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某アイドルグループの一人が書類送検されてお昼のワイドショーを騒がせたが、よくよく考えてみると「『書類送検』ってなんだ?」「『逮捕』とどう違うんだ?」と思った人はいないだろうか。『相棒』などの刑事ドラマでしばしば耳にする用語だが、意外と言葉の違いについて知っている人は少ないのではないか。気になる言葉の意味を調べてみた。
「書類送検」と「逮捕」の違いは、被疑者の「身柄」を検察に移すか移さないかだ。つまり、事件の被疑者が特定した場合、警察はすぐに被疑者の身柄を確保しなければならない。被疑者が逃亡したり、証拠隠滅を図ったりする可能性があるからだ。そこで“強制的に身柄を拘束すること”を「逮捕」という。
しかし一方で、重大犯罪ではなく、被疑者に社会的地位があったり、家族がいたりすることで、逃亡の恐れがない、証拠隠滅の恐れがないと判断できる事件もある。この場合、警察はあえて逮捕の必要性はないと判断し、調書などの書類だけを検察に送ることがある。これを「書類送検」という。要は、検察に送るのが「身柄」か「書類」かの違いなのだ。
一般的に処分は「逮捕」のほうが重い傾向がある。というのも「書類送検」された時点で、罪が軽い事件として扱われているからだ。実際、不起訴になるケースは多いが、だからといって必ず不起訴になるわけでもないというのが難しいところだ。
ちなみに書類送検だけで「前科」はつかず、起訴&有罪判決がついて初めて「前科」がつく。これまでにも芸能人や著名人が書類送検されたケースは少なくないが、最終的に検察がどう判断するかが焦点になるのだ。
刑事ドラマでありがちなシーンがある。犯人を追い詰め、警察が取り押さえたとき、「逮捕!」「検挙!」などと、口々に叫ぶ場面だ。これも厳密にはこんな違いがある。
「逮捕」……被疑者の身柄を強制的に拘束すること
「検挙」……捜査機関が犯罪を起こした人を特定し、刑事事件として立件・捜査すること
(身柄を強制的に拘束することを含まない)
つまり、逮捕は検挙の中に含まれる行為の一部だが、身柄の強制的拘束は含まないのだ。検挙は、捜査をして、被疑者を特定し、取り調べなどを行う一連の行為と捉えるとわかりやすい。
また、誤解してはいけないのは、「逮捕=犯人」ではないということだ。警察の綿密な調べによって犯人の可能性が十分に高いため、「逮捕=犯人」という構図が多いが、実際、冤罪被害者も少なくはないので、このあたりの言葉の定義がきちんとしていると、刑事ドラマもより面白くなるはずだ。