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小さく非力で、子供にその命を弄ばれることもある蟻。豆つぶほどなのでなにかと舐められていますが意外と恐ろしい虫の一角でもあります。中には2017年に日本を恐怖に陥れたヒアリのように強い毒を持っている種類もおり、刺されればアナフィラキシーショックを起こすこともあるそう。そこで今回は、そんなけっこうヤバめな虫、蟻の恐ろしさについて紹介したいと思います。
蟻は御存じ女王蟻が産卵をし、卵を産まないメスの働き蟻が甲斐甲斐しくお世話をするという秩序の下社会が成り立っています。しかしごく稀に働き蟻が産卵してしまうこともあるそうです。
こうした場合、他の働き蟻が襲い掛かり産卵を邪魔したり卵を食べたりするんだとか。これはコミュニティの初期段階でよく見られ、若い集団だと新しく生まれた蟻の世話に労働力をとられてしまうため阻止していると考えられています。
熱帯に生息する軍隊蟻といえば好戦的なことで有名です。巣を作らず多いものだと百万匹で行軍。見つけた獲物を集団で襲い掛かり食糧とします。それは昆虫だけではなくつながれている牛や馬などの大きな家畜なども強襲。その獰猛性は野生の中でも知れ渡っている様でジャガーなども、軍隊蟻を見つけたらビビッて逃げるそうです。
マレーシアやブルネイに生息しているジバクオオアリ。戦闘状態に入ると通常に戦いますが劣勢になると、身体の一部を破裂させ毒液を噴射。敵を道連れに自爆します。また液体には毒性の他、粘性があり敵の動きを封じ、さらに警戒フェロモンの成分もあるため仲間に注意を促す役割もあります。
フランス・ギアナのシロアリ(シロアリは厳密には蟻ではなくゴキの系譜)。蟻のような階級があり巣が襲われた際、防衛にもあたる個体もいます。劣勢になった際、最終手段として背中部分の毒タンクを破裂させ外敵を撃退するそうです。この自爆要員のシロアリ、若い個体は少なく主に『老兵』が担っており若いシロアリを守るために犠牲になっていると見られています。
パラグアイなどに生息するパラポネラは体長3センチと大きめ。スズメバチに近い毒をもちお尻の針で攻撃してきます。この痛みが、史上最悪といわれ弾丸に撃たれたような激痛から『弾丸アリ』とも呼ばれています。この痛みを儀式に用いる部族もおり、手袋にパラポネラを入れ男性が手を突っ込み放置。激痛に耐えることを繰り返し大人への階段を上るということらしいです。
南米に生息するディノポネラ。日本最大のクロオオアリは女王で2センチ弱ですが、このディノポネラの女王は3~4センチで倍近くあり世界最大の蟻とも言われています。攻撃性も高く発達した顎で噛み切ったり、毒を持つお尻の針で刺してきたりと人間にも被害が及ぶことがあるそうです。この2つの武器で先に紹介したパラポネラを襲ったり、爬虫類を餌として攻撃したりすることもあるんだとか。
最後は暴力的に怖いという蟻ではなく、仕組みというか世界観が怖い蟻の話し。オーストラリアの砂漠地帯に生息するミツツボアリ。この蟻も他と同様に防衛係、働き係など役割分担がきっちりしています。しかし他と違うのは蜜タンク係がいるということ。タンク係は成虫になると巣の天井にぶら下がり、他の働き蟻から口移しで蜜を供給され続けお腹を風船のようにパンパンにします。
これは砂漠地帯に棲んでいるためなかなかエサが見つからない場合があるので蜜(エサ)を貯蔵するための進化。つまりタンク係は仲間のためにエサタンクになるのです。エサの取れない時期には逆にタンク係が他の蟻に蜜を供給します。タンク係は形状としてもう動くことはできずぶら下がりっぱなし。生涯外に出ることはないといいます。
世界の全ての蟻を数えると、はおよそ1京匹いると言われています。(※1京=10の16乗)
またこの全ての重量を合わせた時、世界の人間の総重量を凌駕するそうで、本気になったら地球は蟻に支配されそうですね。