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メタバースは、現段階で明確な定義はありませんが、一般的には「スマホやパソコンなどからアクセスできるオンライン上の仮想空間サービス」の総称とされています。
アバターを介して他のユーザーとコミュニケーションをとることができ、イベント開催や物の売買などが現実世界と同様にできる様々な活用方法が生まれています。
経済産業省が2021年に公開した「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」においては、メタバースを「一つの仮想空間内において、様々な領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へと提供」されることとして仮定義されています。
参考:仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書|経済産業省
近年メタバースは大きく普及しており、制作に関わる職種でメタバース業界への転職を検討している方も多いのではないでしょうか。
その選択肢の一つである3Dキャラクターアーティストがどのような仕事なのか、役割・魅力・年収について解説します。
メタバースについてわかりやすく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
3Dキャラクターアーティストは、3Dキャラクターモデラ―や3Dキャラクターデザイナーと呼ばれることもあります。
メタバース内でユーザーが使用する3Dアバターの制作を行うことが主な役割で、3DCGデザイナーとしての業務の中に3Dキャラクターアーティストの業務が含まれる場合もあります。
具体的には、様々な種類の衣装・髪型・顔パーツ・アクセサリーなどのデザイン企画、アセット制作、ディレクション、Unityによる実装動作確認などを担当します。
Facebook社が社名を「メタ(Meta)」に変えるなど、メタバースは主に海外を中心に盛り上がっているイメージがあるかもしれません。
しかし、すでに国内でも多くの企業や自治体が参入し、新たなサービスの利用者数を伸ばし始めています。
一例として、グリー株式会社の100%子会社であるREALITY株式会社が提供するスマートフォン向けメタバース「REALITY」は、全世界ダウンロード数が1,000万を突破しています。2018年8月のサービス開始後から飛躍的な成長を見せてきました。
メタバース業界は今後もますますの発展が見込まれているため、今から3Dキャラクターアーティストとして働くことで新規プロジェクトの立ち上げから関われるチャンスもあるでしょう。
成長中の新しい分野に触れられることや、自ら制作したアバターによって一般ユーザーの満足度を高めていけることは、大きな魅力ややりがいとなります。
メタバース業界の3Dキャラクターアーティストの求人を見てみると、年収は400万〜700万円の範囲が多いです。
多くて800万円〜900万円の求人も見られるため、元々3Dモデル制作やアバター制作のポジションで働いている方はこれまでのスキルや経験が考慮され、転職時に比較的高い年収が見込めるでしょう。
業界を問わないCGデザイナーの平均年収は約480万円ですので、メタバースの3Dキャラクターアーティストの場合はそれよりも高い水準となりそうです。
参考:CG制作 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|厚生労働省
結論から言うと、メタバース業界の将来性は非常に高いと言えます。
その中でアバターの提供に欠かせない存在である3Dキャラクターデザイナーについても活躍のチャンスが大いに期待できます。
以下では、メタバース業界における3Dキャラクターデザイナーの需要とキャリアパスについてご紹介します。
米国に拠点を置く大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが2022年6月に発表したメタバースに関するレポートによると、2030年には世界のメタバース市場における収益規模が5兆ドル(約650兆円)に達すると予測されています。
国内市場については、三菱総合研究所(MRI)が発表したレポートにおいて、2025年に4兆円程度、2030年には24兆円規模が期待されるとの研究発表がされています。
参考:
メタバースの価値創造 (Value Creation in the Metaverse)|McKinsey &Company
CX2030:バーチャルテクノロジー活用の場としての広義のメタバース|三菱総合研究所(MRI)
メタバースはエンタメだけでなく、小売、ファッション、広告、音楽、製造、不動産、教育、医療、観光、金融など広い分野で活用され始めています。
メタバースに参入する企業・制作する企業とともに、メタバースのサービスとユーザーも増加していきます。
BOOTHが公開したデータによると、3Dモデルの取引高は2022年には24億円に到達しており、注文件数も148万件に増加しています。どちらも前年度に比べ二倍近く増加しており、市場の成長を示唆しています。
参考:BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書|BOOTH
アバターはユーザーが自作する場合もありますが、制作スキルを持っていたり習得したりする人はごく一部です。そのため、多くのユーザーが気軽にメタバースにアクセスしアイデンティティを反映できるよう、魅力的なアバターを提供できる人材が必要になってきます。
メタバース業界における3Dキャラクターアーティストのキャリアパスは、企業や個々人の志向に応じて大きく三つに分類できます。
まずは、スペシャリストとして自身の技術力を特化させていき、現場での制作を続けていくという道です。
次に、幅広い知識や技術を活かして全体の工程を担うゼネラリストを目指す道です。将来的にディレクターやプロデューサー、マネージャーなどの役職を目指すこともできます。
