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乳酸・乳酸菌飲料の品目は前年同期比142%※2、納豆品目は前年同期比112%※2と伸長しており、乳酸菌や納豆菌を取り入れた食生活の傾向が見られる。
また、スポーツドリンク・機能性飲料品目でも前年同期比135%※2で伸長するなど、消費者の購買行動から「食事・運動」の健康志向の高まりが伺える。
そして、疲労回復効果やリラックス効果が望める入浴剤品目は前年同期比197%※2で伸長しており、良質な「睡眠」を通じて体の内側からケアをしたい人が多くなったことが推測される。新型コロナウイルスの5類移行後、世の中で脱マスクの考えが広がる一方、健康管理に気を付けたいという人が増えてきていることから、「体の内側のケア」にも注目が集まっていると考えられる。
※2 出典:株式会社マクロミル 個人支出調査サービス「MHS」5月23日時点集計、データ更新により多少の変動の可能性有り。グラフはPR事務局による作成。
対象期間:2023年5月8日〜2023年5月14日 比較期間:2022年5月9日〜2022年5月15日
グラフ:昨年を100とした時の100人あたり合計金額の伸び率(小数第1位以下四捨五入)
過去2週間以内に「公共の場ではマスクを着用した」と回答した人の割合は、2021年4月~2022年9月までは85%~90%という高い水準で推移し、同期間で大きく下がることはなかった。しかし、2023年3月13日の「マスク着用は個人の判断」という方針施行直後の3月15日~22日調査では、マスク着用率が71%まで減少し※3、GW最終日の5月7日では、幅広い年代が行き交う新宿のマスク着用率は60%にまで低下した※4。さらに、5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行した直後の週末に、人気お出かけスポットである表参道のマスク着用率を計測したところ、36%にまで減少しており※5、エリアによっては約3人に2人がマスクを外している現状となっている。マスク着用の判断に関しては、5類への移行がマスクを外す大きな分岐点となった可能性があるだろう。今後は夏に向けて気温も上がりつつ、梅雨時期の湿気等の要因から更にマスクを着用しない人は増加傾向になることが予想される。
※3 日本リサーチセンター自主調査(2023年3月実施)
https://www.nrc.co.jp/nryg/230329.html
※4 サンデーステーション自主調査(2023年5月実施)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000298278.html?display=full
※5 THE TIME,自主調査(2023年5月実施)5月15日放送分
また、東京都の調査※6によると、5月の繁華街の人出はエリアによってはコロナ前の水準の約9割まで戻ってきているという。さらに、大手旅行プラットフォームから発表された今夏の旅行動向は※7、「旅行を計画している」と回答した日本人旅行者の割合は65%となっており、昨年同時期の24%に比べると大幅に上昇している。約3年ぶりに外出や遠出の機運が高まっており、脱マスクでの外部交流も活発になることが予想される。
※6 東京都政策企画局「東京都内における繁華街の混雑状況および滞在人口(人出)の増減状況」
※7 トリップアドバイザー「2023年夏(2023年6月1日~8月31日)の旅行動向」
マスク自由化での消費行動を受け、免疫商品の売り上げが伸びている。「キリン おいしい免疫ケア」は4、5月の月間販売数量は2022年と比較し約2.5倍。好調の要因には、自衛意識による「免疫ケア」ニーズの高まりに加え、おいしく手軽に続けられることが好評、習慣化につながる6本パックが特に好調だと考えられる。
このように、アフターコロナに伴う消費行動は、脱マスク社会が活発になっていくにつれて、「外見」に加え「体の内側のケア」へと注目が集まっていることが伺える。いろいろなイベントや外出を楽しむために、食事・運動・睡眠といった生活習慣全般の健康管理に気を付けたいといった需要が高まっているのではないだろうか。
経済アナリスト森永康平氏は「コロナ禍が私たちの消費行動に大きな変化を与えてきたことが分かる」と次のように考察する。
小売店販売データ※8からは、私たちが何を考えて消費行動を変化させてきたかが分かる。例えば、コロナ禍1年目にあたる2020年はマスクや殺菌消毒剤、うがい薬など感染拡大対策に関する商品が売り上げを大きく伸ばした。コロナ禍2年目となる2021年はオートミール、麦芽飲料、プロテインなどの売り上げが伸長。このデータから、自粛生活の影響を受けて運動不足や肥満を意識した国民の健康志向が高まったと推測される。そして、2023年のデータを見ると口紅、口腔用薬、乳酸・乳酸菌飲料、液体だしの売り上げが増えている。前者2品目の売り上げが伸びたというデータからは、コロナが落ち着く中で外出機会が増えることを受けて、外見に影響を与えるメイク用品や、対人を前提とした口臭ケアなど関連商品の需要があることが分かる。マスクを外すようになったからこそ需要が高まったこのような消費行動は「第一次ノーマスク消費」と言えるだろう。また、後者2品目からは、消費者が「手軽に何かをしたい」というニーズを読み取ることができる。手軽に健康管理ができることを期待して乳酸・乳酸菌飲料が売れ、手軽に本場の味を家で再現できる液体だしが売れたと推察。そして、2023年上半期が終わろうとしているタイミングで、足元のデータを見てみても乳酸・乳酸菌飲料の需要はさらに高い伸びを示している。人流が増える一方でマスクの着用率は下がっているという状況に対して、何かしらの「体の内側のケア」をしたいといった注目が集まっていることが考えられ、このような市場の変化は「第二次ノーマスク消費」と言えるだろう。梅雨入りや気温上昇に伴い更にマスク着用率が下がる中、脱マスクによる消費トレンドは第2段階に突入すると考えられる。3月以降、マスクを外すことにより口紅の売上が伸びたのと同様に、今後は「外見」の意識のみならず、自身の体調管理のための乳酸・乳酸菌飲料などといった「体の内側のケア」へと、消費トレンドは様々な方向に広がっていくと推測している。
※8 全国スーパーマーケット協会「2023年版 スーパーマーケット白書」より考察
アフターコロナを迎え、脱マスクの人口が増加していく中、感染への不安も拭いきれない人も多いのではないだろうか。またコロナ過での徹底した感染対策により、裏を返せばさまざまな病気の免疫を獲得してきていないということも言える。そんな中で、健康管理を意識した「体の内側のケア」を行うことは、新型コロナウイルスだけでなくその他の病気への対策、自衛手段となるだろう。
私たちがコロナ過で学んだ“健康の大切さ”を生活の基盤にし、アフターコロナを元気に過ごしていきたいものだ。