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三井住友信託銀行はこのほど、世界最大のサステナビリティ専門コンサルティング会社の英ERMグループと合弁会社の設立を発表しました。この合弁会社は、日本国内の法人顧客による気候変動対策の推進を目的としており、先駆者的な役割が期待されています。
現在、地球規模で「脱炭素社会」実現が求められています。その要因として、まず挙げられるのが気候変動への対応。燃料としての石炭、石油、天然ガスなどの炭素を含む化石燃料の燃焼が二酸化炭素(CO2)を大気中に放出し、地球温暖化や気候変動の原因となっています。脱炭素社会を実現することで、これらの化石燃料に代わる再生可能エネルギー源を活用し、CO2排出量を大幅に削減し、気候変動の緩和に貢献できます。
さらに化石燃料の枯渇や環境への悪影響を考えると、再生可能エネルギー源への転換が必要です。再生可能エネルギーは地球上の自然の循環によって供給されるため、持続可能なエネルギー供給を実現するためには重要になります。
再生可能エネルギーへ移行することで、新たな産業を生み出し、雇用を創出することが期待されます。また、エネルギーの分散供給やエネルギー効率の向上により、経済的な効率も向上する可能性があります。こうした経済的効率を企業に対し、コンサルティングを行うのが英国に本社を持つERMグループです。
その日本法人であるイー・アール・エム日本と三井住友信託銀行が、気候変動領域における新たな価値の創出に向けて設立するのがERM SuMi TRUST コンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区)です。
三井住友信託銀行では、法人事業として多様な経営課題に直面する法人顧客に対し、銀行・信託事業を通じた多様なステークホルダーとの接点や、幅広い商品提供力を発揮した、企業価値の向上につながるソリューションをワンストップで提供しています。
今回のERMグループとの提携によって、同グループの環境・低炭素転換コンサルティングにおけるグローバルな専門知識と、長期の信頼関係による三井住友信託銀行ならではの顧客基盤と金融インフラを有機的に活用できることが期待されます。新会社では、三井住友信託銀行の法人顧客が抱える気候変動・脱炭素分野における複雑な課題やニーズに対応していくとのことです。
新会社「ERM SuMi TRUST コンサルティング株式会社」設立のメディア向け発表会では、三井住友信託銀行・田中茂樹代表取締役副社長、同執行役員 ESGソリューション企画推進部長の松本千賀子氏、ERMグループのGroup CEOであるトム・ライカート氏、イー・アール・エム日本の野間達哉代表取締役社長が登壇。新会社が取り組んでいく事業内容や、今後の方針について発表されました。
発表会の壇上で三井住友信託銀行の田中副社長は、「これまで当行が持ち得なかった気候変動、人権などについての調査分野を、ERMグループとの提携で補い、新会社ではよりグローバルな知見やサステナビリティ領域に対するコンサルティング提案を国内の法人のお客さまに提案していきたい」と展望を語りました。
また、イー・アール・エム日本の野間社長は「気候変動に関するアドバイスからファイナンスまで、国内の法人のお客様に一気通貫で提案することで、顧客信頼度を上げることが可能になる。三井住友信託銀行が持つ幅広い国内の法人顧客への営業力、ファイナンス力が、それを可能とするだろう」とコメントしました。
今回の新会社設立は、脱炭素が求められる国内企業に対し、ERMグループの専門的なコンサル力と、三井住友信託銀行の法人顧客に対する営業力やファイナンス力を組み合わせることで、国内のサステナ分野における先駆者的な役割を担うことが予想されます。なお、新会社は2024年4月1日にスタート。設立当初は10数名での船出となるそうです。
とかく脱炭素分野では世界に遅れを取っている日本にとって、今回の新会社設立は急速にサステナビリティの分野で進んでいくことが期待されます。