学校法人神奈川大学は、国内外の地域コミュニティが抱える多様化・複雑化した環境、経済及び社会的課題に対して、総合大学としての研究・教育を生かしつつ、神大パートナーシップ(産業界等)、包括連携協定先、自治体、外郭団体、地域住民等との連携を強化し、オープンイノベーションでSDGsの実現に取り組みを目指すプラットフォーム事業をスタート。

そして2021年12月15日、プラットフォーム事業の第一弾となる「観光」をテーマとした「観光プラットフォーム」プレス発表会を神奈川大学みなとみらいキャンパスにて開催した。

新型コロナウイルス感染症拡大により打撃を受けた業界が抱える各種課題に対し、産官学民が一体となって解決を図る取り組みや、神奈川大学の教員や学生、公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー、Avintonジャパン株式会社のほか、様々な関係機関と連携し、With/Afterコロナにおける横浜の観光振興戦略プロジェクトが紹介されている。

神奈川大学が産官学民連携の観光プラットフォーム事業を展開

神奈川大学副学長 横澤勉氏より、横浜市が策定した「中期4か年計画」の3つの視点「SDGs」「地域コミュニティ起点の課題解決」「ビックデータ・オープンイノベーション」を重視し、文部科学省の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」答申に提唱されている、「地域連携プラットフォーム事業」を参考に、プラットフォーム事業を開始。

プラットフォーム事業については、「社会連携センターを窓口に、神大パートナーシップ参画企業、自治体、外郭団体等と連携を強化し、産官学民連携プロジェクト等を通じ、地域コミュニティが抱える環境、経済及び社会的課題に取り組んでいく新たな教育・研究活動」と強調した。

第1弾に観光を掲げた理由に関しては、「観光ど真ん中の、国際日本学部 国際文化交流学科 観光文化コースを中心に、2022年4月開設予定の建築学部、工学部、経営学部など、多様な教員及び学生の参加が見込めること、協創の場である“観光ラウンジ”があることの2点」と説明した。

また今後の展望として、「第2弾のプラットフォーム構想、プラットフォーム事業の地方展開」を目標としていることも明かした。現在の参画企業は27で、2022年度ではおよそ倍となる50社との連携を目指すとしている。

観光プラットフォーム事業で取り組む2つのプロジェクト

観光プラットフォーム事業で取り組んでいる具体的なプロジェクトについては、それぞれの担当教員と学生から説明を行った。

イノベーション創発プロジェクト

1つ目のプロジェクトである「観光関連データを活用した横浜の現状分析・未来予測、ソリューション開発プロジェクト」は、公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー、Avintonジャパン株式会社、工学部経営工学科の髙野倉ゼミが参画している。

人間を中心とした視点で、データテクノロジーを活用した産官学民連携プロジェクトでイノベーションを創発することで、横浜市の喫緊の課題である「新型コロナウイルス感染症拡大で落ち込んだ観光需要のV字回復」に向けアプローチを行っている。

髙野倉 雅人教授は、「顧客ニーズを含むビックデータ×AIのデータテクノロジーを活用し、横浜における観光の現況を分析し、観光需要の未来予測を行い、横浜を訪れる観光客、お客様をおもてなす企業、それを支援する行政など、ステイクホルダーのWin-Win-Winを実現するソリューションの開発を目指す」とコメント。

所属しているゼミ生で、工学部経営工学科3年の浅川 駿介さんは現在行っている取り組みについて、

「プログラミング言語Pythonの習得を図りながら、横浜の観光データを収集・分析・可視化するデータプラットフォームの構築に取り組んでいます。第2の地元ともいえる横浜の力になりたい」と意気込みを語った。

課題解決プロジェクト

2つ目のプロジェクトは、公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューローの課題にアプローチする「プロモーション・プロジェクト」。

経営学部国際経営学科の中見ゼミと公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューローが連携し、"観光客から選ばれる街にする"、"滞在者に満足してもらえる街にする"ための「観光情報の発信の在り方」を共に考察し、新型コロナウイルス感染症との共存やICTの革新など取り巻く環境の変化に呼応した、新しい事業の実装を目指す。

中見 真也准教授は今回の活動について、「中見ゼミの強みである、AIには決して真似できない、人間だからこそできる「顧客起点」のマーケティング戦略の立案、実行を実践している、多様な価値観をもつZ世代のゼミ生が、横浜観光コンベンション・ビューローと連携し、観光客向けメディア戦略の再構築に挑戦しています」とコメント。

中見ゼミのゼミ長である経営学部 国際経営学科 2年生の林 歩里さんは「Z世代の視点、横浜市外で生まれ育った視点から自分たちにしかできない独自のアプローチを行っていきたい。また、本プロジェクトで培った経験を活かし、自分たちの故郷が抱える地域課題を将来的には、観光、経営及びマーケティングの視点から解決したいという強い想いがある。」と意気込みを語った。

神奈川大学はこの観光プラットフォーム事業を通じ、産官学民が連携することでこれまでの課題の解決、並びにイノベーションの創発による観光需要の創生を図る。

また、このプロジェクトが成功した暁には、このシステムや手法などを地方へ輸出することで、地方創生にも活用しようという狙いがある。

このプロジェクトが成功すれば、横浜だけではなく観光客の減少により悲鳴をあげている地域の光明となり得る見本となるだけに、これらの地域からの注目度は高そうだ。

進捗などについては公式ホームページや公式facebookで情報発信を行っているので、興味がある方はそちらから確認して頂きたい。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 神奈川大学「SDGs」実現に向けた産官学民連携の「観光プラットフォーム」事業を発表