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「やに なった」(作:ブルーノ・ムナーリ 訳:谷川俊太郎)。
デザイン界で名前を知らない人はいないイタリアが生んだデザインの巨匠!!ブルーノ・ムナーリ様の作品でございます。
グラフィックやプロダクトデザインだけでなく、絵本作家、彫刻家、作家、詩人、美術評論家、美術教育家、…、幅広く活躍されております。ちなみに絵本は、5歳の息子様へ絵本をプレゼントしようと思ったところ、よい絵本がみつからず、「なら、自分でつくっちゃお!」と、絵本作家デビューされました。ちなみに、翻訳を担当されたのは谷川俊太郎様でございます。
内容はというと…テーマはずばり!「隣の芝生は青く見える」でございます。
本を開くと、ゾウが一頭大きく描かれております。テキスト(文章)には、「そのゾウは、自分の体が大きくて重いのが嫌になっています」そして、「じゃあ、なんになりたいのかな…」と。さらに、そのページに描かれているゾウの頭の部分が扉のようにめくれるような仕掛けになっていて、めくると鳥の絵と「飛んで歌える鳥」というテキスト(文章)が書かれております。つまり、ゾウは頭の中で、鳥になりたいと思っていると…。
そして、ページをめくると、今度は一匹の鳥が大きく描かれております。しかし、鳥は鳥で飛ぶのも歌うのも嫌になっています。そして、同様に「じゃあ、なんになりたいのかな…」というテキストがあって、頭の部分をめくると、また他の動物の絵が描かれています。この堂々巡りが続いて、最後に楽しいオチが待っているという仕掛け絵本でございます。
そして、これと似ているのが、「第9回 MOE絵本屋さん大賞2016」で、4位に選ばれたこちら!
大人気作家、鈴木のりたけ様の「とんでもない」でございます。鈴木さまと言えば、「すーべりだい」「たべもんどう」「ケチャツプマン」など、大人のファンが多い絵本作家様でございます。
こちらの作品、絵本ファンの中には、もう読んだという方も多いとは思いますが、内容を簡単にご紹介すると、主人公の男の子が、「サイは鎧のようなりっぱな皮があっていいなぁ」とつぶやきます。すると、サイが登場、サイはサイで「とんでもない。重いんだよ…」と。
サイはサイでいろいろ悩みを語り、最後に、「ぴょんぴょん飛び跳ねるウサギになりたいんだよ」と。そして、ページをめくると、ウサギが登場、ウサギはウサギで悩みがあり、ウサギではなくて〇〇だったらいいのになぁと…。こうやって、こちらも堂々巡りが続いて最後に楽しいオチが…というお話です。
どちらも、テーマは「隣の芝生は青い」で、動物をモチーフに展開しております。
小生は、これを「パクリなのではないか…」などくだらない視点で楽しむのではなく、単純に同じテーマ、同じ材料で、時代を越えて二人の作家が勝負している。という視点で楽しんで頂きたいのでございます。
20世紀のイタリアの人気作家と、21世紀の日本の人気作家、この二人が同じお題で、どんな絵本を描いたのか…、見比べて楽しんで頂きたいのでございます。
「とんでもない」は、大人が楽しめる典型的な「大人絵本」であり、「やに なった」は、イタリアが世界に誇るアーティストのムナーリの作品でございます。絵本に縁のない方も、これを機会に是非、絵本の比べ読み、大人絵本の魅力を体験して頂きたいのでございます。
(文:N田N昌)