13日(金)、日本の「食」を生み出す「農」や「地域」の未来を、生産者と消費者が一緒に考える「みんなの食料安保!10,000人シンポジウム 2022~食の未来予想図を考える~」が開催され、フリーアナウンサーの吉田明世がモデレーターを務め、生産者、有識者、次世代を担う大学生たちがトークセッションを展開した。

日本の「食」の現在は、2020年に始まった一連の新型コロナウイルスのパンデミック、気候変動等の新たな課題、さらにはロシアによるウクライナ侵攻の長期化など、食卓を取り巻く環境が大きな転換点を迎えていることを踏まえ、トークセッションが開催された。

日本の食と農業に今起こっていることについて農中総研 執行役員基礎研究部長 平澤明彦氏は、「一番の問題はそもそも土地が足りず、食料の輸入で100パーセント安心というわけにもいかない。貴重な日本の土地を守らねばいけないが、それも難しくなっている」と説明。統計によれば、年間5万もの農業従事者数が減っているデータがあるという。

その現場の声代表として参加したJA全青協会長 佐藤 崇史氏は、「我々生産者は、コスト高の中にいます。この2年間で50パーセントも上がっていますが、高くしたいけれど出来ない状況があります。『やばいぞ』という危機感も持っています」と訴え、作り手と食べての両方で意識を共有したいと熱弁した。

実際に農業を体験したという大学生の中島さんは、「食料があることが当たり前になっていると思いますが、農家の想いを知ることで、フードロス問題もなくなると思います。これからも想いを共有して、生産者と消費者の距離を近づけたいです」と説明。

また、滋賀県で農業のリアルを体験した大学生の西井さんも、「農場で苺の苗をひとつずつ植える作業を体験しました。実際にこういう作業を体験したからこそ気付くことができた生産者の心遣い、気配りがたくさんありました。」と報告。“伝える農業の”大切さも感じたという。

モデレーターを務めたフリーアナウンサーの吉田も日本の「食」への現状理解を深めたそうで、「わたしも子育て真っ最中ですが、将来にわたって日本の彩り豊かな食を継承していくため、今のわたしたち世代が意識を変え、具体的に行動することが重要だと思いました。生産者さんの現場を知ることも理解を深めるうえで大切。“国消国産”という考え方にも非常に共感します」と語った。

この“国消国産”とは、“国民が必要として消費する食料は、できるだけその国で生産する”というJAグループが提唱している考え方。「国消国産月間」と定めた今月10月中には、ECサイト「JAタウン」を活用した1,000万人規模の国産農畜産物送料無料キャンペーンや街頭イベント、全国約1,500店舗のJA直売所でのプレゼント企画など各種施策を発表した。

なお、同シンポジウムでは、世界の食料事情や日本の農業生産の実態について、JAグループサポーターの林修先生がわかりやすく解説するレッスン動画「みんなの食料安全保障」も公開。冒頭にあいさつしたJA全中代表理事会長 中家 徹氏も“国消国産”について、「少しでも関心を持ってほしい」と訴えた。

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