「知識が無くても全く恥ずかしくない」クラフトビール屋の店長が提案する、初めてのクラフトビールの楽しみ方
ビール女子 2022年02月08日 20:00:00
皆さん、こんにちは。
東京の日本橋エリアの小さなクラフトビアバー「NUMBER 6」オーナーの関口康啓です。
NUMBER6は、2019年の創業以来「日本産」がコンセプトのクラフトビールバーとして、6タップのクラフトビールと常時30種以上の缶・ボトルビールを販売しております。また、多数のジャパニーズウィスキーや国産クラフトジンなどもご用意しています。
「NUMBER6」:https://beergirl.net/number6_r/
僕自身のクラフトビールとの出会いは、独立して飲食店を立ち上げるべく働かせて頂いていた、横浜にあるクラフトビールレストランでした。
そこで出会った独創性豊かな美味しいクラフトビールの数々に心を撃ち抜かれて以来、気づけば自分自身も完全にクラフトビールのファンの一人に。
そんな自分のクラフトビールに初めて出会った頃の気持ちを思い出しながら、この度「クラフトビアバーの中の人」として、ちょこっとクラフトビールについて綴ることになりました。
テーマは「クラフトビールの楽しみ方」。かなり緩い感じですので気軽に読んでくださいね。
さて、まずはそもそも“クラフトビール”って何なんでしょう。
最近、大手のビール会社さんも“クラフトビール”と銘打った商品を売り出していたり、僕らみたいなビアバー以外にも様々な飲食店にて“クラフトビール”という文字を見つけられるようになってきたりしていますよね。
そんななか、一体このクラフトビールの定義って何?と疑問を持つ方も多いかと思います。
このクラフトビールの定義は諸説あります。
クラフトビール文化発祥の地と言われている、クラフトビール大国アメリカでは「ブルワーズアソシエーション」という業界の大手団体が定める、アメリカにおけるクラフトブルワーの定義というものがあります(「小規模であり、独立していて、政府からの醸造免許を取得している事業者である事」)。
ただし、この定義はあくまで作る側(醸造所)の定義であり、クラフトビールとは何か?というビールそのものに対しての定義ではありません。
そして上記のクラフトブルワーの定義に当てはまらない、大手のビール会社およびその傘下となったビール醸造所が販売するビールもアメリカではクラフトビールとして販売されていますので、「クラフトビールの定義」というものはあってないようなものだと言えます。
すみません、少し難しい話になってしまいましたね。
僕も日頃、お客様に「クラフトビールって何?」とよく聞かれますが、この答えは、生産者、提供者、愛飲者といったクラフトビールに関わる人間一人一人がきっと違う答えを持っていると思います。
ちなみに、僕にとっての『クラフトビールの定義』とは
『生産者や提供者の強い愛情ゆえに、人と人との間に絆を作ってくれるビール』
です。我ながら、かなり抽象的ですね。
さて、このクラフトビール、一体どうやって楽しんだら良いのでしょうか。
そもそも細かく分けるとビールのスタイルは100種類以上。そこにモルト(麦芽)、ホップ、酵母の違いや副原料なども加わってくると、味わい・香り・色はそれこそ千差万別。
さらに最近は日本国内だけでもクラフトビールを醸造しているブルワリーは500近くあると聞きます。
それぞれのブルワリーが年間通して何種類ものビールを醸造している事から、軽く見積もっても国内だけで年間で数千種類のクラフトビールが作られている事になります。
あらら、これは難しそうだな。と思ったあなた。大丈夫です、安心してください。この数えきれない程の種類があるクラフトビール達もほとんどが
・コクや香りが華やかなエールタイプ
・喉越しとキレが気持ちいいラガータイプ
の2種類にまずは分類されます。(ごく一部、この2種類に含まれないタイプもありますが今回は割愛。)
ちなみに大手の人気銘柄は、大体がラガータイプです。クラフトビールは比較的エールタイプの方が多く作られていますので、まずはこのエールタイプとラガータイプの違いを感じながら飲んで頂くことをおすすめします。