また、ゆくゆくはフリーランスとして独立する選択肢もあります。
メタバース業界はまだ発展途上であるため、将来的に重要なポジションを開拓するチャンスが期待できるでしょう。
実際に3Dキャラクターアーティストとしてメタバース業界に転職するには何が必要なのでしょうか。
もちろん、求人によって必須要件・歓迎要件・求める人物像は異なります。
以下ではそれぞれを網羅的にご紹介しますが、応募したい求人に対して自分がマッチしているかどうかは求人ページの要件をよく確認しましょう。
メタバースの3Dキャラクターアーティストになるために、必ず取得しなければならない資格はありません。
特定の資格よりも、デザインや3DCG制作ツールのスキルと3Dキャラクターモデル制作の実務経験が求められます。これらは求人において必須要件となっていることが多いです。
3Dモデル制作で使用されるDCCツール(Digital Content Creation Tools)は、主にMaya、他にはBlender、3ds MAX、Lightwave、ZBrush、Chinema4Dなどがあります。
テクスチャ制作にはPhotoshopやSubstance Painterなどが使用されます。
実装に使用されるツールとしてはUnity、SourceTree、GitHubなどが挙げられます。
現在ゲームやアニメで使われている3DCGの技術はそのままメタバースでも活用できるため、これまでの3Dキャラクターモデル制作のスキルと経験をメタバース業界でも十分発揮できるでしょう。
必須ではないものの、3Dキャラクターアーティストの業務に役立つ資格は存在します。
メタバースマスター検定は、2022年に開始した新しい民間の資格検定です。メタバース関連の資格自体がまだ珍しいため、こちらにチャレンジしてみるのも良いでしょう。
メタバースにはVRを活用したものも含まれるため、VR技術者認定試験も選択肢として挙げられます。
また、以下のスキルもあるとなお便利です。
Unityの使用経験は、必須要件となっていない場合でも歓迎要件に入っていることが非常に多いです。
また、メタバースの運営・開発はゲーム制作と似ている部分が多いため、歓迎要件としてゲーム業界での経験を記載している求人も多く見られます。
さらにルックデベロップメントや仕様策定の経験もあると、3Dキャラクターアーティストとしての転職がより有利に運びやすいでしょう。
転職においては、要件をクリアしているだけでなく、企業の求める人物像に合致しているかどうかも重要なポイントです。
メタバースの3Dキャラクターアーティストに求められる人物像として挙げられるのは、以下の通りです。
3Dキャラクターアーティストはメタバースのアバター制作を担う立場なので、当然メタバースやVRへの強い興味・関心が求められます。
2Dデザイン画から適切に意図を汲み取る力や協調性などのコミュニケーション能力があり、チーム内で円滑に業務を進めることのできる人が求められます。
メタバースという新しい領域においては、常にアップデートされていく状況にアンテナを張り、意欲的に取り組める人が求められます。
メタバース業界未経験でも、3Dキャラクターアーティストとしてメタバース関連の求人へ応募し転職することは可能です。
メタバース業界での経験が必須要件となっている求人はほぼ見られません。他業界でも3Dキャラクター制作の経験があれば、十分そのスキルを活かすことができます。
とは言え、メタバースに関する最低限の知識は身に付けておくべきでしょう。
書籍や資料、ネットから情報収集することをおすすめします。実際にメタバースを利用し、全体像を理解することも大切です。
メタバース業界への転職活動は、一般的な転職活動と同じように求人の探し方や応募方法を把握することから始めます。
3Dキャラクターアーティストの場合は、ポートフォリオを提出することでスキルや経験を十分にアピールすることも大切です。
以下では、求人の探し方と志望動機のポイントについて解説していきます。
メタバース領域に特化した求人サイト・転職支援サービス、またはメタバース関連のプロジェクトに携わっている企業のサイトなどから求人情報を収集し、応募先を選定します。
特におすすめなのは、Web3・メタバース領域特化の転職支援サービス「Web3.0 Jobs」を利用することです。
Web3.0 Jobsでは、面談を通してポジションの提案及びポジションサーチを実施してくれます。
また、職務経歴書や面接に関しての客観的なアドバイスや、条件面の代理交渉などに対応してくれるため、転職を有利に進めることができます。
履歴書や職務経歴書などの応募書類を準備する上で、志望動機は最も重要な項目の一つです。応募する企業ごとに、以下のポイントを意識して簡潔にまとめましょう。
その企業を志望した理由について説得力のある内容を書けるよう、企業の事業内容やビジョン、業務内容についてしっかりと調べて理解を深めましょう。
その上で、自分の軸やキャリアビジョンなどとの接点を見出していく必要があります。
自分のこれまでの経験・スキルを転職先でどのように活かせると考えているか、根拠となる過去の実績やエピソードをもとに具体的かつ簡潔に書きましょう。
メタバースに関する知見があること、メタバースプロジェクトへの参加実績があることなど、メタバースに関する知識や経験があれば盛り込みましょう。
メタバース業界未経験であっても、興味・関心が強いことや、今後も積極的に学習やキャッチアップを行なっていきたいということをアピールしましょう。
メタバースは今後も急速に発展し、ますます注目を集める魅力的な分野です。
3Dキャラクターアーティストは、メタバースに欠かせない3Dアバターの制作を担う重要な存在として需要が高まることが予想され、将来性も期待できるでしょう。
3Dキャラクターモデル制作の経験があり、メタバース業界への転職を考えている方は、ぜひメタバースに特化した求人サイトや転職支援サービスを活用してみましょう。