クラフトビアマーケット」「ビールボーイ」「CRAFTROCK BREWING……と、クラフトビール好きは一度は耳にしたことがあるであろうワードたち。

それぞれビアバー(ブリューパブ)の名称で、2024年5月現在「クラフトビアマーケット」は宮城・東京・大阪・京都に14店舗、「ビールボーイ」は都内に2店舗、そして「CRAFTROCK BREWPUB &LIVE」は東京・日本橋に1店舗と展開されていますが、これらは全て姉妹店!株式会社ステディワークスが運営しています。

2023年10月には、新業態である「ヤキニクラフト」を神田にオープンし、“焼肉×クラフトビール飲み放題”というありそうでなかった発想で、私たちビール好きを沸かせてくれました。


比較的高価な印象のあるクラフトビールを低価格で提供することで、多くの人が手に取りやすくなる仕組みを確立し、クラフトビールに触れ合う人口を増やした株式会社ステディワークス。

低価格なだけでなく、キャッチーなコンセプトや入りやすい内装、写真を撮りたくなる可愛いグラスたち、音楽×ビールのフェスなど、多様なコンテンツで人々の心を鷲掴みにし、「クラフトビールは知識がないと楽しめない」という印象を覆し、これまでビールに触れたことがない層まで“ビール好き”に仕立て上げた、クラフトビール業界の立役者です。


そんな株式会社ステディワークスの代表である田中徹さんに、今回インタビューをしてきました!

田中さんとビールの出会いから一号店出店までのことや、今年10周年を迎える主催イベント「CRAFTROCK FESTIVAL」のこと。そして、最近田中さんが取り組んでいる「バンド活動」のことなど、根掘り葉掘り聞いてきました。


株式会社ステディワークス 代表取締役 田中徹さん


東京都三鷹市生まれ。樽生クラフトビール30種類を均一価格で提供するビアバー「CRAFT BEER MARKET」(以下、CBM)を筆頭に、「立飲みビールボーイ」「ヤキニクラフト」などクラフトビールに特化した飲食店を18店舗運営する。2019年にはブリューパブ「CRAFTROCK BREWPUB&LIVE」を開店し、クラフトビール製造も開始。また、音楽とクラフトビールを融合させたフェス「CRAFTROCK FESTIVAL」を主催し、2024年5月、10周年を迎える記念興行を立川ステージガーデンで開催する。




田中さんとクラフトビールの出会い

まずは、田中さんとクラフトビールの出会いについて教えてください!

田中さん

僕がクラフトビールに出会ったのは、2007年頃のことです。当時とある飲食店で店長やっていて、基本的には「店長が好きなお酒をどんどん自由に扱ってほしい」という自由なお店でした。

そのタイミングで『ヒューガルデンホワイト』の樽生が発売されるようになって。その頃、ベルギービールをボトルで出すようなお店はちょこちょこあったんですけど、 まだ「樽生で飲めるお店」自体は少なかったので、取り入れてみたいと考えて飲んでみたところ、個人的にすごく気に入ったんです。
△「ヒューガルデンホワイト」

ー今から17年前、結構最近のように感じますね。

田中さん

お店では4種類ぐらいビールを出せるタップがあったのですが、そのうち3種は大手ビールメーカーのナショナルビール、1種を「ヒューガルデンホワイト」として販売してみたところ、お客さんの反応も良くて。ちょっと新しい客層が広がりました。

そんな出来事からベルギービールにすごく良い興味を持つようになって。その流れで、日本の地ビールである「箕面ビール」「ベアードビール」「志賀高原ビール」などをボトルでお店で仕入れて販売してみたんです。そこで、お客さんの良い反応はもちろん、私自身も『日本のビールってこんなに面白いんだ』ということを知ることができました。


ーベルギービールがきっかけだったんですね!