47都道府県、あなたの出身地にもきっとブルワリーはあるはずですし、きっと「あれ?いつものビールと違う!」と感じて頂けるはずです。
まずはそんなシンプルな所から始めていき
「このビール美味しかったなー」とか
「このビールはちょっと違ったかなー」とか
そんな風に思って頂く事から貴方のクラフトビールへの冒険は始まっていきます。
と言うのも、僕の体感的な数字ですが、NUMBER6に通って頂いているリピーターさん達も、8割くらいのお客様がもともとクラフトビールに精通していた訳ではないからです。
「クラフトビールって何ですか?」から始まり
「クラフトビールって美味しいね!」となり
「クラフトビールって楽しいね!」って変化して
「色々飲んだけど自分はこのスタイルのビールが好き!」となっていっている気がします。
僕はこのお客様の過程を何度も見てきていますし、それは全国のどこのクラフトビアバーでも同じ事が起きていると思います。
ですので、まずはどこでも良いので気軽にクラフトビールを飲んで頂き、少しでもクラフトビールに興味を持って頂けたら、次は自分にとってお気に入りのクラフトビアバーを見つける事を楽しんでもらえたらなと。
一つのビアバーに行くより、いくつかのお店に行ってみるとそれぞれのビアバーの個性の違いが感じられて、これもまたクラフトビールの楽しみ方の一つだと思います。
繋がっているビールの種類、料理、内装、雰囲気、スタッフさん達。
本当に千差万別で僕自身もなるべく色んなクラフトビアバーでクラフトビールを楽しむようにしています。
そしてクラフトビールには何とも言えない不思議な力があり、一人で飲みに行っていても、「それ、何番のビール飲んでいるんですか?」と話しかけられたりして、気づいたらそのお店の常連さんと一緒に飲んでいたりする事が多いです。
僕の個人的なクラフトビールの定義にもあるように、簡単に人と人が繋がっていくんですよね。
本当に不思議な力ですが、それはきっと生産者側の「美味しいビールでみんなが笑顔になって欲しい」という、シンプルで真っ直ぐな想いが成せる技なのかも知れません。
どうしても地方なのでビアバーがないよ・・。と言う方は是非、ブルワリーやビアバーが開催しているオンラインイベントに参加してみるのもありだと思います。そこで醸造者や提供者の人柄や想いを感じつつ飲むクラフトビールも十分に格別な味わいになるはずです。
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ここで改めて強調しますが、クラフトビールという文化は、クラフトビールの知識が全くなくても全然恥ずかしい思いのする事のない文化なのです。気になるお店がある方は、是非勇気を出して今日にでもそのお店に飛び込んで頂きたいなと。
僕らクラフトビールに携わる全ての人間が、あなたのクラフトビールの世界へのガイドとして、それぞれの場所であなたがこの世界に入ってきてくれるのを待っていますし、きっとそこには現代には少なくなった温かい空間と大切な時間を感じられるはずです。
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さて、少し脱線してしまっていましたが、ここで最後に纏めとしてこのコラムのテーマである、僕が思う『クラフトビールの楽しみ方』をお伝えします。
それは
『楽しみ方なんていう事すら意識せずに目の前のクラフトビールを自由に楽しむこと』です。
こんなざっくりした書き方をすると様々な関係者に怒られてしまうかも知れませんが、
『知識がなくたって誰でも気軽に楽しく飲めて、人と人との間に絆を作ってくれる魔法の飲み物』
それこそがクラフトビールだと僕は思っていますし、今回の『クラフトビールの楽しみ方』といったテーマを通して、このクラフトビールの不思議で素晴らしい魅力や文化といったものを少しでも多くの方に伝えさせて頂けたらと思い、長々と綴りました。
皆さんが今後、安心してクラフトビールの世界へ一歩踏み出す事への一助となれていれば幸いです。このクラフトビールという素晴らしい文化を、ぜひ一緒に体験していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
乾杯!
