TEA SELECTION クリーミーティーラテ」など、飲みたいシーンや気分に合わせて選べるラインアップを展開。
馴染みのある紅茶だが、知れば知るほどその歴史は古く奥が深い。今回おいしいミルクティーの淹れ方を教えていただいたが、筆者はいつもカップに入れた紅茶にあとからミルクを注いでしまっていた。11月1日は「紅茶の日」ということで、さっそく正しい淹れ方でミルクティーを作ってみようと思う。また、フィッシュバーガーやサーモンとのペアリングも気になるところ。ぜひみなさんも「紅茶の日」にミルクティーを楽しんでみてはいかが?