田中さん

それからどんどん興味が広がっていき、アメリカのクラフトビールとも出会って。

その頃、大体2008年くらいですけど、樽生クラフトビールが飲めるビアバーは都内に10件あるかないかでしたが、当時から営業されていた両国「ポパイ」さんや下北沢「うしとら」さんに頻繁に通うようになり、どんどんクラフトビールが好きになっていきました。そうしているうちに、当時すでに(自分で飲食店で開業したいな)という思いがあったので、クラフトビールの専門店を出してみようと現実的に考えるようになりました。

クラフトビアマーケット虎ノ門店

ー1号店となる「クラフトビアマーケット虎ノ門店」がオープンしたの2011年なので、ビールを好きになり、お店の立ち上げ準備をしてオープンするまでに4年の月日があったのですね。その当時のそのビール業界は、田中さんの目にどのように映っていたのですか?

田中さん

当時、今よりも業界自体はだいぶ小さかったですね。

でもブルワリー同士が本当に仲良くて、アットホームな雰囲気で。僕自身もビアフェスに通って、ブルワリーの中の人に「今度ビールのお店を作ろうと思っています」という話をしていたのですが、その場で相談にも乗ってくれたり、「いいね、頑張って!」と応援の言葉をかけてもらったりしました。

た、地ビール解禁のブームが去り、クラフトビールのブルワリーがガクンと減った時期が昔ありましたが、その中で実力や志があるところが生き残ってたので、 すごく皆さん品質に関してこだわりがある印象でした。

ーその頃相談を受けたブルワリーの方々は、相談にきた1人のビール好きが、13年後には18店舗もビアバーを展開していることを想像していなかったかもしれませんね。

田中さん

ちなみに、ビアフェス自体も今よりこぢんまりとしていて、アットホームでしたね。

お客さんの層も割と年配の方が多くて、若いビール好きの人は少ない印象でした。


クラフトビアマーケット一号店は「虎ノ門」の地に


ビアフェスに赴き、ブルワリーさんにも相談に乗ってもらい、オープンにこぎついたクラフトビアマーケットの一号店。

当時はビアバーが少なかったとおっしゃっていましたが、そんななかで自分のお店ではどんな個性を出していき、どんな未来を目指してオープンに至ったのでしょうか?


田中さん

自分が通いたくなるようなお店を作ろうっていうのが根本にありまして。

というのも、お店を作る前から、好きなビアバーによく自分の友達を連れて行っていたんですね。“クラフトビール”って言葉もそんなに使われてなかったので、「なんか面白い日本のビールがあるんだよ、すごく美味しくなってるんだよ」って言いながら友達を集めて。

でも、そこまでみんなハマってくれなかったんですね。

ーちょっと悲しいですね。

田中さん

なんでだろう…と理由を聞いてみたら、やっぱり「価格が高い」「全体的にマニアック」というという意見が多くて。「面白いなとは思うけど、日常的には通いづらい」と言われたんですね。

ー確かに、それだけの価値があると自分の中で納得しているほどビールが好きな人でないと、入りづらい雰囲気はありますよね。

田中さん

また、当時は「バルブーム」だったんです。気軽だけどしっかり食事もできる、「ワインバル」とか「スペインバル」とか。

そんなお店が“クラフトビール”でできたら、きっと友達も来てくれるんじゃないかなと考えたのが、クラフトビアマーケットのアイデアの始まりでした。

ーそのアイデアが、見事カタチになっていますね!

その“気軽さ”が最も体現されていると感じるのが、ビールの提供価格がほとんど480円(現在は600円)で統一されているところですよね。

田中さん

前職の店長時代、「ヒューガルデンホワイト」を販売してた時も、実は1杯480円で販売してたんですよ。それは、正直な話をすると原価率かなり高かったものの、そこまで値段を下げないと注文してもらえないっていうのがあって。

けど確かに、一緒に提供していた大手のラガービールと同じ値段で飲めるというのは、個人的にも魅力だなと思っていたんです。

その時の経験から、気軽さ=安さという発想になって、「今4種類で全て480円で提供しているのを、30種に増やしたらどうなるんだろう」と考えたのが、きっかけでしたね。


ー私自身の話になりますが、クラフトビアマーケットを知ったのは、ビール好きの仲間から『グラスを統一することで、安価な価格帯でビールを提供しているすごいビアバーがあるんだ』と教えてもらったことがきっかけでした。