東京の日本橋エリアの小さなクラフトビアバー「NUMBER 6」オーナーの関口康啓です。
NUMBER6は、2019年の創業以来「日本産」がコンセプトのクラフトビールバーとして、6タップのクラフトビールと常時30種以上の缶・ボトルビールを販売しております。また、多数のジャパニーズウィスキーや国産クラフトジンなどもご用意しています。
「NUMBER6」:https://beergirl.net/number6_r/
僕自身のクラフトビールとの出会いは、独立して飲食店を立ち上げるべく働かせて頂いていた、横浜にあるクラフトビールレストランでした。
そこで出会った独創性豊かな美味しいクラフトビールの数々に心を撃ち抜かれて以来、気づけば自分自身も完全にクラフトビールのファンの一人に。
そんな自分のクラフトビールに初めて出会った頃の気持ちを思い出しながら、この度「クラフトビアバーの中の人」として、ちょこっとクラフトビールについて綴ることになりました。
テーマは「クラフトビールの楽しみ方」。かなり緩い感じですので気軽に読んでくださいね。
クラフトビールの定義とは?
さて、まずはそもそも“クラフトビール”って何なんでしょう。
最近、大手のビール会社さんも“クラフトビール”と銘打った商品を売り出していたり、僕らみたいなビアバー以外にも様々な飲食店にて“クラフトビール”という文字を見つけられるようになってきたりしていますよね。
そんななか、一体このクラフトビールの定義って何?と疑問を持つ方も多いかと思います。
このクラフトビールの定義は諸説あります。
クラフトビール文化発祥の地と言われている、クラフトビール大国アメリカでは「ブルワーズアソシエーション」という業界の大手団体が定める、アメリカにおけるクラフトブルワーの定義というものがあります(「小規模であり、独立していて、政府からの醸造免許を取得している事業者である事」)。
ただし、この定義はあくまで作る側(醸造所)の定義であり、クラフトビールとは何か?というビールそのものに対しての定義ではありません。
そして上記のクラフトブルワーの定義に当てはまらない、大手のビール会社およびその傘下となったビール醸造所が販売するビールもアメリカではクラフトビールとして販売されていますので、「クラフトビールの定義」というものはあってないようなものだと言えます。
すみません、少し難しい話になってしまいましたね。
僕も日頃、お客様に「クラフトビールって何?」とよく聞かれますが、この答えは、生産者、提供者、愛飲者といったクラフトビールに関わる人間一人一人がきっと違う答えを持っていると思います。
ちなみに、僕にとっての『クラフトビールの定義』とは
『生産者や提供者の強い愛情ゆえに、人と人との間に絆を作ってくれるビール』
です。我ながら、かなり抽象的ですね。
押さえておきたい2つのビアスタイル
さて、このクラフトビール、一体どうやって楽しんだら良いのでしょうか。
そもそも細かく分けるとビールのスタイルは100種類以上。そこにモルト(麦芽)、ホップ、酵母の違いや副原料なども加わってくると、味わい・香り・色はそれこそ千差万別。
さらに最近は日本国内だけでもクラフトビールを醸造しているブルワリーは500近くあると聞きます。
それぞれのブルワリーが年間通して何種類ものビールを醸造している事から、軽く見積もっても国内だけで年間で数千種類のクラフトビールが作られている事になります。
あらら、これは難しそうだな。と思ったあなた。大丈夫です、安心してください。この数えきれない程の種類があるクラフトビール達もほとんどが
・コクや香りが華やかなエールタイプ
・喉越しとキレが気持ちいいラガータイプ
の2種類にまずは分類されます。(ごく一部、この2種類に含まれないタイプもありますが今回は割愛。)
ちなみに大手の人気銘柄は、大体がラガータイプです。クラフトビールは比較的エールタイプの方が多く作られていますので、まずはこのエールタイプとラガータイプの違いを感じながら飲んで頂くことをおすすめします。
47都道府県、あなたの出身地にもきっとブルワリーはあるはずですし、きっと「あれ?いつものビールと違う!」と感じて頂けるはずです。
