フジテレビ窮地続く…株主文化放送「何のための会見だったのか」厳しく指摘 23日臨時取締役会
中居正広(52)の女性トラブルに社員が関与したなどと報じられたフジテレビをめぐり、21日も各所に余波が広がっている。
同局とフジ・メディア・ホールディングス(HD)の社外取締役を務める文化放送の齋藤清人社長は、定例会見で同HDに対し、臨時取締役会開催を申し入れる文書を、他の社外取締役と連名で21日にメール送付したことを明かした上で、十分な説明を求めた。村上誠一郎総務相やフジテレビOBの黒岩祐治神奈川県知事も会見などで徹底調査の必要性などを言及。スポンサー離れも番組の放送に波及した。
◇ ◇ ◇
文化放送は同HDの大株主でもあり、齋藤社長は定例会見で株主、社外取締役として「とても注目していた」と語った。同じく株主の米投資ファンドが第三者委員会設置などを求めたことに「もちろん株主が物言うこと、これは責務であり重要なこと」としつつ「同時に自浄作用を働かせることもとても重要なのではないか。端的に言えば、言われる前に行動に移すこと。それが先日の会見で明かした調査委員会の調査ということであれば、速やかな調査、公表を強くお願いしたい」と話した。
フジ側の説明について「ご迷惑をおかけしていますという発信はいただいておりますが具体的なものはまだない」といい、17日の会見内容を報道などで確認。「あまりにも回答を差し控えるという場面が多くございました。であれば、きつい言い方ですけど何のための会見だったのか。それを受けて今のスポンサー各社の動きにつながっている部分は否めない」と厳しく指摘した。
次の定例取締役会は今月30日の予定だったが、他の社外取締役とも意見が一致し、「誠実に向き合ってこの難局を信頼回復とともに乗り越えてもらいたい」と21日に前倒しでの臨時取締役会開催をメールで申し入れたという。同HDはこの日、23日に臨時取締役会を開催することを公表。「内容については、公表しておりません。臨時取締役会において公表すべきことが決議された場合は、速やかに公表いたします」とした。
齋藤社長は日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会の設置も求め「おそらくスポンサーや広告会社もそちらを望んでいると思いますし、社外取締役としてもそうした委員会の方が適切なのではないかと思っています」と述べた。
また、村上誠一郎総務相は同日の閣議後記者会見で、今回の問題に触れ「できる限り早期の調査」を同局に求め「独立性が確保された形」で行うことも重要だと指摘した。80年から約30年間フジテレビでキャスターなどを務めた黒岩知事も会見で、フジの会見で報道機関の動画撮影などを認めなかった古巣の対応を「がくぜんとした。信じられない」と批判。同社が企業の不祥事を追及する際、会見や撮影を求める立場だと指摘し、この対応が「スポンサー企業を刺激し、CM辞退につながっている」と語った。
◆フジ・メディア・ホールディングス(HD) 約80社を束ねるメディア・コングロマリット、フジサンケイグループの中核企業でフジテレビやニッポン放送、共同テレビジョン、ポニーキャニオンなどを子会社に持つ。文化放送はフジ・メディアHDの約3・33%の株を所有しており、昨年9月末時点で、約11・11%所有の日本マスタートラスト信託銀行、7・93%の東宝、3・29%のNTTドコモらが大株主として名を連ねている。