当時はベルギービールカフェでアルバイトをしていて、銘柄ごとにグラスを変えて提供することが常識の中で育っていたので、全てのビールが1種のグラスで提供されるということに驚いて、「どんなすごいお店なんだ」と興味を持ったんです。

田中さん

専門的な話になっちゃいますが…
お店のシミュレーションをしていく中で、1杯10円20円単位で値段が変わると、お店の原価率ってかなり変わってくるので、そこで480円っていうのはかなり勇気がいることだったんです。ただ、お客さんから見て相場の3割ほど安く設定しないと、圧倒的に安いと感じてもらえないので、値段は変えたくない。

そうなってくると、客席の回転数やスタッフのオペレーションでカバーできれば、480円でも成り立つんじゃないかとシミュレーションできたので、ビールのグラスを全て統一するというアイデアをもって事業計画書を作りました。


ーグラスを統一することは、ネガティブな意見も生まれてきてしまいそうなイメージもありますが、むしろポジティブにお店が盛り上がっていって。グラスのデザインをお店オリジナルの柄(イラスト)に統一したこともその要因なのかなと思いました。


そしてもう1つ気になるのが、お店の場所。1号店が虎ノ門、その他の店舗も港区や千代田区など、サラリーマンが多い都市に集中してる印象があるのですが、何かご縁があったのでしょうか?


田中さん

僕は当時から三鷹に住んでいるので、「吉祥寺」が地元に近い感覚の場所で。なので、最初から吉祥寺でも探してたんですけど、独立する前に働いてたお店がオフィス街で4店舗ほど展開しているお店だったので、オフィス街での営業が自分の中でノウハウとしてありました。それを活かして、まずはオフィス街でやってみようという想いが芽生えたのがきっかけですね。

あとは、ビールの価格をグッと下げて提供しようというコンセプトだった分、料理の方でしっかり利益をおさえなければならない部分がありました。そうなってくると、オフィス街はランチの需要が高いので、そこがクリアできるかなということも理由としてありました。

居酒屋ビールボーイ 吉祥寺店(2020年7月に閉店)
ーそういった背景があったんですね。でも、オフィス街以外での出店としてはやはり「吉祥寺」があって。今は「クラフトビアマーケット」が2店舗と、過去には「ビールボーイ」もあったのと、主催の音楽イベント「CRAFTROCK CIRCUIT」も吉祥寺のライブハウスで行っていたりと、大事にされてる地域なんだなっていうのはすごく感じますね。

田中さん

そうですね。どの町でやるのもそうですけど、やっぱり地域の人には愛されるお店じゃないと長く続かないので、まずはその地域のお客さんの特性をイメージできるような場所を優先して最初の頃は選んでいましたね。

それでいうと、「吉祥寺」は僕が完全に“地域の人”なんで(笑)吉祥寺に来る人の気持ちはわかるかなと。想像だけで物事進めるのはすごく難しいので、どういう気分でその街で過ごしてる人がいるの多いかイメージができて、肌感としてなるべく理解できてるところが大事になったかなと思います。

ーだから「オフィス街」と「吉祥寺」なんですね!吉祥寺だけ毛色の違う街なので、どうしてだろうと思っていたのですが、腑に落ちました。

キャラクターは違えど、共通する4店舗のコンセプト


ー現在、「クラフトビアマーケット」「ビールボーイ」「CRAFTROCK BREWING」「ヤキニクラフト」と4つの業態を展開されていますが、1店舗1店舗、お店のデザインや色・キャラクターが異なっていて。

例えるなら、同じ園内でもエリアごとに個性がはっきり分かれているテーマパークのような、そんな感覚で楽しめるなと感じています。

そういったお店のコンセプトは、どのように差別化しているのですか?

