『映画けいおん!』(11)の山田尚子監督による<音楽×青春>の集大成となる完全オリジナル長編アニメーション最新作、『きみの色』が公開中です。

人が“色”で見える高校生のトツ子、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女きみ、音楽好きの少年ルイの3人がバンドを組み、次第に心通わせて行く姿を美しい映像とともに描いた物語。山田尚子監督、そして1,600人に及ぶオーディションから選ばれた鈴川紗由さんに話を聞きました。

■公式サイト:https://kiminoiro.jp/ [リンク]

●鈴川さんは主人公のトツ子役が決まった時、いかがでしたか?

鈴川:合格は事務所の方にサプライズで教えていただいたのですが、その瞬間本当に頭が真っ白になってうれし涙を流しました。山田監督の作られる世界にトツ子として携われるということは、実際にアフレコをするまで実感が持てなかったのですが、本当に光栄に思いました。

山田:最初にお声を聞いた時に一“耳”惚れをしたというか、コロコロと鈴が鳴くような幸せな音をされているなと思いました。トツ子の世界を作っていくにあたり、世界を一段高く見ているような世界が作れるお声の方がいいなと思っていたのでピッタリでした。トツ子でこの作品が決まると思っていたので、幸せな出会いだなと思っております。

●完成した映画はいかがでしたか?

鈴川:一気に作品世界に入り込めましたし、感情があふれ出た時の色のシーンが本当にきれいで胸が熱くなりました。ライブシーンでは実際にコーラスで参加しているのですが、3人が過ごした日々の集大成と言いますか、3人の想いがギュッとつまったシーンなので、そこで涙が止まらなくなりました。こんなに素晴らしい作品にトツ子として携われて幸せだなと思いました。

山田:この映画を観てくださった方々、それぞれの感想がすべてなのですが、どうせなら歩く方向は前がいいという気持ちで作っていました。個人的な願望なのかも知れませんが、そういうイメージで作っています。

●鈴川さんは、トツ子を演じてみていかがでしたか?

鈴木:好きなものに真っ直ぐ向き合う子だと思いました。わたし自身は人の目を気にしすぎて辛くなってしまうことがあったので、トツ子がみんなを引っ張っていく姿を見て、わたしも同じように引っ張ってもらい、前向きな気持ちにさせてもらったなと思っています。

●キャラクターを作る際、自分の願望など何か個人的な想いを投影することはあるのでしょうか?

山田:そうですね。やっぱり自分にないもの、足りないものを作品に昇華していく傾向があるということが、自分でも分かって来まして。なので、あこがれを書いているとは思いますね。

●映画『きみの色』、みなさんにはどのように観てほしいですか?

鈴川:どの世代の方も楽しんでいただけることはもちろんですが、トツ子と同年代の方たちは、抱えている悩みや葛藤に共感できるはずです。同世代じゃない方は、3人の日常をのぞき込んでどこか懐かしいような感覚になるかなと思います。普段の生活とは切り離して観ることで、心が浄化されることもあると思いますし、実際に映画館で観て感じるものがたくさんある作品かなと思います。

山田:この作品は曖昧模糊とした色を持っている作品だなと思っていますので、名前がつく前の感情描いていたり、イメージしていたりします。まさに今から出来上がっていくものを一緒に体験していただけたらと思いますし、音を映画観で体験していただくために大切に調整していますので、ぜひ映画館で観てほしい作品です。

■イントロダクション

社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(11年)、国内外問わず高い評価を受けた名作『映画 聲の形』(16年)、両作品の監督を務めた山田尚子は、稀有な映像センスと、小さな心の揺れ動きさえ表現していく繊細な演出で、全世界から最も脚光を浴びるアニメーション監督の一人となった。
待望の最新作となる映画『きみの色』は、山田監督が最も得意とする「音楽×青春」の物語。

脚本は「けいおん!」シリーズ以降、幾度となく山田監督とタッグを組む吉田玲子。音楽・音楽監督は『映画 聲の形』など山田監督作品のほか、「チェンソーマン」(テレビ東京系/22年)を担当する牛尾憲輔。そして、キャラクターデザイン・作画監督を小島崇史、キャラクターデザイン原案をダイスケリチャードがそれぞれ務める。

声の出演として、1600人に及ぶオーディションから選ばれた鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖が、それぞれトツ子、きみ、ルイ役に決定。大抜擢された新たな才能の登場に、大きな注目が集まる。さらに、声優の悠木碧、寿美菜子、お笑い芸人のやす子、戸田恵子、そして新垣結衣など豪華キャストが本作に参加している。

主題歌は日本を代表するロックバンド・Mr.Childrenが、本作のために書き下ろした「in the pocket」。

多様な色のような繊細で切実な感情と、鮮やかな映像表現、そしてエモーショナルなバンドサウンド。全世界が注目するアニメーション監督・山田尚子による「音楽×青春」の集大成となる完全オリジナル長編最新作、映画『きみの色』。まさにいま、アニメーション映画の新たな時代が動き出そうとしている。

公開中

(執筆者: ときたたかし)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 アニメーション映画『きみの色』鈴川紗由&山田尚子監督インタビュー 「歩く方向は前がいいという気持ちで作っていました」