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「段ボールなんて、特に興味ないわー」と思っていたのですが、これが何と、予想外に楽しい旅の物語だったんです。
この物語の主人公は、島津冬樹さん。この方、度を超えた段ボールオタク。8年間かけ、世界30カ国を回り、至る所で様々な段ボールを拾ってきた熱量いきすぎな方なんです。そんな島津さんの段ボール愛は異常。
段ボールの何がそんなに良いのか?
聞いたが最後、ノンストップな語口でべしゃり倒す。陽気な音楽の中、段ボールを語る島津さんはユーモラス。島津さん曰く、「段ボールのヘコみや、押された数字、バーコードにも何か意味があるんです。綺麗な段ボールは味気ない」との事。
一体、何を言ってるのやら。でも、確かに様々なデザインの段ボールを見ているだけでも楽しいです。島津さんは、段ボールのくたびれ具合を見て、この段ボールの辿った旅を夢想するのが大好きなんです。そこで、本作では、そんな段ボールの旅を島津さんが実際に体験……という、やり過ぎに拍車をかけた展開へ突入!!
島津さんは日々、商店街やゴミ捨て場、倉庫、スーパーのバックヤードを訪ね歩き、段ボールを拾ってきます。そんな中から、徳之島のジャガイモの段ボールを発見!!これは「可愛い」と大興奮!!
さらに、島津さんは推測。「この段ボールの文字の横のゆるキャラは女性がデザインして、文字を含めた全体は男性がデザインしたのだと思われます」と。
それなら確かめてみよう!……という事で、"段ボールの旅を島津さんが辿る旅"が始まります。そんなノーテンキな旅が、まさかの感動的なクライマックスへ向かっていきます。
まず島津さんが訪れたのは、段ボールに住所の記載があった徳之島のジャガイモ工場。見るからに人の良さそうな工場長がお出迎え。どこまで島津さんの事を理解できてるのか、快く対応。所が、このオヤジもクセ者で、島津さんが段ボールのでサインについて語ると「そーなんですよー!!」と乗っかってくる!!異常なテンションで"段ボールのデザイン"について語り合う2人。一体、何を見せられているのだろうか……。
そんな中、工場長の紹介でさらに段ボールの旅が続いていきます。そして、最後には予想外の感動展開へ。
そんなキャラが濃い島津さん。そもそも段ボールとの出会いは大学時代。貧乏でお金がなく、財布の買えなかった島津さん。段ボールで財布を作ってみた所、これに大満足。その後、段ボール財布を作り続け、販売してみると、これまた大評判!!早々に仕事を辞めて、段ボールアーティストの道へ。
作中、段ボールで財布を作るワークショップを開催する島津さん。シューズボックスをシャレオツな財布へリフォームします。なんと、その段ボール財布の飲食店の出店に持っていき食べ物と交換してもらう物々交換を実施。不要なもの(ゴミ)で食べ物を手に入れる最強のサバイバル術を披露。
そんな島津さんの偏った日常と段ボールの旅を同時進行。そのバックボーンに見えてくるのは、リサイクルを素通りしたアップサイクルな活動。でも、島津さんのピュアでユーモラスなキャラが先行しているので、全く押し付けがましくない作風に好感度バツグン。
段ボールに恋をした奇妙な旅と活動の軌跡は、是非、劇場でお楽しみ下さい。
映画『旅するダンボール』は12月7日(金)から、YEBISU GARDEN CINEMA/新宿ピカデリーほか全国順次公開 !!