「震災30年。笑ってがんばろう!震災復興ウィーク」に出演する笑福亭松喬(左)と笑福亭銀瓶(撮影・阪口孝志)

落語家笑福亭松喬(63)、笑福亭銀瓶(57)が16日、神戸新開地・喜楽館で、「震災30年。笑ってがんばろう!震災復興ウイーク」(25年1月13~19日、同所)の制作発表記者会見に出席した。

来年1月17日で阪神・淡路大震災から30年を迎える。喜楽館のある新開地も深刻な被害を受けた地域の1つだった。喜楽館の伊藤史隆支配人は「6年前、ここに寄席小屋が復活した。1・17を迎えるにあたって、悲しい、切ない思いの方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、ここで落語の温かい笑いで激甚被災地を包んでいくことこそ、喜楽館がやることではないか」と開催の趣旨を説明。

今年の1月にも開催しており、「噺家(はなしか)さんの話術で、当時悲しい思いをしていただろう皆さんも笑っていた。不謹慎かもしれないが、決して不謹慎ではないものになると思う」と力を込めた。

公演には震災を経験した落語家が出演し、トリは桂あやめ、桂吉弥、銀瓶、桂米団治、桂文珍、松喬、笑福亭鶴瓶が務める。落語とともに、伊藤氏が務めるABCテレビのアーカイブ映像を見ながらの対談や、浪曲の真山隼人による阪神・淡路大震災の創作浪曲も披露する。

震災発生時、甲子園球場の近くに住んでいた松喬は、「上甲東園に住んでいた母親の様子を見にバイクで走っていくと、国道171号線の橋と新幹線の高架が落ちてた。『えらいことや』と実家に行ったら、母親が大丈夫やったんですけど、ぼぉーっとしながら出てきたのが17日でした」。

揺れが起きた際、すぐに行動できるようにと着替えたことで、「今でも嫁に『アンタ、自分だけ逃げようとした』って言われる。人生の汚点ですわ」と笑い話も披露。震災から30年がたち、「時間がたてばたつほど笑っていただけるネタが多くなる。不謹慎から離れていくので、一緒に共有してお笑いいただけるネタは増えるととらえている」と話した。

大のオリックスファンでもあり、「あの年はオリックスが優勝した。今、オリックスは神戸の球団じゃないけど、30年を期に頑張ってほしい。九里亜蓮も来たし」と、「がんばろうKOBE」をスローガンにリーグ優勝を果たした当時を回顧。来季の巻き返しに期待した。

一方、銀瓶は尼崎のアパートで被災した。「ウチのトイレと隣のお風呂場の間の壁に大きな穴が開いた」。当時4カ月だった息子が今年結婚し、「父親としての役目を1つ果たせたのかな」と振り返った。

30年がたっても、「当たり前に生きているんじゃないと30年前に感じた。日々の生活でついつい忘れがちになるが、1月17日はそういう気持ちを思い出す日。地震の恐ろしさとか命があることの尊さをずっと語り継いでいかないとあかんなと思います」と語り、公演に向け「我々のできることは舞台でしゃべって楽しんでいただくだけ。無力かもしれませんけど、一生懸命おしゃべりしたい」と意気込んだ。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 笑福亭松喬、銀瓶が阪神・淡路大震災30年迎え「命があることの尊さを語り継いでいかないと」