Amazonプライムビデオで、40以上の国や地域で11月8日から世界独占配信が決定したアニメ映画「ルックバック」(C)藤本タツキ/集英社 (C)2024「ルックバック」製作委員会

配信大手のAmazonプライムビデオは22日、アニメ映画「ルックバック」(押山清高監督)を、40以上の国や地域で11月8日から世界独占配信すると発表した。「ルックバック」は6月28日の公開後、作品性の高さから話題を呼び、興行収入(興収)20億円、国内動員100万人を突破。今年の日本映画界を席巻し、年度を象徴する1本となった。米Amazonの映画、ドラマ製作部門Amazon MGMスタジオが日本のアニメ製作委員会に参加した初めての作品。世界独占配信に合わせ、押山監督の描き下ろしキービジュアルを公開した。

「ルックバック」は「チェンソーマン」や「ファイアパンチ」などで知られる漫画家の藤本タツキ氏(31)が、21年に「少年ジャンプ+」(集英社)で発表した同名の読み切り漫画を劇場アニメ化した。学年新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートから絶賛を受けている小学4年生の藤野が、ある日突然先生から、不登校の同級生・京本の4コマ漫画を掲載したいと告げられることで始まる物語。漫画へのひたむきな思いを貫く2人の成長を追いながら、ある日起きた、すべてを打ち砕く衝撃的な出来事を描いた、胸を突き刺す青春物語が多くの感動を呼んだ。

監督・脚本・キャラクターデザインは、庵野秀明監督の09年「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」や、スタジオジブリの10年「借りぐらしのアリエッティ」、13年「風立ちぬ」など、劇場アニメの人気作に主要スタッフとして参加してきた、押山清高監督(42)が手がけた。主人公の藤野を、TBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」の純子役でブレイクし、その後も話題作、大作への出演が相次ぐ河合優実(23)もう1人の主人公の京本役を、映画「あつい胸騒ぎ」「カムイのうた」で主演を務め近年、進境著しい吉田美月喜(21)が、それぞれ演じた。

今年6月28日に封切られた際は、全国約120館という中規模の公開だったが、2週連続で興収1位を記録。公開館数も増え続け興収20億円(7日時点)を突破する大ヒット作となりました。日本で劇場公開されたアニメ映画の、プライムビデオでの世界独占配信は、21年「シン・エヴァンゲリオン劇場版」以来となる。

押山監督と藤本氏は、それぞれコメントを発表した。

押山清高監督 映画「ルックバック」は、藤本タツキさんの原作マンガが持つ力強い物語に、私自身の視点を加えて映画として描いた作品です。58分という短い映画ですが、多くの方が劇場に何度も足を運んでくださり本当に驚いています。今回の世界配信により、劇場に来られなかった方やさらに多くの方に映画を届けられることをうれしく思います。配信で繰り返しご覧いただけることで、さまざまな視点からじっくりと映画を鑑賞していただけるのではないかと思います。ぜひ、映画の細部に忍ばせたさまざまなイースター・エッグも探してみてください。アニメーション映画が持つ絵の力を通じて、その魅力が少しでも伝わることを願っています。

藤本タツキ氏 映画ルックバックは企画時、原作をそのまま映像化すると短編になってしまい、オリジナル要素を30~40分入れないと商業的作品として成立しないと言われていました。公開できる劇場がかなり狭まるし、アメリカではそもそも60分弱の映画だと映画館で上映できないかららしいです。それを現在の形のまま、このクオリティーで公開できたのは押山清高監督の判断のおかげです。僕が漫画版で拙くてできなかった、伝わりづらかった表現が映画ではわかりやすく、より生き生きとなっていたのには本当に驚きました。あと、haruka nakamuraさんの劇伴も、もうこれしか考えられないくらい合っています。おふたりのおかげです。ありがとうございました! 劇場に足を運んでくれた人達もありがとうございました! Prime Videoで見る人もすごいアニメーションなので、できるだけ大きい画面で見て欲しいです! よろしくお願いいたします!

Amazon MGMスタジオのインターナショナル・オリジナル責任者のジェームズ・ファレル氏もコメントを発表した。

ジェームズ・ファレル氏 このたびはアニメ映画「ルックバック」をPrime Videoから世界に届けることができ、大変光栄です。Amazon MGMスタジオでは、アメリカに続き日本におけるアニメーション企画製作部門を2022年末に立ち上げ、世界が注目する日本のアニメ産業との、革新的でありながら継続的な関係構築を模索してきました。「クリエーターへの賛歌」をテーマの1つに掲げるアニメ映画「ルックバック」製作委員会への参画をもって、その記念すべきスタートを切ることができたことは、各国の優秀なクリエーター達の作品を世界のお客さまへ届けるための「Home for Talent(才能がある人が集まる場所)」をビジョンとして掲げるAmazon MGMスタジオとして、非常に意義深く、喜びを感じています。今後、Amazon MGMスタジオと日本が誇るクリエーターやビジネスパートナーの皆さまが互いに刺激しあい、創意工夫する過程を楽しみながら、心に響くアニメ作品を世界に送り届けることを目指します。

世界独占配信に合わせ、押山監督が描き下ろした新たなビジュアルは、藤野の部屋のベッドで寝ころびながら、藤野の自信作の原稿を最初の読者として京本が読んで驚嘆している様子が描かれた。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 興収20億円超、日本映画界席巻「ルックバック」40の国、地域でアマプラ11・8世界独占配信