最近、都内の図書館にいくと、英語、韓国語、中国語、ベトナム語、…語の絵本、つまり翻訳されていない絵本、輸入絵本のスペースが広がっております。外国人労働者の方の数も今後さらに増えると存じますので、この傾向はまだまだ広がっていくのではないかと。これらの絵本の対象は、外国人のお子様でございます。なかには、英才教育のためにという親御さんもいらっしゃるかもしれませんが。

しかし、今回ご紹介したい輸入絵本は、そちらとは違い、大人の方が対象の輸入絵本でございます。とりわけ、現役バリバリ、働いている方が対象でございます。

前置きが長くなりました。最近、書店で「セミ」という絵本を見かけられた方、いらっしゃいませんでしょうか。こちらでございます。

「セミ」(著:ショーン・タン 訳:岸本佐知子 出版社:河出書房新社)

絵本のコーナーではなく、通常の書籍の場所、つまり大人の目に入るところに陳列されておりますので、見かけた方も多いのでは……。

なぜ、そんなところに陳列されているのか?

絵本なのに、ターゲットが大人なのでございます。「大人も」ではなく、「大人」でございます。いわゆるアートブックでございます。ただし、そのメッセージ性はゴイスーに高めな作品でございます。働き方改革、年金制度問題が注目されている今、読めば刺さること間違いナッシングな社会派でシュールで、それでいてアートな大人絵本でございます。

その証拠に、こちらの絵本は、オシャレ・ファッションカルチャー雑誌の「GQ JAPAN」や週刊朝日などで紹介されております。

どんな内容なのか…

灰色のスーツを着て、ネクタイを締め、革靴を履いたセミが主人公でございます。

高層ビルの中にある会社で17年間、無欠勤でミスもなく働いております。

ところが、セミだからという理由だけで一切評価をされておりません。それどころか、差別やイジメにまであっております。そして、ついにセミは定年の日を迎えるのでございます。定年の日になにが起こるのか、物語のオチは、是非、ご自身の目でお確かめください。ゴイスーなシュール度でございます。

ちなみに、作者のショーン・タンさまは、世界的に有名なオーストラリアの絵本作家さまでございます。世界的ベストセラー絵本の「アライバル」は、「アメトーーク!」(テレ朝系)で、読書芸人として有名なカズレーザーさまが、「絵がとんでもねえ緻密」、「全員が感動できる」と絶賛、日本でも話題になりました。

そんなショーンさまの最新刊が「セミ」でございます。

長らくお待たせいたしました。なぜ、輸入絵本なのか…

先日、ある書店で「セミ」が平積みされている横に、輸入版(英語版)の「セミ」が置いてあったのでございます。タイトルは「Cicada」でございます。

国内版(翻訳本)に比べると、本の大きさが若干小さ目でございますが、中身は一緒でございます。テキストが日本語か英語かの違いだけでございます。

ところが、この輸入版を観る、読んでみると、こちらがゴイスーに欲しくなるのでございます。なぜか…。

ご覧になった方は、おわかりだと存じますが、とにかく絵がゴイスーにアートなのでございます。なので、原書、英語版の方が、さらにオシャレ、かっこよく感じてしまうのでございます。まさに、大人が輸入版を欲しくなる絵本なのでございます。

さらに、テキスト(文章)は非常に短く、簡単な単語ばかりでございます。

中二レベルの小生の英語力でも大丈夫でございました。絵もあるので、まったく問題ないのでございます。

会社のデスクの上に置いておくと、注目を集めること、評価が上がること間違いナッシングな絵本でございます。

この夏は是非是非、大人な輸入絵本をご体験くださいませ。

ゴイスーに“カッコいい”絵本でございます。

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 この夏、大人が自分のために輸入絵本が買いたくなる件