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100円ショップのダイソーで販売されている『モバイルバッテリー スマートフォン対応 3,000mAh』をガチ検証してみました。
500円(税別)で買える薄型のモバイルバッテリーです。以前に検証したこともありますが、PSE適合品となる以前のモデルだったので、改めて検証してみた次第です(パッケージデザインも変更)。お値段なり性能? それとも掘り出し物なのでしょうか?(検証|ハンダマスターかしま)
自主検査によるPSE適合品。
性能のパッとしない制御ICを使用した安価なシステム回路で作られており、電源性能はいたって平凡。だが、これが500円なら上出来ともいえる。
バッテリーに 5.0V/1.0A(5.0Ω)の負荷をかけ続け、終止電圧(バッテリー充電1回分の寿命となる目安の電圧、モバイルバッテリーの場合は4.5V)に下がり切るまでの時間を計測。1回の充電でもっとも長く使えるモバイルバッテリーの指標となる。※赤い線が本品
電子負荷回路とデータロガーを使い、負荷容量と充電電圧をチェック。 0〜5.0Aを10秒間でスイープ測定し、200ポイント/秒で記録。検証は2回行ない、好結果の数値を採用した。
充電時と同じ1.0Aの抵抗負荷を与えた時のリップル電圧(ノイズ)をオシロスコープで計測。電源が発するノイズを示す。
結論からいうと、ダイソー製『モバイルバッテリー 3,000mAh(モデル番号:TDB0510-C3A)』は “買って損のないモバイルバッテリー” だろう。
バッテリー容量は公称値3,000mAh(3.7V換算)に対し、実測容量は2,574mAh(3.7V換算)で悪くない。1Ahあたりの単価は約210円。過去に検証したモデルの中でもトップクラスのコスパ品だ(ダイソー価格でしかムリな数値)。負荷試験の結果は公称出力1.0Aに対し、4.5V降下ラインは1.4A、保護切断ラインは1.59A。表示に偽りなしの結果となった。以前に検証したPSE適合前モデルは出力性能が非常に悪かったが、改善されているようだ。
全体的に工作品質は良好。ただ、気になる点もある。バッテリーセルと回路基板のハンダ付け部で、セル端子が折り返してバッテリーのアルミ被覆近くまで接近しているところだ。これは振動や無理な折り曲げにより端子がショートする可能性がある。セル端子の不要な部分は切断もしくは十分な絶縁加工をしておいて欲しいものだ。 ほかには、スイッチング周波数が 950kHz近域(1.0A負荷時)となっており、AMラジオのすぐ近くに置くとTBS(954kHz)が混信で聴きにくくなった。気遣いの設計であればガワの裏にシールド塗料をふくか、基板にシールドを巻いて漏電波を防ぐところだが、PSE検査項目ではないし、500円(税込550円)だし、そこはまぁ良しとしよう。一応気になったので書き留めておく。
なお、部品取りとして本品を利用するのもアリだろう。3,000mAhのリチウムポリマー電池が500円でゲットできる。一般の電子部品店だとこの価格では入手できない。電子工作マニアであれば注目したいところだ。もちろん取り扱いには知識も技術も必要なので十分に注意してほしい。
※本企画における検証方法、結果の評価は編集部独自の基準によるものです。検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、商品購入前のひとつの検討材料としていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。