田中さん

確かに、見せ方や表現の部分は違いますが、コンセプトとしては、基本的にどの業態も全て「クラフトビアマーケット」と大きくは変わらないですね。どの業態も共通して、“クラフトビールをいかに気軽に楽しめるか”っていうのをすごく大事にしていて。

気軽っていうのは価格的にもそうですけど、気分的にも、日常にうまくハマるような感じというか。そういう気軽さっていうのを感じてもらえるようにしています。

つまり、表現の仕方が違うだけで、伝えたいことは一緒です。

ーなるほど!根底にあるものは同じなんですね。

田中さん

あとは細かい「業態のテーマ」や「料理のテーマ」っていうのは、各店舗の店長やスタッフと雑談しながら、『こういうお店あったら面白いかもね』とか『こういうクラフトビールのお店が面白そうだね』とか、そういう雑談は割と常日頃頻繁にしてるので、そういうところが反映されていますね。


ー私、ビールボーイくんが大好きなんですけど、ああいったキャラクターはどなたが考えているんですか?田中さんがモデルですか?

田中さん

僕がモデルではないです(笑)

ビールボーイに関しては、『なんかマスコットキャラみたいなのがいたらいいな』って話があって。それで試しにクラフトビアマーケットのロゴを作っていただいた、創業の頃からずっと一緒にやっているデザイナーの方にイメージを伝えてお願いしてみたら、めちゃめちゃいい感じのができて。それであのキャラクターが誕生したんです。

ーいや、本当に“めちゃめちゃいい感じ”ですよね。私も大好きすぎて、ネイルにしたこともあります。「ビール女子」のSNSアカウントでも投稿しちゃいました!(笑)


“CRAFTROCK”の名を冠する音楽フェスとブルワリー

△第一回目「CRAFTROCK FESTIVAL'14」の様子

自社で主催する音楽フェス「CRAFTROCK FESTIVAL」を2014年に始められたと思うんですけど、どういった経緯で始められたのでしょうか?

田中さん

クラフトビアマーケットを2011年に出店して、想定以上に立ち上げもうまくいって。

ただ、2014年くらいまでは「全くクラフトビールを知らない人が、うちの店を通してビールを好きになった」っていうよりかは、「これまでもビール好きだった方たちが、頻繁に飲みに来てくれるようになった(既存の客層がより気軽にビールを飲めるようになった)」という感じだったんですね。なので、前者のお客さんを増やしたい気持ちがありました。

また、僕自身 毎年行くほど「フジロックフェスティバル」が大好きで。ただ、フジロックに行く度に(クラフトビールは飲めないんだな…)と思っていて。フジロックで売ってるビールが全部クラフトビールになったら最高だなと思った時に、じゃあ自分でやってみちゃおうかなと閃いたんです(笑)それからイベント会社に連絡して、企画が始まりました。

ーさすがの行動力ですね…!

田中さん

企画している中で、どんなバンドを呼ぼうかとなったときに、“ポストロック”(※)なバンドを呼びたいという方針になりました。

というのも、僕自身が“ポストロック”を好きだったというのもありますが、クラフトビールって少しマニアックというか緻密というか、化学的な要素があると感じていて。そんなところが“ポストロック”というジャンルと似ていて、合うんじゃないかなと考えたんです。
※変拍子が用いられたり、複雑かつ変則的な和音やコード進行が用いられたりと、従来のロックには見られない特徴を持つジャンルのロック。

田中さん

「ポストロック的要素を持つバンドを集めた」「お酒はクラフトビールしかない」という2つの要素を持ったフェスを開くことに。そうして、2014年8月に第1回目となる「CRAFTROCK FESTIVAL'14」を、晴海ふ頭で開催しました。



ーその数年後に、自社ブルワリー「CRAFTROCK BREWING」がオープンしましたが、どうしてフェスの名前をそのままブルワリー名に採用したのでしょうか?

田中さん

昔のことなので、忘れてしまっている部分もありますが…常に「フェスで自社ブルワリーのビールを出したい」という気持ちがあったので、“フェスから生まれたブルワリー”にしたら面白いかなと思って、ブルワリーの名前をフェスと関連づけたんだと記憶しています。

ーブルワリーだけでなく、併設されているビアバー「CRAFTROCK BREWPUB &LIVE」も、店内でライブを行えるなど、音楽×ビールの要素がありますよね。

ブルワリーのオープンは、いつ頃から計画されていたんですか?

