学校の「習字」などで使う書道セットがファッショナブルに変わったとして、ちょっとした話題となっています。Twitterに載せられた画像からピックアップしてみると…

メーカーは、子どもに、書道にもっと親しんでもらうためデザインを一新してみたとのこと。書道セットは、子どもが学校の習字の授業用として購入しますが、これなら普通に持ち歩いてもかっこいいだろうし、持ち歩いて頻繁に使いたくもなれば書と親しむ機会も増えそうです。

また、普通のバッグに見える違和感の無さから、大人が書道を始めるきっかけともなっているとのこと。確かに昔の書道セットは、ちょっと大人が持つには恥ずかしい(笑)

そういえば、「習字」と「書道」の違いを説明できますか?

【習字】

文字通り、文字を習うこと。お手本の通りに書いて、文字を美しく書くために練習すること。他の言い方では「書き方」「書写」とも言う。毛筆だけでなく、ペン字や鉛筆などの硬筆もあてはまる。

【書道】

毛筆を使って文字を書く。お手本を見て美しく書くだけでなく、自分の個性を出して表現する芸術でもある。精神修養的な要素を指して道がつき「書道」と言う。

なんとなくですが、綺麗に書く「習字」の基本をマスターしたその先に、芸術的な書道があるのではないかと思います。というのも、「書き順が違うと創作文字でも違和感が出てくる」と、ある書家が言っていたから。見た目や形が芸術なのではなく、書き順や、とめ、はらい、といった習字の基本を理解してこそ「書道」になるのだといいます。何事も基本は大事。

習字・書道のメリット

オシャレな書道セットの話題が先か後かはちょっとわかりませんが、近年、子どもの習い事として「習字教室」「書道教室」が人気になっているそうです。そこで、どんなメリットがあるのか調べてみました。習字と書道に違いはあるけれど、文字を書くことで学び得ることは似ているとして、ざっくりとまとめました。

◯集中力が身につく

ただ手本になぞらえて書くだけではなく、先生から字を習うわけです。美しい字はどこから書くか、書き順、とめ、はね、はらい、などといったテクニックは、一筆一筆を疎かにせず集中しなければ身につきません。そのため、必然的に集中力が身につくと言われています。

また、毛筆の際は、最初に硯を擦って墨を作りますが、じっくりと硯を擦ることで心穏やかに精神を研ぎ澄ませる作用があるそうです。

◯姿勢が良くなる

習字と言えば正座のイメージがあるかもしれませんが、この頃は椅子に座って書く教室も多いそうです。いずれにしろ姿勢は重要で、背筋を伸ばして頭から机を離すのが基本。こうして少し遠目で文字全体のバランスを見るそうです。習字のおかげで猫背が直り、肩こりが緩和されるなんていう声も聞かれます。

◯イメージが良くなる

子どもは勉強の際に文字を書きますが、文字が綺麗だとノートが見やすくまとめられるようになって、勉強にも好影響をもたらせるともされます。

PCなど、デジタル機器で文字を打つ時代になりアナログな書く作業が減ったと聞きますが、大人になっても人は結構文字を書いています。会議のホワイトボード、連絡用のメッセージ、などなど、字が綺麗だと仕事や異性に驚かれることも多く、頭が良さそう、品が良い、という好印象が強く残るそうです。また、毛筆を用いることが多い冠婚葬祭の芳名帳で達筆だとひと際目立ちます。

『書道』は芸術

書道は、”書”を通して精神を鍛錬して道を開くことを意味します。ただ手本通りに書くのではなく、個性を出しながら自分を表現する一種の芸術です。有名な書道家、武田双雲さんの書を見れば、習字と書道の違いがよく分かるはず。

とてもダイナミックで、字というより絵のようにも見えてきませんか? 欧米では、毛筆を使う、この「書道」を芸術として学ぼうという人が増えているそうです。漢字やひらがな・カタカナを学ぶ人もいるようですが、それより母国語の文字を芸術的に書いて表現する人が多いと聞きました。

どんな習い事にしろ、子どもにとっては、学校とは違って、個人的に、ある意味自立して人から教わることになります。上下関係、言葉遣い、所作、心構えなど、いろんなことを新しく学ぶわけです。これを経験するだけでも子どもの成長に大きく影響するそうです。

趣味の文具箱 2016-12-01 発売号
Fujisan.co.jpより
情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 これが書道セット!?子どもにちょっとブームな「書」のススメ