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年末年始に、美味しいご馳走を食べ過ぎて、栄養が偏っていませんか? いまこそ、栄養バランスを取り返して、インフルエンザや新型コロナウイルスに対抗しましょう。今回は、医師と管理栄養士のもと健康や栄養の役立つ知識をご紹介します。
また2022年12月15日に開催された日本スープ協会のスープセミナーで紹介された栄養を損失しないスープレシピも合わせてご紹介します。
まずは食事の栄養を選ぶ際に、免疫対策になるための選び方をご紹介します。
医師であり、栄養に詳しい谷口英喜先生は、風邪などのウイルスは実は毎日身体に入ってきており、それでも症状が出ないのは、免疫機能が順調に働いているからだといいます。
食事にはどんな栄養が求められるのでしょうか。ウイルスや細菌が入ってきたときに戦う免疫細胞がきちんと作られ、そのメカニズムがきちんと働き、破壊されにくくするために積極的に取り入れるべき栄養素や成分を教えていただきました。
●免疫細胞自体をつくる肉、魚、卵、大豆などに含まれる「タンパク質」
●免疫細胞を“つくる、はたらく、まもる”上で注目したい補酵素と呼ばれる「ビタミン群(ビタミンC、B、A、E)」
●細胞の破壊からまもるフィトケミカル「ポリフェノール」
●免疫機能を正常にはたらかせる栄養素
ユーグレナの食物繊維「パラミロン」、ヨーグルトなどの乳酸菌
この中で耳慣れないのがユーグレナの食物繊維「パラミロン」ではないでしょうか。ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持つ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んだ食品だそう。パラミロンは、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種で、免疫細胞を活性化するということがわかっているそうです。
ユーグレナは、いまではドリンクやサプリメントなどで手軽に美味しく摂取できるようになっているので、ぜひ取り入れてみましょう。
続いては『その調理、9 割の栄養捨ててます!』の著者、東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部課長で管理栄養士の濱裕宣先生の講演と書籍から、栄養トリビアをご紹介します。ぜひ意識して栄養を逃さず摂取しましょう。
1.納豆はあつあつご飯にのせちゃダメ!?
普段、何気なく食べている納豆。あつあつご飯にのせて食べると、大事な栄養が摂取できなくなるというのです。濱先生の「その調理、9 割の栄養捨ててます!」によれば、納豆は70度で酵素のナットウキナーゼが死滅するのだそう。人が美味しいと感じるご飯の40~48度のほんのりあたたかい適温にしてから、納豆を一緒に摂りましょう。
また、食べる前に、納豆を20分常温放置すると、酵素が活性化するのだとか。そのため、納豆は食べる直前でなく、20分ほど前に冷蔵庫から取り出すべし。
食べるタイミングとしておすすめは夜。が睡眠中に作用するのだそう。
2.ブロッコリーは茎こそ栄養いっぱい!
ブロッコリーは、茎こそ栄養の宝庫。ビタミンCやβ-カロテン、食物繊維なども摂取できるので、捨てるのはもったいないのです。茎はかたくて食べないという場合も、中の白い部分はやわらかいので、固い周囲をむいてから薄切りにしましょう。ビタミン類の流出を防ぐために、蒸し料理かレンジでチンするのがおすすめだそうですよ。
3.きのこは冷凍すると栄養アップ!
えのきだけ、ぶなしめじ、まいたけがなどのきのこは、意外と栄養豊富。グアニル酸やアミノ酸、アスパラギン酸などは、生活習慣病予防や疲労回復に効果があるといいます。
このきのこ、実は冷凍保存してから食べたほうが栄養をお得に摂ることができるのをご存知ですか? 旨味が出るのは、きのこの細胞が壊れたとき。冷凍すると水分が膨らんで細胞壁を壊し、RNA分解酵素という酵素が働いて、旨み成分を作り出すのだそう。
冷凍すると、グアニル酸やアスパラギン酸などの成分が3倍から4.5倍にアップするのだそう! 凍ったままスープなどに入れましょう。
ここで、スープ作家 有賀薫さんによる冷凍きのこを使ったスープレシピをご紹介! コンビニなどでも変えるカップスープにちょい足しで、美味しさも栄養もプラスできるものですよ。
「冷凍きのことほうれんそうのポタージュ」
【材料(1人分)】
・味の素「クノール® カップスープ3種のなめらかチーズとけこむほうれん草のポタージュ」:1袋
・冷凍ミックスきのこ:40~50g
(ここでは、ぶなしめじ、まいたけ、えのき)
・牛乳:1/4カップ
・塩:少々
【作り方】
※冷凍きのこは、食べやすいサイズにして、冷凍しておく。
(1)冷凍きのこと牛乳1/4カップを耐熱カップに入れ、塩少々を振る。
(2)600Wのレンジに1分半~2分かけ、様子を見ながらあたためる。
(2)「ほうれんそうのポタージュ」1袋を加え、湯100mlを注いでかき混ぜる。
こんなに簡単にきのこの栄養が摂れるのは嬉しいですね。ぜひトライしてみましょう。
年末年始の暴飲暴食や偏った食事に後悔している人、取り返したい人は、ぜひ免疫細胞をつくる栄養素を意識しつつ、栄養流出に気を付けて美味しく食べましょう。
【専門家プロフィール】
谷口英喜先生
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長
教えて!「かくれ脱水」委員会 副委員長、日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。栄養管理・麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液が専門。
濱 裕宣先生
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部課長
健康と栄養バランスを大事に、日常生活の中で活かせる食事ノウハウの普及を目指し、患者の立場に立った食生活向上指導にあたっている。
大ヒットのレシピ本『その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)や、『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社) など多数の栄養・健康のレシピ本にかかわる。『世界一受けたい授業』(日本テレビ)、『ヒルナンデス』(日本テレビ)などテレビ出演や講演でも活躍。
有賀 薫さん
スープ作家。家族の朝食をきっかけに10年間作り続けたスープをもとに、雑誌、ウェブ、テレビなどでレシピや暮らしのアイデアを発信。『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)で、2020年料理レシピ本大賞入賞。