役所広司「PERFECT DAYS」1年公開最終舞台あいさつ、俳優人生で「やったことない」
役所広司(68)が26日、東京・TOHOシネマズシャンテで、主演映画「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)最終上映日を迎えて開かれた、感謝の最終舞台あいさつに登壇した。
同劇場は、23年12月22日の公開初日から1年以上、ロングラン上映を続けた。役所は、同23日に開催された公開記念舞台あいさつにも登壇しており「1年間のロングランの舞台あいさつって、やったことがないので何を話して良いか分からない」と吐露。1年の上映を終えての舞台あいさつは、1979年(昭54)のデビューから45年で初めてだと笑顔で語った。
「PERFECT DAYS」は、22年5月に東京で開かれた会見で製作が発表され、ヴィム・ヴェンダースヴェンダース監督(79)がドイツから来日。役所も主演俳優として登壇した。同監督は東京・渋谷区で20年から行われている、世界的に活躍する16人の建築家やクリエーターが個性を発揮して、同区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のトイレを舞台に製作。11年ぶりに来日してシナリオハンティングなどを行い、自ら脚本も担当した。撮影は全て東京で行い、役所は渋谷でトイレの清掃員として働く平山を演じた。
役所は「PERFECT DAYS」で23年5月にカンヌ映画祭男優賞を受賞し、作品も米アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)にノミネートされた。「1年間、上映しているということは、本当に初めてです。配信されているのに、どうして劇場に来てくださったのだと思うと、お客さんは神様。本当にありがとうございます」と感謝した。
この日は、個人プロジェクトとして21年に有限会社MASTER MINDを立ち上げ、企画発案、出資、製作と映画初プロデュースを手がけた柳井康治氏と、同じくプロデューサーで共同脚本を務めた、高崎卓馬氏も登壇した。この日、上映された同劇場は、ヴェンダース監督が87年にカンヌ映画祭監督賞を受賞した「ベルリン・天使の詩」が88年に日本公開され、30週もロングラン上映された。高崎氏は自身も若き日に、同劇場でヴェンダース監督作品を見たと開かし「毎年、年末にかかり、皆さんが必ず見る映画になるといいな。応援して下さい」と「PERFECT DAYS」が、同劇場で年末に上映されることが恒例化することを望んだ。
柳井氏は「こういう形でごあいさつできるのが、ありがたい。このプロジェクトをやっていく結構、初期に、役所さんから『トイレに神様がいるらしいから、きっとうまくいきますよ』というメールが来て心強かった」と振り返った。役所は「世界の人がトイレを見に来て、用を足してくれているそうです。パーフェクトです」と声を大にした。ヴェンダース監督もメッセージを寄せ、最後に「ありがとうございます。カット」と口にして、笑みを浮かべた。
◆「Perfect Days」東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)は、淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなく、常に新鮮で小さな喜びに満ちた、まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読みふけるのが喜びで、いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。平山は木が好きで、自分を重ねているのかもしれない。ある時、平山は思いがけない再会をし、それが彼の過去に少しずつ光を当てていく。