昨年9月に発売され、口コミで広がった「手帳」があります。“夢が叶う”らしいと、主にミニマリスト系の人の間で評判になり、発売初年度にもかかわらず完売したという、その名も『逆算手帳』。頭やココロのなかを整理し“なりたい自分になる”ための手帳だそうです。

 

出典http://www.gyakusan.net/

 

なぜ、夢が叶うのか…『逆算手帳』の開発者、コボリ ジュンコさんが実践する「逆算思考」とは、どのような考え方なのでしょうか? 9月5日に『逆算手帳』の2018年度版が発売されると聞き、取材に伺いました。

 

※開発者、コボリ ジュンコさん

 

逆算思考で夢を叶える

「逆算思考」は、(こうだったらいいな!)と思う未来を具体的に想い描くことから始まります。それは目標というより、毎日をごきげんに過ごすためのビジョン。そのビジョンを明確にして、夢と繋げてゆくツールが『逆算手帳』です。

 

実は、意外にも、みなさんは日頃から「逆算思考」をしています。予定通り行動するために何時までに某所へ行かなければならない。そのためには何時発の電車に乗り、何時に起きなければならない……という具合に、その日、果たすべき目的にむかって“逆算”しながら計画を立てているはずです。

 

『逆算手帳』は、人生の夢や希望を“逆算”しながら叶えてゆく手帳なのです。

 

手書きにこだわる理由

13年前、SE(システム エンジニア)だった私は、キーボードを叩く毎日で、手書きはとても苦手でした。字が汚いのがコンプレックスでしたし、アナログ的な手書きなど非効率だとも思っていました。

 

ところが、その後、独立してホームページ制作会社を立ち上げると、あまりの忙しさに自分を見失ったような生活になりました。そこで、「自分はいったい何がしたいのか?」と、手書きで記録をはじめると、混乱していた現状を整理でき、冷静にものごとを客観視できるようになりました。

 

(これはすごい!)と、それを機に逆算思考と手帳について研究をはじめて現在にいたるのですが、なによりも“手書き”にこだわる理由は、プリントアウトやキーボードで打ち込むよりも書くことで“念”がこもり、頭と手が記憶するからです。

 

人は「〇〇したい!」と思っても、日々、目の前の雑事に気を取られて忘れてしまいます。それをひとつひとつ記録することで、やりたかった事や夢をある程度、具体化させることができます。ただし、ここで大切なのは単語ではなく“文章”にすること。なぜならば、やりたいことが明確になっていないと文書にはできないからです。

 

イメージと具体的な手段の併用

『逆算手帳』の記入プロセスを簡単に説明すると【ビジョン】【プラン】【アクション】の3ステップがあり、まず【ビジョン】で、進むべき方向を定めます。

 

ステップ①

【ビジョン】では、わくわくする未来がキーワードです。文章にビジュアルをプラスしてより具体化させ、写真の〇〇さんのように格好よくなりたい!痩せたい!仕事で成功したい!などの希望や夢を、日々、眺めて“わくわく”しましょう。

 

※Life Vision (ライフビジョン)ツール。仕事、お金、健康……など、8つの項目に分れる。これらをしっかりと書くことで、本当の“自分さがし”につながる。

 

ステップ②

【プラン】では「一年以内(直近)」・「10年以内」・「生きているうちに」の3つの時間軸にわけ、「10年後にはどうありたい?」そのためには「一年後には何をする?」と、順番に逆算しながらブレイクダウンして目安と計画をたててゆきます。

 

※「一年以内(直近)」・「10年以内」・「生きているうちに」の3つの時間軸に分けられた【ライフ逆算シート】

 

目標を達成するために今月はどうするか、この一週間は何をするか? と【逆算ウィーク―リー】を利用して、年・月・週と目標を落とし込んで逆算してゆきます。

 

ステップ③

【アクション】では、年間目標と目標を達成した時の“わくわく”感をワンセットで書いて目標をクリアする喜びを記録します。また【デイリービジョン】では、「理想の一日」と「現実の一日」を並べて記します。比較することで、今、自分には何が足りなくて、何に満足しているのかなどの状況を分析しやすくなりますね。

 

※【デイリービジョン】のページ。左が理想、右が現実。「減らしたいこと」「止めてしまいたいこと」などの反省も書き留めておける。

 

未来は未定。何度も書きなせばいい

さて、一年の初めに【ビジョン】を書くとして、半年くらいたつと、しっくりこない部分がでてくる。理想だと思っていたことがスッテプを踏むごとに、どうやらイメージと違うと気がつき修正をしたくなることもあります。

 

『逆算手帳』は、消せるボールペンや手帳をコピーするなど、下書きをしてから納得したものを書き入れることで、より明確な未来を描くことができます。

 

「もし、途中で計画が実行できなかったら?」などと心配する必要はありません。人生において1~2年のズレは誤差の範囲ではなく、ましてや1ヶ月、2ヶ月単位の修正など当然。もし、計画どおりにいくのならば、それは“出来ること”しか書いていない証拠です。人脈や経験値も増えてチャレンジを重れば、おのずと見える景色も違ってきますよね。ですから、軌道修正を迫られたり、新しいミッションやも目標が生まれた時は、気にせず書きなおしましょう。

 

自分と対話するのは、けっこう難しい!

みなさんには、今、何個くらいの願い事や夢、そして希望がありますか? 『逆算手帳』には、【ウィッシュリスト】という自分のやりたい事を100個書き出すツールが入っています。

 

とにかくなんでも良いんです。新しいiPhoneケースを買う、気になるドラマを見る、食べたいモノを食べる、〇歳までに結婚する……など、小さな欲望から大きな目標まで100個書き出してみましょう。実際に書きだしてみると、夢を叶えるために書いているはずなのに、どんな夢や希望をもっているかすら分らない自分に気がつくと思います。

 

13年前、私は1個も書けず愕然としました。そこから、いったい自分は何に関心があるんだろう?と考えはじめて、日々、意識して“やりたいこと”を書きだすようになりました。

 

※【ウィッシュリスト】。やりたい事を達成できたらシールをペタリ!