田中さん

クラフトビアマーケットのオープンが4店舗に突入してきた頃から、ビアバーの運営に限らず発展したいと、その先の会社の未来のことを考えるようになりました。フェスの開催もその一環ですが。

2015年頃に、会社の成長過程を踏まえた会社の「ビジョンブック」を作りまして。『お客さんを大切にしよう』みたいなことから、『店舗数を増やす』『フェスの規模も大きくする』『ブルワリーを造る!』など、社内の共有認識として持っていました。
△ビジョンブックの一部

ーブルワリーとフェスが関連しているのは、必然ではないものの、自然な流れだったんですね。

た、「Razors Edge」「もも(チャランポランタン)」など、数多くのアーティストとコラボビールを醸造しているのも素敵な活動だなと思っています。すでに20組ほどのアーティストとのコラボビールを醸造されているのだとか。その中で、最も思い出に残っているアーティストさんはいますか?

田中さん

KOTORI」という日本の4人組ロックバンドがいるんですけど、2020年頃に、3ヶ月連続でコラボビールをリリースする企画を行いまして。皆すっごく真面目にビールのことを考えてくれて。ビールが好きなミュージシャンは、自分たちの想像を超えてビールのことを考えてくれているんだなと感じて嬉しくなりました。それから仲良くなって、今でも一緒に飲みに行ったりしています。

ー2020年のコラボだと、もうそのビールは飲めないですね…!ミュージシャンの情熱がこもった真剣な1杯、飲んでみたかったです。




フェスの話に戻りますが、私自身「CRAFTROCK FESTIVAL」のファンでして…!2019年に初めて参戦し、音楽をとってもビールをとっても、今まで行ったフェスで一番好き!と思うほど楽しかったことがきっかけで。

LEO今井、ZAZEN BOYS、STUTS、ヤナセジロウ…など、出演者がツボだったということと、そんな環境で「京都醸造」「志賀高原ビール」などを飲めるというのが衝撃でした。

それ以降も、毎回豪華だなと思いながら出演アーティストを拝見しているのですが、出演者の選定はどのように行っているのでしょうか?

田中さん

基本的には、僕の発案が一番多いですかね。

あとは、過去の出演者とのコミュニケーション重視ですね。今年で開催10回目になるので、これまで出演してくださったアーティストに声をかけることも多いのですが、ずっと続けていくと、出演オファーを出しても、もちろんスケジュールが合わないと断られたりもします。そういった時は、「また来年誘ってほしい!」とおっしゃってくださって、次の年出てもらえたりとか。そういった積み重ねで毎年決めています。

ーそうなんですね。ちなみに、アーティストの皆さんも舞台裏でビールを楽しんでるんですか?

田中さん

そうですね。舞台裏にケータリングのゾーンを設けているのですが、そこは大体3種ほどタップを設定していて。CRAFTROCK BREWINGのビールが飲み放題です!あとは、フェスで出店しているビールも、出演者の人には無償で提供しています。なので、自分の出番が終わった人は来場者に混じってビールを楽しんでいる人もちらほらいますね。

ー出演者も同じ会場でビールを飲んでいるなんて、夢みたいな空間ですね!



そして、今年も5月11〜12日と2日間で「CRAFTROCK FESTIVAL'24」が開催されますが、今年の見所を教えてください!

田中さん

今年は10周年の記念興行なので、CRAFTROCKに馴染みの深いアーティストが集まっています。例えば、過去ご出演していただいた方もそうですし、「CRAFTROCKが好き」とおっしゃってくださり、お店でもライブを行ってくださる方達ですね。

また、ビールのラインナップも同じように、これまでのご縁で出店ブルワリーを決めましたが、それに加え“CRAFTROCK BREWINGが最も影響を受けているブルワリー”として、アメリカの「Firestone Walker Brewing」にも出店してもらうことになりました!僕らは本当に「Firestone Walker Brewing」が大好きで、ビール造りのお手本にもしているので。


「Firestone Walker Brewing」をお手本にしていたんですね!

田中さん

「Firestone Walker Brewing」のビールで、『PIVO PILS』という素晴らしいピルスナーがあるのですが、それが会場で飲めたら最高だよねという話をブルワーとしていて。インポーターであるナガノトレーディングさんに「出店っという形で本国に交渉していただけないか」とお話していただいたところ、本国からもオッケーをいただいて…!


