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本のある風景としての代表格は図書館ですが、最近の図書館は天井近くまである迫力ある本棚を設けているところが増えています。訪れたものは圧倒されますし、デザインとしてもかっこいいのですが、一番上のほうにある本は、一体どうすれば手に取ることができるのだろうと気になってしまいます。
以前行った角川武蔵野ミュージアムにも、吹き抜けのような場所にかなりの高さでズラリと並んだ本棚が設置され、本棚劇場と銘打っていました。そこは本棚の中腹にまで行ける階段もあり、本好きにはたまらない冒険的な場所でした。
このように本の存在感をアピールするような陳列がされるようになったのは、ここ数年のことではないでしょうか。そしてその影に何があるかというと、電子書籍の普及です。多くの人が、紙ではなく電子書籍で本を購入するようになったのです。特にマンガは紙版よりも電子版のほうが売り上げを上回っています。
書棚の多くのスペースを占めていたマンガ本をタブレットやスマホで読めるようになったため、部屋に本がない生活を送る人が増えてきたのです。そういう人は、本が大量にある光景を見たら、懐かしく感じて、気持ちが落ち着くのかもしれません。
『エルジャポン』2022年2月号には『行けば心が震える!本と出会える場所へ』という本のあるスポット21ヶ所をガイドする記事があります。そこには、ゆすはら雲の上の図書館や、那須塩原市図書館などの、巨大な木造本棚と本とが一体になったダイナミックな写真が掲載されています。
すごいと感じるのは、ファッション雑誌ということもあるのかもしれませんが、本が何万冊もある様子が、とてもおしゃれに映っているのです。カフェにLPレコードが飾られているとレトロでおしゃれに感じるように、私たちは紙の本に対しても、どこかレトロでおしゃれな感じを受けるようになり始めているのかもしれません。
あちこちにおしゃれな図書館が建ち、美術館や宿泊施設などにブックカフェも併設されるようになり、本がある風景をおしゃれと感じる人が増えています。これは電子書籍の普及で自宅にあまり本がないという人が増え、本がたくさんある光景が新鮮になりつつあるからかもしれません。