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どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
世の中には《極妻》という言葉があります。みなさんご存じの《極道の妻》ですよね。任侠の社会に生きる極道を愛するあまり、妻となって夫を支える女性たち。彼女たちはヤクザの夫ならではの様々なトラブルに直面するわけです。それでも、彼女たちは体を張って夫を守る……。
しかし、逆に「女遊びは男の甲斐性」とばかりに遊ぶ夫もいるわけですが、彼らはどのようにして妻をなだめてきたのか……。
そこで今回は、関東に拠点を置く某組織のE氏(60歳)に、浮気をしたときの妻のなだめ方を聞いてみました。これはカタギの我々にとっても、勉強になるところ? 最近、妻と不仲だという方は必読ですよ。
丸野(以下、丸)「やっぱり浮気しちゃうものなんですか?」
E氏「そりゃねぇ、こっちは切った張ったやってるわけだから、ストレス解消でしちゃうよね。嫁と一緒になってからはずっと浮気人生。自分の女にして、他の店で引き抜いて自分の本妻の店で働かせたこともあったなぁ」
丸「僕にはわからない世界ですね……」
E氏「どうしても俺らの稼業は飲みに行くでしょ? だから、ホステスとかキャバ嬢とかを口説いちゃう。彼女たちは、強い男に弱いからホイホイ付いてきちゃうわけよ。で、寝る。寝ると、自分はこの人の女なんだという気持ちが強くなるからね。実際、本妻もホステス上がり。2号も3号も水商売だったよ」
丸「ヤクザはコンドームとかの避妊具は付けないと聞いたんですが?」
E氏「付けないから、いたるところに子供ができてる。俺なんて、10人は下らないんじゃないかな」
丸「本妻さんに決めた理由というのは?」
E氏「内縁の妻だから本妻じゃないけどね。ズバリ、気立ての良さだね。それに若い衆がリスペクトできる女かどうか。配慮や気配り、目配り、心配りを連中は見てる。それから俺が入ったとき(懲役)にしっかりと船の舵を取ってくれるかどうか。性根が座っていないとヤクザの女房にはなれない」
丸「でも、現役のヤクザと結婚するとなると気が引けそうですが……」
E氏「何言ってんのよ。昔から『白マラ』(※役者)、『砂マラ』(※力士)、『傷マラ』(※ヤクザ)、とモテる連中のことを呼んでいた。だから、女は危険な匂いがする男に惹かれるというわけでね」
丸「昔はやっぱり景気が良かったんですね。3号さんまでいるんですから」
E氏「よかったよ。暴対法が施行されてから少しずつ下火になっていった。俺も一家構えていたから。時の流れは残酷なものだよ。今はカミさんだけ。居酒屋で《いいちこ》舐めてるんだからね。それも全部カミさんに食わせてもらってる。カミさんは昔、若手の組員を取りまとめてたり、客人をもてなしたり、クラブを持たせてやったら、デカ(刑事)の面倒まで看てた。いい女だよ」
丸「でも、浮気しちゃうんですね」
丸「女の人って、浮気をすぐ見破る勘があると思うんですが」
E氏「そうなんだよ。なぜかバレる。そんなときに絶対やっちゃいけないことがある。バレたときにはあたふたするからね。まず絶対にやっちゃいけないのは《言い訳をする》《開き直って自分を正当化すること》。あとは、相手のせいにして日常の不満をぶつけたりして、浮気の原因がさも相手にあるようにいうこと」
丸「そんな感じなんですね」
E氏「絶対に弁明なんかはしない。いくら責められても、黙っていること。ここは男としてぐっとこらることが大事。いくら、言い訳したくても何も言わずに聞き流すまで。それに相手にイラっとした感情を示すこともダメ」
丸「僕は逆上してしまうタイプなのでダメですね。浮気するタイプじゃないですけど。ゴメンのひと言では済まないんですか?」
E氏「そんなものでは女心は済まない。女房から“わかった、水に流す”と許してもらえるまで謝罪し続けることが“筋”だよ。夫婦には筋がある。1度謝れば済むってもんじゃない」
丸「自分で判断するんではなく、夫婦の筋を通して許してもらえたかどうかの判断をするんですね。具体的には、どう謝罪するんですか?」
E氏「誠意だな。まず《相手との連絡を絶つ》。《時間をかけて何度も謝る》、《真剣な謝罪》、《相手の気持ちを一番に考えてしっかりと話を聞く》、《二度としないことを誓う》、《相手を抱く》、《土下座で話を聞く》。とどめにプレゼントは用意してかなくちゃならない。高い情事になるってことだね。俺なんかベンツをプレゼントさせられた」
E氏は最後に「ひとつ救いがあったのは、一緒にシノギをしていたこと。毎日顔を合わせるし、店の営業や闇スロや半グレを束ねての地回り、詐欺の仕切りなんかもあるから協力し合わないと金が稼げない。上納金もあるし、オヤジへの対応もあるし、姐さんへの挨拶もある。そんなこと言ってられないってそのうちにあきらめてくれるよ」と言いました。
一般的な家庭との違いはあるかもしれませんが、使える部分はあるのかもしれません。一番は浮気しないことだと筆者は思うのですが……。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)