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『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』の名匠トーマス・アルフレッドソン監督の最新作『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』が本日9月2日より公開となります。とぼけた愉快な窃盗集団を痛快に描いた、クライムコメディです。
【ストーリー】チャールズ・イングヴァル・イェンソン、通称シッカンは、スウェーデン髄一の凄腕金庫破り。だが、とある現場で失敗し刑務所に服役する。出所後に次の獲物の準備を企んでいたシッカンだが、仲間たちは犯罪から足を洗うと言い出し、次のお宝「フィンランドの王冠」はシッカン1人で遂行することになってしまう。一方、その王冠にまつわる伝説の石の行方を追って、フィンランドの運命を左右する野望が動き始めていた……。舞台はスウェーデン伝統の夏至祭りの前日、白夜のストックホルム。フィンランド大統領、王座を夢見る男、暗躍する大企業の重役、謎の大富豪。様々な思惑が絡む中、シッカンは去って行った仲間たちを連れ戻し、目的のお宝を入手する事はできるのだろうか――!?
本作へのこだわりについて、トーマス・アルフレッドソン監督ご本人にお話を伺いました!
――本作は監督にとっては珍しいクライムコメディとなっていますが、コメディに初挑戦してみて大変なこと、楽しかったことはありますか? コメディ作品というのは一番作るのが難しいとも聞きます。
確かにコメディというのはマスターするのに、良い作品を作るのに一番難しい、トリッキーなジャンルであると思います。観客に内容が響いているのか、「観客が笑っているか笑っていないのか」ですぐに分かってしまう。反応でその映画の良し悪しがすぐ分かってしまう部分があります。実は僕はコメディ出身なんです。若い時はテレビや映画でコメディ作品を作ってきた。皆さんがよく知ってくれている僕のスリラーやサスペンス作品は、キャリアの中では後期の方なんだ。
今回の作品もこれまでの映画と同じアプローチで作っている。映像で伝えることが出来るのならば、セリフよりも、登場人物たちの「セリフでは無いやりとり」の方が面白いと思うので、そういったことを意識しています。オーケストラの作曲家の様なアプローチですよね。バイオリンで表現出来ない音は木管楽器で補う、といった様に、目の前にあるツールをどの様に使うのか、組み立てるのかを考えて作っていくんだ。
――本作の映画作りにおいて、影響を受けた作品はありますか?
『タンタン』から大きなインスピレーションを受けているよ。色々なジャンルがありながらも、『タンタン』というのは、物語作りのお手本、学校の様な存在だと思う。
――本作はスウェーデンの伝説の人気コメディ映画シリーズ“イェンソン一味”がベースとなっています。監督ご自身がイェンソン一味の大ファンだそうですが、シリーズの魅力、長年愛されている理由はどこにあると思いますか?
長年愛されている、成功している秘訣、というのは分かったら皆が真似したいと思うから(笑)分からないのだけど、「観客もグループの一員になれる感覚」というのが大きいのではないかと思う。子供の頃「ビートルズ」が60年代に受けているインタビューを見ていて、――最近だと『ザ・ビートルズ:Get Back』でも観る事が出来るけれど。あれも素晴らしい作品でした――、「自分達もグループの一員であるかの様な」気持ちになっていたんだよね。天才がいて、楽しい人がいて、変わった人がいて。「僕もビートルズの一員になって旅をしたら楽しいだろうな」と思わせてもらった。“イェンソン一味”も同じで、「自分がここに加わったら、自分はこのグループでどんな能力を発揮出来るのだろう」と想像出来る部分が楽しいんだよね。
――なるほど、人気シリーズには総じてその様な特徴を感じられますよね。もともと子供向けであったシリーズを大人テイストにするために意識さされた部分はありますか?
良い質問だね、ありがとう。大人向け、子供向け、自分の中ではあまり差がないんだ。作品作りには、自分がまず童心に帰って、「楽しい!」と感じられた部分を丁寧に描写することが大切だと思っているよ。その部分で、ディズニー映画がとても長けていて、「こういう人に届けたい」と思って作品を作る事というのはとても難しいのだけど、ディズニー映画はパーソナルなテーマを取り扱いながらも多くの人に届けている所がすごいよね。
年齢によって笑える部分というのは変わってくるのも興味深い。映画の中で、大男が赤ちゃんの格好をするシーンがあるけれど、大人は「こんな大男がそんな格好を!」と笑えるけれど、5歳の子供にとってはその状況自体ではなくて、見た目の面白さに笑う。そういった笑いにおける年齢による差も面白いなあと感じたよ。
――ファッションがとても可愛いですね!こだわった部分を教えてください。
ありがとうございます!“イェンソン一味”が着てきた洋服を現代風にアレンジしたファッションになっています。現代にアップデートしつつ、少しエキセントリックさもあるのだけど、今の街並みに合う様なバランスを見ているよ。仮にこの映画が白黒になったとしても、「あのキャラクターだ」と分かる様な特徴にこだわっているので(たとえば、リーダーならば帽子など)、そういった部分にも注目して欲しいな。
――今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』
2022年9月2日より kino cinéma横浜みなとみらい他にて全国順次公開
監督:トーマス・アルフレッドソン
脚本:トーマス・アルフレッドソン、ヘンリック・ドーシン、リカード・ウルヴスハマール
出演:ヘンリック・ドーシン、ヘダ・スターンステット、アンダース・ヨハンソン、ダーヴィド・スンディン
2019年|スウェーデン|スウェーデン語・フィンランド語|122分|カラー|ビスタ|5.1ch|原題:Se upp för Jönssonligan|英題:THE JÖNSSON GANG|字幕翻訳:小尾恵理 字幕監修:久山葉子|G
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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