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先日、ヘアメディカルグループ、日本医科大学形成外科、アンファー株式会社が参画する共同研究グループが、「ミノキシジル」および「振動圧刺激」により、発毛が促進されるリアルタイムイメージング画像を世界で初めて公開。「血行促進ではなく“振動圧刺激”そのものに発毛を促す効果がある」という研究成果の報告会が都内で開催されました。
血行促進が発毛に及ぼす影響については賛否あり、以前からその発毛効果についても不明瞭な部分が多くありました。
毛髪は毛根にある(毛母細胞)が細胞分裂をおこすことで成形されます。その毛母細胞に分裂のシグナルを伝えるのが毛乳頭細胞で、毛乳頭細胞の栄養は血流により運ばれるため“血行促進”が発毛につながるという説がある一方で、血行促進の作用があるビタミンEや、同じく血管拡張作用があるカルシウム拮抗薬(降圧薬)などによる発毛作用の報告はなく、血行促進(血管拡張)=発毛、というロジックは必ずしも正しいとは言えないという指摘もあります。
これら様々な説から、実は、血行促進ではなく、マッサージそのものによる刺激が発毛を促進させている可能性を考えた、共同研究グループの日本医科大学形成外科学教室 小川令主任教授らは、引っ張りながら力を加える伸展刺激をあたえ、傷ついた皮膚の再生を促す治療法を例に挙げ「メカノバイオロジーの観点から、頭皮にあたえる物理的刺激をコントロールすることで毛髪再生を促せるのではないか」と予想。
マウスの創傷治癒の実験において、皮膚に適度な振動圧刺激をあたえたころ、刺激を与えた部位周辺に発毛が見られたため、今年8月からは、独自に開発した「非接触集束超音波装置」にて、低周波振動圧を特定の部位に照射し、振動圧刺激が毛乳頭細胞にあたえる影響を観察しています。
写真)日本医科大学形成外科学教室 小川令主任教授
実験では「振動圧刺激」と同時に、以前より発毛効果があるとされる「ミノキシジル」についても検証しています。
ミノキシジルは、血管拡張剤として1950年代後半にアップジョン社(現、ファイザー製薬)が創製したもの。投与された女性の顔が多毛症になるという副作用から、発毛効果が期待され研究が始まり、1988年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)が発毛薬として認可。日本でも一般用医薬品として発毛剤に含まれています。
しかし、なぜ発毛につながるのかは未解明の部分も多く、今回、同共同研究ではミノキシジルを投与することで細胞膜に存在するイオンチャネル(細胞の生体膜)のひとつ“カリウムチャネル”が開く様子をとらえ、毛乳頭細胞が活性化する様子の視覚化に成功。また「振動圧刺激」によっても同様に開口が起こることを観察でき、両方を与えることで相乗効果を得ることができることが判明したそうです。
写真)日本医科大学付属病院 形成外科 講師 高田弘弥先生
さらに、細胞の垂直断面を観察すると細胞の膨張が起きており、タンパク質などの増加、分解も活性化されていることが確認できたそうで、日本医科大学付属病院 形成外科 講師 高田弘弥先生は「この膨張レベルが活性化レベルではないか?」との見解を示しました。
ヘアメディカルグループの川島眞総院長は、今回の研究成果をもとに臨床用として「低周波振動薄毛治療機器」の2020年導入を、また、ホームケア用として「低周波振動刺激デバイス」の2021年発売をそれぞれ目指し、実証実験を進めていくと発表。
写真)ヘアメディカルグループ 川島眞総院長
ホームケア用としては、すでにアンファーとパナソニック株式会社が共同開発した“頭皮に力を加える”マッサージ型の頭皮エステ「メガノバイオ」が発売されており、低周波による非接触型の次世代器は、直接、指やマシーンに毛髪剤などの液が触れないため、頭皮に薬剤などがより浸透しやすくなるそう。「ミノキシジル」との相乗効果も期待できますね。
写真)報告会では、推奨セルフ頭皮マッサージ法「川島式ヘアメディカルマッサージ」を紹介。日本コスメティック協会認定指導員 小田芙美子氏がレクチャー。