日本に1万人いると言われている<無戸籍者>なってしまう子どもと<シングルマザー>に焦点を当てたオリジナル映画、『空のない世界から』が現在公開中です。主演はアイドルグループHKT48を卒業後、本格的に女優として活躍中の兒玉遥さんで、シングルマザーとして懸命に生きながら無戸籍である子に負い目を抱え葛藤する母親役を体当たりで演じています。兒玉さん自身、学びが多かったという本作について話をうかがいました。

■公式サイト:https://soranonaisekai.com/ [リンク]

●無国籍になってしまう子がたくさんいるとは驚きました。

日本にもたくさんいるそうですが、わたしも身近な現実にはないシチュエーションだったので、最初は難しかったです。ただ、無戸籍という視点だけで観ると特殊な印象になるかも知れませんが、わたしが演じながら思ったことは、普通の母と娘の物語ということなんです。

●母子の関係性はどのような状況でもある普遍的なものですからね。

わたしも自分でそのように理解したので、無国籍として置かれる状況の難しさはありましたが、わたしが演じる藤井麻衣香から見た世界は、娘に対する愛情がメインでいいのかなと思いました。なので今回はシングルマザーとして娘と必死に生きていく様にフォーカスしてお芝居をしました。彼女は社会から弱いとされる立場で生きている女性ですが、少しずつ強くなっていく女性を演じようと思いました。

●シングルマザー役の準備は、大変ではなかったですか?

もちろん経験したことがない部分について想像力を働かせて、自分のイメージだけで雰囲気を出さないといけなかったので、しっかり母親に見えるのかどうかは難しいところではありましたね。

なんとなくイメージそのものはできますし、これまでもいろいろなお母さんを見たことはありますが、ひとりの女性とは異なる母親というステージに実際に行くということだったので、内面的な部分も含めて、一番自分の中では不安ポイントではありました。

●その一方で、今回の撮影が楽しみに感じたことはありましたか?

自分の女優としての幅が広がるなと思ったので、それは楽しみでしたね。今までと違うイメージが出てくるだろうし、新境地って感じがしました。そして本当に素敵な作品に仕上げてくださって、感動しました。全体的に穏やかで愛情あふれる物語になっていたかなと思います。


●作品を通して人生観に変化は?

それまで結婚願望がまったくなかったんです。子どももほしいと思ったことがなかった。でも、この作品を通して子どもの存在が尊くて素晴らしいものだなと気付けたんです。母親役を演じたことで親への感謝の気持ちもより深まりましたし、そう思うと、子どもっていいものだなって。結婚観や出産に対する考え方が変わりました。

●今日はありがとうございました!ファンの方へ一言お願いいたします。

今回初めてシングルマザー役に挑みました。母親としてひとりの女性が強くなっていく姿を通じて、少しでも観てくださった方に何かが届けられたらいいなと思っています。

■ストーリー

大きなお腹を抱え、痛々しい傷を負った麻衣香(兒玉遥)が、夜道を必死に走る―。
DVを受けた旦那から逃げ出してきた麻衣香が辿り着いた場所は、郊外にポツリと佇むラブホテルであった。北岡さん(窪塚俊介)に助けられ、住み込みで働きながら娘のさくら(つむぎ)を育てて早7年。 麻衣香は娘の存在を誰にも知らされないようひっそりと暮らしていたが、さくらが小学校に通う年齢になり、さくら自身も小学校入学を待ち望んでいる。
しかし戸籍を取得しておらず、麻衣香はさくらにどうしてあげたらいいのか分からない。そんな時、彼女の背中を押してくれたのは、世の中から「必要ない」とされている人々であった―。

(執筆者: ときたたかし)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 兒玉遥インタビュー「母親役を演じて親への感謝の気持ちもより深まりました」 シングルマザー役の主演作『空のない世界から』公開