ビール女子のみなさま、明けましておめでとうございます!ポートランド在住の東リカです。今年もポートランドや旅先からのビール情報をたくさんお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いします!


さて、今回はポートランドから少し離れてメキシコ南部の都市、オアハカのブルワリーのお話です。オアハカは、メキシコの他州に比べて先住民の割合が高く、食文化の豊かさでも知られる観光都市。美しいコロニアル様式の街並みは付近の遺跡とともに世界遺産に指定されています。


オアハカの伝統的なドリンクと言えば、リュウゼツランを原料にした蒸留酒「メスカル」や醸造酒「プルケ」、カカオドリンク「テハテ」(上写真)などが知られていますが、実は今、クラフトビールも注目されているんだとか。


そんなメキシコのクラフトビールについてもっと知りたくなり、早速「オアハカ・ブルーイング・カンパニー(Oaxaca Brewing Co.)」のテイスティングルームを訪ね、創業者のバレリア(Valeria Rivas Hamilton)さんとルーベン(Rubén Gonzalez Valdez)さんにお話を伺いました。



オアハカ・ブルーイング・カンパニー(Oaxaca Brewing Co.)


メキシコのオアハカ州の州都、オアハカ・デ・フアレスのマイクロブルワリー。2018年10月にセントロ北部に小さなテイスティングルームをオープン。常時、得意とするIPAを始め、サワー、ラガーなどバラエティ豊かな5種類の樽生を楽しむことができる。


メキシコ、オアハカのクラフトビール事情



ーこんばんは!今日はよろしくお願いします。まず、こちらのブルワリーについて教えて下さい。


ルーベンさん



オアハカ・ブルーイングは、2017年にオープンしたマイクロブルワリー。瓶ビールの製造から始めたんだけど、やっぱりお客さんに直接飲んでもらいたくてこのテイスティングルームを1年ほど前(2018年の10月末)にオープンしたんだ。

オアハカでブルワリーを始めたのは、メキシコ北部エンセナダの大学で知り合って付き合いだしたバレリアに誘われたから。大学を卒業して、そのままエンセナダで5年ほどIT関連の仕事をしていたんだけど、彼女の故郷・オアハカに帰っていたバレリアが、こっちでブルワリービジネスを始めようと言い出してさ。誘われた1ヵ月後には仕事を辞めて、オアハカに来ていたよ(笑)




ー彼女とビールを求めてですね!ルーベンさんがブルワーを務めていらっしゃるそうですが、ビール造りはどこで学んだのですか?

ルーベンさん


エンセナダにはたくさんクラフトブルワリーがあるんだけど、在学中にすっかりハマって。バレリアと飲み歩くのはもちろん、7〜8年間、ホームブルーイングをしていたんだ。



ーメキシコにもクラフトビールがたくさんあるんですね?


ルーベンさん


そうだよ!北の方を中心にたくさんクラフトビールがあって、瓶ビールとして全国に流通してる。でも、樽生が飲める地元のブルワリーはまだ少ないんだ。



ーメキシコのビールといえば、コロナやテカテのようなスッキリとしたピルスナータイプのビールを連想するのですが、どのようなスタイルのビールが人気ですか?



ルーベンさん


僕たちがブルワリーを始めた当初は、オアハカ地域にはクラフトビールでもホップの香りの強いビールは少なかった。どちらかというとモルトが勝るベルギー系のビールが多くてさ。

でも僕たちはIPAが大好きで、オアハカでもしっかりとホップの苦味を感じられるIPAが飲みたくてブルワリーを始めたんだ。最初はテイスティングルームに地元のIPAが飲みたいって言う観光客が来てくれて評判になった。今は地元っ子からもIPAが好きだという声を聞くようになったよ。





ルーベンさん


今日のタップにはヘイジーIPACarrizalillo IPAが入っているんだけど、結構人気があるよ。オアハカのビーチのサーフカルチャーにインスパイアされて造ってみたんだ。ホップの香りを引き出せたと思う。



オアハカならではのビールを




ルーベンさん


サワー系も地元っ子に人気がある。オアハカは、伝統的に自然発酵で造るパイナップルを原料にした「テパチェ(Tepache)」や、リュウゼツランを原料にした「プルケ(Pulque)」(写真)が飲まれてきたから、親しみやすいんだと思う。



ーそれは面白いですね。オアハカに合うビール造りも心がけているということでしょうか。


バレリアさん


そうね。オアハカは原住民文化とスペインを中心とした欧州文化が混ざり合っているし、多様な生態系をもつ土地柄なの。だから、そんな地元らしさを活かしたビールを造りたいと思っているわ。



バレリアさん


例えば、オアハカは「モーレ・ネグロ」と言うたくさんのスパイスとチョコレートの入ったソースやコーヒーが有名だけど、このパタゴニアのローストモルトとジャーマンホップを使ったZonate Dark Lagerは、モーレやチョコレート、コーヒーの風味を感じられると思うの。



バレリアさん


サワービールは、いつも地元の旬の果物を使っているわ。今、タップに入っているのは、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリーを自然酵母で発酵させたものよ。



ーオアハカ州ではトゥナ(サボテンの実)やトロピカルフルーツだけではなく、ベリー系も採れるんですね。爽やかで美味しいです!ちなみにお二人の一番のお気に入りは何ですか?


バレリアさん



Indian Rye Lagerかな。ルーベンもそうよね。スッキリ、クリアだけどホップの香りがしっかりするビールなの。



女性が安心してビールを飲める場所に



ーオアハカでは女性も外へビールを飲みに行きますか?


バレリアさん


オアハカはどちらかというとマッチョな文化で、ビールも男性の飲み物って思われてきたところがあるの。でも、ビールは昔、女性が造っていたものでしょ?私もクラフトビールが大好きだし、自分で好きなように飲みたいと思ってる。だからこのテイスティングルームを女性が一人でも安心して飲める場所にするってことは、最初から絶対条件だったの。必ずカウンター内に私を含め女性スタッフが入るようにシフトを組んでいるし、スタッフマニュアルにもその旨を明記したわ。その甲斐があってか、このお店は女性客が多いのよ。



バレリアさん


このお店、15席しかなくてすごく小さいでしょう?最初はここでいいのか迷ったんだけど、実は日本のバーを訪ねて自信を得たの。狭い空間でも素敵なお店にできるって。

カウンター内のスタッフは、単にビールをサーブするのではなく、おもてなしをするホストだと考えているわ。クラフトビールに不慣れでビールはあまり好きじゃないという人にも、好きなビールを見つけてもらえるように一緒に考えるの。それもあって、5タップしかないんだけど、いつもサワー系、黒ビール系、ラガー、IPAなど違う種類を揃えるようにしているのよ。




ーそれは嬉しいですね!一緒に飲んでもくれますしね(笑)


ビール女子の皆さんもオアハカに来たら、ぜひ安心して「オアハカ・ブルーイング」に足を運んでみてくださいね。



Oaxaca Brewing Co.


〇住所:Calle de Manuel Sabino Crespo 422, RUTA INDEPENDENCIA, Centro, 68000, Oaxaca de Juárez, Oaxaxca, Mexico
〇HP:https://www.facebook.com/oaxacabrewingco/






情報提供元: ビール女子
記事名:「 女性も安心してビールが飲める場を「オアハカ・ブルーイング」でメキシコのクラフトビール事情を聞いてみた