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セミナーでは、トップアスリートから中高生まで1700以上のチームを対象に体調管理システム《ONE TAP SPORTS》を展開しアスリートのコンディション管理を長年サポートしている株式会社ユーフォリアの代表取締役 宮田誠さんと、元ラグビー日本代表のS&Cコーチを務めた村上貴弘さんが登壇。アスリートのコンディション分析がパフォーマンスを向上させるためにいかに重要かについてトークセッションした。
村上さんがラグビー日本代表のS&Cコーチ時代に、監督からの「選手の体調が知りたい!」という要望のもと、選手の体調を「見える化」したシステムを宮田さんに依頼。開発されたのが体調管理システム《ONE TAP SPORTS》。チーム競技でも、選手1人1人のトレーニングや練習メニューが異なり複雑なため、1人1人の体調をしっかり把握することが大切。トップアスリートにとっては、今や体調のデータ管理、それに基づくトレーニングは当たり前。しかし当時は、トレーニングや、選手へどう負荷をかけるかについては詳しく研究されていたが、体調管理に関しては「選手の顔を見ればわかる」といった感覚的で曖昧なものだったため、選手の体調を数値化し「見える化」するというのは大変な難題だったそう。システムが完成してからも、当初は選手がなかなかデータ入力をしてくれず、村上さんらコーチ陣は入力させることにも大変苦労したとか。この10年で選手たちも体調管理のためのデータを入力するのは当たり前になり、それも大きな変化と笑った。
「食事、睡眠、メンタル、全てが整わないとコンディションスコアは上がらない。練習と疲労とリカバリーの三角形をスコア化したかった。日本人選手は真面目なので練習はやる。練習以外の時間がめちゃくちゃ大事!『オフ ザ ピッチ』が重要!そこをどう過ごすかもトレーニングの一環」と話す。
「コンディショニングは、アスリートが体調・メンタル・体力とか試合に勝つための準備全て。トレーニングは科学や技術が発展して負荷をかけたり効率的にやるノウハウは出来上がっているが、やりすぎると選手を壊してしまう。それを防ぐために必要なのが『休息と栄養』。ハードにトレーニングしたら、それを回復するものが必要。ハイレベルになればなるほどリカバリーが重要で、なんといっても睡眠が最強のリカバリー!」と語った。
昨今スポーツ人口が増加し、時間のない社会人でも各種スポーツ大会への出場などを目指している人も多い。江崎グリコは、スポーツ科学・スポーツ栄養学に基づいて設計されたスポーツフーズブランド「パワープロダクション」を展開し、アスリートを応援してきた。休息・運動・栄養のサイクルを効果的に循環することで、アスリートのパフォーマンスを向上する「戦略的リカバリ」を新たな回復の考え方として掲げている。今回、スポーツテック企業「株式会社ユーフォリア」とメンタルヘルスの重要性を啓発する「よわいはつよいプロジェクト」と協力。アスリートのパフォーマンスを向上させるために重要なコンディション分析を行えるウェブアプリ「アスリートコンディションチェック」をリリース。コンディションの最適化は勝敗を左右すると考え、自分のコンディションと向き合い戦略的に休息・運動・栄養をとることの重要性を啓発し、ビギナーからトップアスリートまですべてのアスリートのパフォーマンスアップを支援する。
「アスリートコンディションチェック」の機能や特徴
◆ 42 問の質問に答えて、栄養、睡眠、ココロの状態、カラダの状態のコンディションを網羅してチェックできる
◆ 栄養、睡眠の状態を点数で把握できる
◆ 栄養、睡眠の状態について、全国大会に出場している選手の点数の分布をみて、自身の位置と比較できる
◆ 「ステップアップアドバイス」として、専門家による実践的なアドバイスを受けることができる
この日は東京経済大学陸上部の選手3名も登場し、現在のコンディションをアプリで診断。栄養に関してはいずれも高い得点だったが、睡眠に関しては25点の選手も。「食事に関しては運動後のリカバリーなど日頃から意識しているが、睡眠に関しては、合宿があってメンタルにストレスがあったり、わかっていても寝る前にスマホなどを見てしまうことが数値にあらわれたのでは」と話した。また「普段考えているよりも細かくチェックされ、自分を知ることができた。スコアを使って改善していきたい」との声も。
選手たちの結果に対して村上さんは「寝る前のスマホで睡眠の質が下がるなど、知識として色々知っていても現実にはなかなか実践できないこともある。アプリで数値化、スコア化すると意識でき、改善のきっかけになる」とコメントした。
「質問数が多いと感じる方もいらっしゃるかもしれないが、信憑性のある結果を出す、しっかりフィードバックするために42問という質問数にした。総合的にカラダの状態をチェックすることができ、客観的に専門家のアドバイスを受けることができるので意識が変わるポイントになる。アプリを活用して自分の現在地がわかれば目指す姿とのギャップが出てくる。そこに向けて意識と行動が変わっていくことが狙うところ。気軽な気持ちで試していただいて、定期的にやっていただくと自分の変化が見える化するのではないかと思うので沢山の方に使っていただければ」とセミナーを締めくくった。
アスリートには大会や試合日程に合わせて、パフォーマンスを最大化できるよう、トレーニングやリカバリーメニューを実施し、戦略的に計画を立てて、コンディションをコントロールすることが求められる。トレーニング量や負荷の調整、栄養補給、睡眠の質の改善など、戦略的かつ効果的にリカバリーするためにも、日常のコンディションを把握・管理することが重要だ。また、パフォーマンスを向上するためには、シーズンのオン、オフを問わず、年間を通じたコンディションの管理がますます大切になっている。
今回のウェブアプリでは、食生活だけでなく、日々の睡眠やメンタルケアを含めたトータルのコンディション管理をすることができる。プロだけでなく、「自分の限界に挑戦したい」、「ゴールを目指したい」という多くの人が、無償で、客観的なデータとともに専門家のアドバイスを受けることができ、続けることで自分の変化をデータ分析することもできる。まさに「全てのアスリートを応援する」アプリとして浸透していきそうだ。