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「交通事故全体で見ると、自転車やオートバイといった乗り物の事故は減少しているのに対し、自転車関連事故は増加しています。とりわけ、都市部においては道路の狭さや交通量の多さなどの影響もあり、事故が増えているような状況です。自転車関連事故の特徴としては、前方不注意や安全不確認といった『安全運転義務』の違反によって、出会い頭や右左折時の衝突事故を引き起こす割合が高くなっています」
道路交通における適切な自転車の運転操作を怠ったことで、事故を起こしてしまうわけですが、スマホを見ながらの片手運転やブレーキの操作不適など“自転車の操作ミス”も事故の要因のひとつになっているとのこと。
自転車のタイプが多様化したことで、ブレーキもさまざまな種類が登場しており、状況に応じて正しくブレーキを活用することが事故の防止につながるというわけ。ブレーキ操作で肝になるのは、前輪ブレーキを上手く活用し、制動距離を短くすること。
だが、ブレーキが効きすぎて後輪が浮き上がって前に転倒したり、左右に体が投げ出されたりして怪我を負うリスクもある。転倒を恐れ、前輪ブレーキをかけるのが甘くなると、衝突事故を起こす危険性も高まってしまう。こうした課題を解決し、急ブレーキを手助けするのがABSだ。
※Anti-lock Brake System:急ブレーキをかけた際にタイヤがロックするのを防ぐ装置のこと
一般的にABSは自動車やバイクに搭載されているものだが、ボッシュではeBike向けの『eBike ABS』を開発し、eBikeにもABSを装備することで、事故予防に取り組んでいる。
2023年から日本市場でも『eBike ABS』の第2世代の取り扱いが決定し、具体的な詳細が決まり次第、アナウンスされるとのこと。
会の後半では、プロライダーの阿藤 寛さんが自転車の安全乗車をレクチャーしてくれる体験会が行われました。
阿藤さんはプロダウンヒルレーサーとして活躍しており、2014年にはジャパンシリーズ優勝の経験を持つ実力派。プロライダー活動の傍ら、マウンテンバイクの普及活動も精力的に行っているそうです。
実は以前、筆者も自転車で怪我をした経験がある。
坂道を下りて急ブレーキをかけたところ、前方に投げ出されてしまって、服が破れる事態に。その事故以来、“痛さ”と“怖さ”から自転車に乗っていないわけだが、正しいブレーキのかけ方を教えてくれるとのことで、体験会に参加した。
まず、自己流でブレーキをかけたところ、「急ブレーキをする際に、足を離してしまうと転倒しやすくなる」と阿藤さんから指摘が。
「ペダルに両足を乗せた状態でブレーキを踏み、自転車が止まってから足を下ろすのがポイントです。また、マウンテンバイクやロードバイクなどはサドルから立って止まることを意識します。ママチャリの場合は、重心は後ろにかけるのを意識するといいでしょう」(阿藤さん)
試しにレクチャー通りにやってみたところ、確かに上手くバランスを保ったまま止まることができたような気がした。
実際に阿藤さんが自転車に乗って模範を見せてくれる場面も。
自転車の扱い方や乗り回し方は、さすがのプロライダーと思わせるほど、かっこいい姿を見せてくれた。
2023年中にボッシュの「eBike ABS」が搭載されたeBikeが発売されれば、今よりも自転車事故の減少につながる突破口になるかもしれない。今後の動向に注目したい。