 

大半の方は80個くらいで筆が止まります。そこから必死。やりたい事を100個書き出すために、自分の表層から深層まで“本音”を書かざるおえなくなるでしょう。

 

すると、そこではじめて、まるで他人ごとのように自分の人生を生きていたと気がつかされます。やりたい事を書きだす作業は、自分との対話です。逆に、やりたくないことを正直に記してみるのも良いです。それは、裏をかえせば叶えたいことに繋がりますから。

 

【ウィッシュリスト】は夢の種。種をまくためにも、自分がどんなことに喜びをかんじるのかセンサーをオンにすることが大切。漠然と「変わりたい…」と思っていた人も、どう変わりたいのか気がつく一歩につながります。

 

大きな目標をかかげて

さて、一般的に男性は自分の夢や希望を書いたりビジュアル化するのは苦手とされていますが、そんな男性にも『逆算手帳』を活用してほしいと話すのが大村さん。メーカーに勤務する傍ら、男性初の「逆算手帳・認定講師」としてセミナーなどを通じて『逆算手帳』の魅力を伝えています。

 

大村さんは、『逆算手帳』は自分へのプレゼンツール。過去〇〇だったけれど、今、〇〇になりました。という自己紹介だと言います。

 

幼い頃に父は亡くなり、もうすぐ40歳で父の年齢を超えてしまうくらいの頃、偶然、生前の手紙を見つけたんです。「酒もたばこも思う存分したけれど…まさか自分が病気になるとは思わなかった」という内容で、これは父の後悔であり僕へのメッセージだと思いました。

 

僕ね、ダメリーマンだったんです。連日残業して、お酒を飲んでは〆にラーメン、さらにファーストフードのポテトを買って帰るような生活をしていました。

 

明確な父親像を知らぬまま3人の子供の親になった僕は、子供のためにも「格好の良いパパになりたい」と決心し、その大きな目標のために「逆算思考」を始めて1年で15キロ痩せました。さらに未経験から東京マラソンを完走したり、飛行機恐怖症を克服して海外旅行に行ったりと、それまで挑戦しなかった多くの夢に挑戦し、それを叶えてきました。

 

※右、大村さん。スマートでカッコいいパパを目指して奮闘中!

働き方改革はプライベート改革

『逆算手帳』は【プライベート】【パブリック】の欄に分れているのですが、男性はプライベートの欄を上手に記入できない傾向にあります。書き込もうとして、はじめて日々の生活においてプライベートがなかったと気がつくようです。

 

ビジネスマンのほとんどは会社員です。しかし、会社員はいつかは卒業しなければいけない。老後はどうする? と。

 

昨今「働き方改革」が叫ばれていますが、実は、働く部分だけを見ていてもダメで、プライベートをいかに充実させるかが大切だと思います。建前で生きる男性は、夢やわくわく……なんて口にしない方も多いですが、男性にこそ、自分を見つめなおすためのアイテムとして『逆算手帳』をおススメしたいです。起業やベンチャーで一旗あげたいという大きな目標を持つ方や、人生の転機をむかえた男性ならなおさら。傍らに置いて夢を実現してもらえたら嬉しいですね。

 

※大村さんの『逆算手帳』。たくさんのイメージ写真とともに、夢や希望がつづられている。(初めて書き入れた時は、単語の羅列のみで、スカスカの内容だったそう)

 

夢が叶ったら手帳にシールが増えるんだよ!

『逆算手帳』では、「使いこなせるだろうか?」と思う方のためにセミナーを開催しています。そこで、コボリさんは「なにも難しく考える必要はないんです」とアドバイスしています。

 

自分を変えたいけれど、特に目標のない……と悩む方に対しては、「人生全体を考えましょう!」と言うと少し大袈裟なので、まずは、あなたの理想の一日を想い描くことを始めると良いと話しています。朝起きて寝るまでに、どんな一日を過ごしたら幸せかしら?それだけを文章にすれば、人生観がぜんぜん変わります。

 

夢を叶えましょう……よりも、一日をご機嫌に過ごせたらいいな!と自分の未来に希望をもつことが、自分を変える、そして夢を叶える一歩です。例えばですが、物欲・感情・仕事のカテゴリーに色分けして、希望が叶ったことにはシールを張ると良いです。そうすることで実現度合いも分りますし「物欲ばかり達成させてるな?」など自分の性格やライフスタイルを見直すきっかけにもなり、私も実践しています。

 

※かわいいシールや付箋などを利用して、使うのが楽しくなる手帳に!

 

夢や希望は、立派で大きなことばり書いても辛いです。なによりも、書いたことが実現してシールが増えてゆくと楽しい!『逆算手帳』を開いてキラキラのシールや憧れの人の切り抜きなどを見ると、それだけでわくわくします。

 

その楽しさを誰かと分かち合いたくなったら、あなたの人生に前向きな風が吹いてきた証拠だと思います。

 

※2018年版は、2017年9月5日登場。A5サイズ。通販サイト、逆算手帳セミナーにて販売される。

 

本来、手帳は人に見せないものですが、この『逆算手帳』は極力、見せたほうがよいでしょう。自分の夢や希望を誰かに見せて感想や支援を求めることが、夢や希望の実現につながりますよ。

 

 

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 なぜ人は書くことで変われるのか?自分の夢や希望を明確化するツール『逆算手帳』