▽Firestone Walker Brewing『PIVO PILS』


今回のフェスで絶対飲みたいビールの1つですね。

そして、出演者の見どころで言ったら、田中さんもご出演されるんですよね?実は、田中さんは、CRAFTROCK BREWINGのハウスバンド「THE LOCAL PINTS」として、バンド活動もされているのだとか。活躍の幅が広すぎます!

「THE LOCAL PINTS」については、後編で深堀りさせてください!


ステディワークスの未来

ーここまで話を伺ってきて、「音楽」と「ビール」という2つの要素が、株式会社ステディワークスに欠かせないものだということがわかりました。

この2点は、そもそも“田中さんの好きなもの”だと思いますが、好きなことをフックに仕事にしてきた中で、今まで1番「夢を叶えたな」「この上ない達成感を得られたな」と思った出来事ってなんだったのでしょうか?

田中さん

1番はやっぱり、晴海ふ頭で開催した第1回目「CRAFTROCK FESTIVAL」ですね。前日にステージが完成して、そこでサウンドチェックをしたんですが、ドーン!と音が鳴り響いたときには、夢が叶ったという気持ちになって、かなり痺れました。

ーそれは痺れますね…想像しただけで泣けそうです。

経営という現実に向き合いながらも、好きなことで夢を叶えていく田中さん。これからもきっと、誰も想像していないような大きなことや、店舗展開で、私たちビール好きを楽しませてくださるのだろうなと思っています。そこで、
会社としての今後の展望を教えてください!

田中さん

直近でいうと、CRAFTROCK BREWINGの新工場を作る計画があります。そこで、缶ビールの製造をしたいと企んでいまして。小売りについて勉強中です。

今、いろんなブルワリーさんに相談したり話を聞いてもらってるんですけど、それぞれターゲット層が違ったり、売り方や価格が違ったり、営業の手法も違ったりして、すごいなと思っています。

ー改めて、ブルワリーに対するリスペクトが湧いてきますね。

田中さん

そうですね。

あとは、2024年で会社が13年目になるんですけれども、先ほど話した2015年の「ビジョンブック」を社内の共通認識として、運営してきました。それをこのタイミングで“第二弾”としてブラッシュアップすることになり、気持ち新たに次のステージに向かおうとしています。

とはいえ、1番大事にしている「クラフトビールを多くの人に届けたい」という想いは今後も変わらないので、店舗数やら売り上げやらということよりも、地域のお客さんを大切にしながら、お店1つ1つがちゃんとその役割を果たせているかっていうところを真面目に考えながらやっていきたいと思っています。その結果、クラフトビールが今より多くの人に飲まれて、どんどんビール自体が成長してくれたらという気持ちです。

ー飛躍の年になりそうですね。これからも楽しみにしています!


今回、田中さんに話を伺い、改めてステディワークスのビールへの想いや向き合い方に感銘を受けた筆者。

『すでにビールを楽しんでいる人に限らず、クラフトビールをおいしいと思う人を増やしたい』という想いは、「ビール女子」のモットーにも似ていると思っていて、僭越ながらシンパシーを感じました。

また、「ビール」と「音楽」という“社長(社員)の好き”を仕事として形にしていることに改めて敬意を感じ、さらにステディワークスのファンに。今後のステディワークスの動きがますます楽しみになりました。


後編:田中さんも所属するバンド「THE LOCAL PINTS」って?


株式会社ステディワークス 代表の田中徹さんへのインタビュー。前編では、クラフトビアマーケットの歴史や、今年10周年を迎える主催イベント「CRAFTROCK FESTIVAL」のことを深堀りしてきました。

【後編】では、最近田中さんが取り組んでいる「バンド活動」について、バンドメンバーもお呼びして話を聞いてきました!

合わせてチェックしてください!

\後編はこちら/

情報提供元: ビール女子
記事名:「 【前編】クラフトビール業界の立役者「クラフトビアマーケット」の社長にインタビュー!ビールとの出会いから一号店出店、音楽フェスのことなど