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今回「知と体験の融合」をコンセプトに開催された発表会では、新技術を体験できる展示ブースを設置。来場者は研究員らの説明を聞きながら、技術や研究結果を実際に触れて感じることができる場となっており、なかでも“たるみ”に抗う「抗重力テクノロジー」の最新知見や、コラーゲン代謝に関わる「マクロファージ」の研究結果、また、資生堂のサステナブル戦略を支える新容器の技術開発とその取り組みなどが注目を集めていました。
重力で肌が垂れ下がる“たるみ”。資生堂では、このたるみが起こる原因が、毛に付着する平滑筋(へいかつきん)の一種であり、寒冷や情動などの刺激により収縮した毛を逆立たせる力を発揮する筋肉「立毛筋」の加齢変化によるものと推測。
この立毛筋が重力方向と反対向きに配列していることから、この一連の立毛筋群が生み出す変形に抵抗する力の総和が、肌が重力に抵抗する仕組みであると考えられ、この重力による変形に抵抗するシステムを「ダイナミックベルト
この「ダイナミックベルト
M1マクロファージには繊維芽細胞にコラーゲンの生産をうながし、M2マクロファージは変性コラーゲンを消化(掃除)するなど、繊維芽細胞がコラーゲンをつくりやすい環境を整える役割があります。
すでに2020年には、このマクロファージM1/M2バランスが崩れることで、老化をすすめる慢性炎症「インフラマエイジング」が皮膚で引き起こされることが発見されています。さらに今年、M1/M2バランスの崩れがコラーゲンの産生・分解・除去などのコラーゲン代謝へも悪影響を及ぼし、肌のハリや弾力の低下などを引き起こす可能性があることも明らかになりました。
また、表皮において分泌されるタンパク質、インターロイキン34(IL-34)が減少するとM1/M2バランスが崩れることを新たに発見。このIL-34を増やすことでマクロファージのM1/M2バランスを整える効果が期待できる成分として、クリーピングタイム抽出液を見出しました。
IL-34は、資生堂のこれまでの研究成果で健やかな肌の実現に重要な役割を果たすことが知られており、今回、新たにM1/M2バランスを根本的に調節するメカニズムの一端が解明されたことは重要な知見であり、新たなソリューションへの応用が期待できるとしています。
資生堂では「ボトル製造」と「中味液充填」をワンステップで行える技術「LiquiForm®(リキフォーム)」を世界で初めて化粧品ボトルに採用しました。
これにより従来、容器工場から充填工場へ輸送していた空ボトルの輸送が不要になり、輸送時のCO2排出量が削減できるほか、「LiquiForm®」を活用した化粧品のつけかえ容器を開発。採用することで容器単体のプラスチック使用量を約70%削減可能であり、原材料調達~生産~使用~廃棄のサプライチェーン全体で、同社の標準的な従来のつけかえ容器(同容量)に対して約70%のCO2排出量を削減できるとしています。
また単一素材設計のためリサイクル適性にも優れており、外の本体容器を繰り返し使えることから、プラスティク使用量も大幅に減らすことが出来きるそうです。
水圧成型により容器を形づくる「LiquiForm®」は、独特のテクスチャをもつ化粧液などでは成型が難しいという課題があったものの、今回、その問題を見事に克服。液を充填しながら、容器の意匠性やプレミアム感を損なわない、繊細で美しいボトル成型を可能にしています。
2030年に向けて「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指す資生堂。今後、特に注力するスキンビューティー領域で新たな価値を提案し、同時に環境負荷軽減に貢献する取り組みを進めていくとのこと。創業150年を迎え、さらに美しく進化する資生堂の今後に注目です。