コロナ禍の第6波を受け、テレワークに戻ったという人は多いのでは? 冬はまだ続きます。自宅の寒い部屋で仕事をはかどらせるには、暖房が欠かせませんが、部屋を温めすぎて思わずうとうとしてしまった、なんて失敗をしたことがあるのなら、ぜひ知っておきたいことがあります。テレワークの集中力を上げる環境の作り方について、本郷赤門前クリニック院長 医学博士・心療内科医師の吉田たかよし先生の解説のもと、ご紹介します。

■集中力が続かない…環境面から対策を!

1.室温は“やや低く”設定する

エアコンの暖房を使用する場合、エアコンの設定温度は自分自身が“涼しい”と感じる温度に設定することがおすすめだと吉田先生は話します。どうしてなのでしょうか?

「脳は情報を処理するときに熱を発するため、適度に冷やさないと勉強やテレワークで必要とされる高度な情報処理を続けることはできません。つまり、暖かいと感じる温度は、集中力を保つには高すぎるということです。ただし、少し寒いなと感じるようなら元の温度設定に戻しましょう。長時間、寒いと感じると、ストレスホルモンの作用で脳の働きは逆に低下します」

目安として、あくびが出る場合は、集中力はかなり低下している証拠だといいます。

「あくびの目的は脳を冷やすことであるとされていますが、エアコンの設定温度を下げることで同じことができます。集中力が低下してきたなと思ったら、設定温度を少し下げましょう。そうすると、脳を冷やすことができ、集中力の回復に役立ちます」

2.室内の湿度は50%前後を保つ

乾燥が気になる冬の室内。けれど、あまりに湿度が高すぎるのもよくないそうです。

「湿度60%を超えると脳内で意欲が生じにくくなり、勉強のやる気が低下する危険性があります。そのため、室内の乾燥対策をする場合は湿度50%前後を目安にするのがおすすめです」

3.照明の色を昼と夜で使い分ける

続いては照明。集中力をアップさせるには、照明器具を昼と夜で使い分けることが効果的だといいます。

「室内の照明についても時間医学の研究が進んでおり、朝から夕方までは、青白い光が望ましく、夜はオレンジ色に近い光で照らすのが、脳にとって最適であることがわかっています。
太陽のリズムに合わせて、日中は青白い照明にすることでやる気や集中力を高め、夕方以降はオレンジ色に近い照明にすることで睡眠の質が向上し、効率よく記憶を定着させることができます」

4.BGMを流すなら自然界の音を

そしてテレワーク中は、BGMをかけてもいい会社もあるでしょう。どんな音楽がいいのでしょうか? 吉田先生は、音楽よりもいい音があるといいます。

「テレワーク中に聞くと集中力を上げる効果が期待できるのは、波の音、せせらぎの音、風が吹き抜ける音など、自然界の音です。ストレスの緩和や、集中力を上げる効果が期待できるといわれています。
一方で、集中したいときにおすすめできないのは、ボーカルの入った曲です。脳の言語中枢は、基本的には一つの作業しかできません。曲の歌詞を言語中枢で認識すると、その分だけ、脳の情報処理がおろそかになります。また、意外にも大好きな曲も集中力を低下させるおそれがあるので注意が必要です。好きな曲を聞くと感動しますが、その作用によって脳内で論理的な思考力を生み出す前頭前野の働きが抑制を受けるのです」

吉田先生のアドバイス、とてもためになりますよね。ぜひ実践に活かしてみましょう!

■二酸化炭素濃度にも注意したい!濃度計の使用もおすすめ

ところで、もう一つ、テレワークの環境をよくするために二酸化炭素濃度にも配慮してみるのもいいのでは。厚生労働省は、ビル管理法の空気環境基準の一つとして、1平方mあたりの二酸化炭素濃度は1000ppm以下が基準値であると公表しています。これは、オフィス環境で実際に企業が実践している数値です。

でも、二酸化炭素濃度と言われても、わかりませんよね。そこで二酸化炭素濃度が可視化できる濃度計を利用する方法があります。

例えば、2022年1月25に発売されたMATECHのUSBスティック型 二酸化炭素濃度計「AirChecker」は、通常のUSBメモリースティックを使用するのと同様の感覚で、二酸化炭素濃度を測定することができる製品。USB口さえあれば、いつでもどこでも簡単にCO2濃度を測定することができるので、ノートパソコンに差して使うこともできます。

リアルタイム測定ができ、数値をディスプレイ表示してくれます。青、緑、黄、赤と4種類に色分けされており、それぞれCO2濃度の状態を点灯表示します。青から赤に向かって正常~異常時と判別できるようになっています。黄色以上の場合は換気の目安として使用することが推奨されているそうです。

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テレワーク中、集中力を高め、仕事をはかどらせるには、環境作りがとても大切であることがわかりました。エアコンの温度設定から照明、BGM、二酸化炭素濃度まで調整して、良い環境作りを行いましょう。

 

【取材協力】

吉田たかよし先生
本郷赤門前クリニック院長 医学博士・心療内科医師
2005 年に、受験期にうつ症状が急増することを、データを提示しながら指摘し、「受験うつ」として警鐘を鳴らすべきだと、広く提唱。同年、日本で初めて、受験生の脳機能やメンタルを専門に扱う「本郷赤門前クリニック」を開設。浜教育研究所主席研究員として脳医学を応用した教育法の開発にも従事。

【参考】
三菱電機「教えて!霧ヶ峰」(https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/special/oshiete/)

「AirChecker」(https://amzn.to/35ozXOB)

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 【テレワーク】エアコンの温度設定の正解は?うとうとしない・集中力を高める環境を医学博士が伝授