松尾依里佳(2014年12月撮影)

バイオリニストでタレントの松尾依里佳(40)が18日、大阪市内で、ABCテレビ「おはよう朝日です」に生出演。76歳で亡くなった俳優西田敏行さんとのあふれる思い出を語った。

松尾は、西田さんが01年から19年まで2代目局長を務めた同局の名物番組「探偵!ナイトスクープ」で、3代目秘書として7年半共演していた。

番組では、西田さんが01年1月就任当時の影像から、19年までの影像をオンエア。ヒット曲「もしもピアノが弾けたなら」を流しながら進行。松尾は「まだやっぱり信じられない思いですし、今も影像、声聞くと…。すぐに隣で語りかけてくれるような気がします」と声を震わせた。

続けて「ほんっとにお優しくて、温かくて。心にいつも情熱を、つねに熱いものをお持ちで…。ほんとに大きい方でした」と言い、西田さんが大勢に愛された理由は「人間大好きな方だったから」と語った。

「人間のいろんな事、清濁あわせのんで、物事を一面で見ない。悲しみの中にあるおかしみ。人間には、つねにいろんな物が含まれているって」

ひとりひとり、それぞれに“ドラマ”を見いだしていた西田さんの大きな愛に、松尾は「私たちに、たくさんの愛を分けてくださった」と感謝した。

探偵が取材してきたVTRを見て、ハンカチで涙をぬぐうシーンが印象深かった西田さん。探偵、顧問らが大笑いしている中で、西田さんだけが泣いていた。

「泣きながら、よくおっしゃっていたのが『いとしいな』『いとしいな』」

西田さんは「いとしい」という言葉もよく使っていた。収録後、食事に行くことも多く「役者仲間のことをたくさん、話してくれた」。大ベテランの名優ながら気取らず、分け隔てない人付き合いでも知られた。

松尾も「すごい大御所でいらっしゃるのに、全然えらそぶらなくて」。ある日、西田さんから「局長じゃなくて、としちゃんって呼んで」と言われたことも明かした。

そこには、西田さんなりの主義もあった。駆け出し時代、役者の世界は厳しい上下関係があった。

「昔は過度に後輩に厳しかった時代もあった。でも、ご自身はなるべく(不要な厳しさは)しないっていうような。そんな姿勢を私たちに見せてくれた」

番組の忘年会でも、西田さんの隣に座り、1年のVTRを振り返るうち、思い出して泣くこともあったという。西田さんからの「思い出の言葉」には、秘書就任直後をあげた。

「もう全然、依里佳ちゃんの、そのまんまでいいから」と言われたと明かし、「すべてを背負って、温かみのある方でした」と言い、また声を震わせた。

「西田さんは、ずっと少年のような…生き生きした心で。つねにご本人がワクワクしていて。昔を振り返って楽しいこと、自分がやりたいこと、いつも考えてらして。だから、みんなが『あったかいお風呂』にのってる感覚でいられた」と、松尾は泣き笑いの表情で振り返っていた。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 ナイトスクープ3代目秘書、西田敏行さん愛された理由「泣きながら、いとしいな」「ずっと少年」