いざ、クラフトビールの世界へ
まずはそんなシンプルな所から始めていき
「このビール美味しかったなー」とか
「このビールはちょっと違ったかなー」とか
そんな風に思って頂く事から貴方のクラフトビールへの冒険は始まっていきます。
と言うのも、僕の体感的な数字ですが、NUMBER6に通って頂いているリピーターさん達も、8割くらいのお客様がもともとクラフトビールに精通していた訳ではないからです。
「クラフトビールって何ですか?」から始まり
「クラフトビールって美味しいね!」となり
「クラフトビールって楽しいね!」って変化して
「色々飲んだけど自分はこのスタイルのビールが好き!」となっていっている気がします。
僕はこのお客様の過程を何度も見てきていますし、それは全国のどこのクラフトビアバーでも同じ事が起きていると思います。
ですので、まずはどこでも良いので気軽にクラフトビールを飲んで頂き、少しでもクラフトビールに興味を持って頂けたら、次は自分にとってお気に入りのクラフトビアバーを見つける事を楽しんでもらえたらなと。
一つのビアバーに行くより、いくつかのお店に行ってみるとそれぞれのビアバーの個性の違いが感じられて、これもまたクラフトビールの楽しみ方の一つだと思います。
繋がっているビールの種類、料理、内装、雰囲気、スタッフさん達。
本当に千差万別で僕自身もなるべく色んなクラフトビアバーでクラフトビールを楽しむようにしています。
そしてクラフトビールには何とも言えない不思議な力があり、一人で飲みに行っていても、「それ、何番のビール飲んでいるんですか?」と話しかけられたりして、気づいたらそのお店の常連さんと一緒に飲んでいたりする事が多いです。
僕の個人的なクラフトビールの定義にもあるように、簡単に人と人が繋がっていくんですよね。
本当に不思議な力ですが、それはきっと生産者側の「美味しいビールでみんなが笑顔になって欲しい」という、シンプルで真っ直ぐな想いが成せる技なのかも知れません。
どうしても地方なのでビアバーがないよ・・。と言う方は是非、ブルワリーやビアバーが開催しているオンラインイベントに参加してみるのもありだと思います。そこで醸造者や提供者の人柄や想いを感じつつ飲むクラフトビールも十分に格別な味わいになるはずです。
ーーーーーーーー
ここで改めて強調しますが、クラフトビールという文化は、クラフトビールの知識が全くなくても全然恥ずかしい思いのする事のない文化なのです。気になるお店がある方は、是非勇気を出して今日にでもそのお店に飛び込んで頂きたいなと。
僕らクラフトビールに携わる全ての人間が、あなたのクラフトビールの世界へのガイドとして、それぞれの場所であなたがこの世界に入ってきてくれるのを待っていますし、きっとそこには現代には少なくなった温かい空間と大切な時間を感じられるはずです。
ーーーーーーーーー
さて、少し脱線してしまっていましたが、ここで最後に纏めとしてこのコラムのテーマである、僕が思う『クラフトビールの楽しみ方』をお伝えします。
それは
『楽しみ方なんていう事すら意識せずに目の前のクラフトビールを自由に楽しむこと』です。
こんなざっくりした書き方をすると様々な関係者に怒られてしまうかも知れませんが、
『知識がなくたって誰でも気軽に楽しく飲めて、人と人との間に絆を作ってくれる魔法の飲み物』
それこそがクラフトビールだと僕は思っていますし、今回の『クラフトビールの楽しみ方』といったテーマを通して、このクラフトビールの不思議で素晴らしい魅力や文化といったものを少しでも多くの方に伝えさせて頂けたらと思い、長々と綴りました。
皆さんが今後、安心してクラフトビールの世界へ一歩踏み出す事への一助となれていれば幸いです。このクラフトビールという素晴らしい文化を、ぜひ一緒に体験していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
乾杯!
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