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2014年に名古屋で先行発売されてから、今年で10周年の節目を迎えた加熱式たばこ「IQOS」。
現在、日本におけるIQOSユーザー数は850万人以上で、世界のIQOSユーザー数の約3割を占めるという(2023年12月末時点)。
先日はTEREAの日本特別限定品「IQOS 10周年限定パッケージ」を発表するなど、フィリップ モリスにとって日本市場が重要視されていることがうかがえる。
IQOSは日本でどのように受け入れられ、日本市場のフィードバックは製品開発にどう影響しているのか? IQOSにおける製品開発のキーパーソン、フィリップ モリス インターナショナル VP プロダクトカテゴリーマネジメント SFIPのマティアス・ビューラー氏に話を聞いた。
1997年にフィリップ モリス インターナショナルへ入社して以降、製品開発、オペレーション、品質管理、ポートフォリオ戦略など、多岐にわたる分野で経験を積み、たばこに関する豊富な知識を持つビューラー氏。現在は、SFIP(煙の出ない吸入型製品)カテゴリーのヴァイス・プレジデントとして、加熱式たばこにおける製品開発をリードしている。
「フィリップ モリスにとって、日本は特別なマーケットです。2014年に日本の名古屋とイタリアのミラノでIQOSを先行発売した当時、店舗の前で皆さんが列をなして並んでいた光景に感動しました。この10年間、日本はIQOSのマーケットをリードし続け、ユーザー数やマーケットシェアにおいても最大級を誇ります」
日本のユーザーは、深みのあるたばこ葉の味わいが楽しめるレギュラーから、爽快感のあるメンソールまで、他国と比較して幅広い好みを持つユーザーが多いと分析しており、「ほぼいつも日本のことをまず念頭に置きながら製品を開発している」という。
「日本は世界的に見ても(たばこスティックの)ポートフォリオの幅が最も広いマーケットです。他国では発売していないラインアップも多く、たくさんの味わいが日本でのみ楽しめるようになっています」
「初めて来日した2008年のことを覚えています。日本の消費者の方々が、品質に対して非常に期待値が高いことを知りました。その期待に応えて、日本の基準を製品にフィードバックすることで、世界各国における我々のビジネスの質を高めることに繋がると考えています」
国内のカスタマーセンターなどに寄せられた声はレポートとしてビューラー氏の元にも届いているそうで、「かなりの数と長さのレポート」に目を通し、改善点があれば製品開発や品質管理にしっかりと反映しているという。
「そのほか、消費者リサーチなどを実施したり、新製品のプロトタイプを作った際には必ず日本の消費者にもテストへ加わってもらったり、常に日本市場の消費者と密接なコミュニケーションを続けています。消費者の皆さんは常に我々にとっての中心であり、最前線にいると考えています」
そんな日本のユーザーに向けて発売したTEREAの「IQOS 10周年限定パッケージ」は、書道アーティストのMaaya Wakasugi氏とコラボレーションした、力強い筆のデザインが特徴。
ネオンホイル素材に印刷をすることで、メタリックかつホログラフィックな光沢感を演出。エンボス加工やUVコーティングを施して凹凸感をつくり、煌びやかなパッケージデザインに仕上げている。
「Maayaさんにはスイス・ヌーシャテルにあるIQOSの研究開発施設にお越しいただき、たばこ葉からたばこスティックが完成するまでの製品工程をすべてご覧いただくプロセスを経ました。Maayaさんからは実際に手掛けた作品を見せてもらい、どんな筆や墨、紙を使われているのかを紹介していただきました。紙は京都から取り寄せて、どのくらい長く乾燥させたものなのか、といった詳細まで教えてもらい、同席したブレンダーやフレーバリストの担当者も感銘を受けていました」
両者の交流を映した映像コンテンツは、「IQOS 10周年限定パッケージ」の誕生秘話として、IQOS公式サイトの会員特典プログラム「IQOSPHERE」にて公開されている。
「あまりにも会話に没頭しすぎたため、フィルムクルーのディレクターが撮影をストップしてしまうくらい、我々はお互いのことを学びあって、縁を感じて、今まで歩んできた道に敬意を払う、そんな体験を共有することができました」
「IQOS 10周年限定パッケージ」のメディア向け発表会でも、言葉の端々にIQOS 10周年への想いと感謝の気持ちが表れていたビューラー氏。フィリップ モリスが歩む、これからの10年についても話を聞いてみた。
「もちろん“煙のない社会”の実現を目指します。まずは喫煙を始めないことがベストです。すでに喫煙しているのであれば、禁煙すること。それでも喫煙を続ける成人喫煙者には、決してリスクはゼロではありませんが、より良い選択肢として煙の出ない製品へ切り替えてもらうべく、理解を深めたり、環境作りを推進していきます。その点において、日本はかなり理解が進んでいるので、引き続き満足いただける製品を提供しながら、同様に日本以外の国々でもチャレンジを続けていきたいと思います」